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時間の無駄3
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ここまでのやり取りを見ていたギルバートが、帰っていくアイリーンを見ながらいった。
「アイリーン様って、噂とちがって…何というか……」
「ああ、か弱いお嬢様…では無いな。」
「殿下より先に席を外すなんて、前代未聞ですよ。他の国ならいざしらず……」
「少しは収穫はあったから問題はない」
「収穫?」
「ユーリという女について。」
「あぁ……いくらなんでも婚約者の前で女性の名前を出すのはどうかと思いますよ…」
「仕方がないだろう。アルフォート兄妹にしかわからない話なのだから。」
「『ユーリ』の事をですか?」
「ああ。兄の方に文を送った、その返事がこれだ」
グレアムはギルバートに返事を見せた。
「読んでも構いませんか?」
グレアムは頷いた。
「『…ユーリはアイリーンの信頼する数少ない友人。素性を知られるのを嫌がるところがあり、自分はそれ以上を知る事はない…』というような事だけ書いてある。『アイリーンの友人の素性をさらすつもりは一切ない。』と俺が理解するだろうと、わかって書いている。」
「兄妹そろって強気ですね……でも、侯爵家に出入りする人間を、何も調べずに受け入れるなんてあり得ないと思いますが……」
「アイリーン絡みだと、あの兄は絶対口をわらない。舞踏会の時も軽くかわされた。」
「そんなにしてまで、殿下がユーリにこだわる訳はなんなんですか?」
「伯爵殺人の犯人に繋がる人物かもしれない」
「どうやったらそんな答えに……1+1は5みたいになってますよ」
「…伯爵が殺された日の夕方、あの日俺はアルフォートとユーリと伯爵に出会ってる。」
「あぁ、そういえばあの時……詳しくは聞きませんでしたが、何があったんですか?」
「男の子が伯爵にぶつかって、何が気にくわなかったのか、その子を殴った上に蹴りだした。俺が止めに入る前に『ユーリ』が伯爵に飛び蹴りをいれた」
「は?飛び…蹴り…ですか?女の子が?」
「ああ、凄いだろう?見事だったぞ。」
「何を楽しそうに話してるんですか…。殿下はその時『ユーリ』の顔を見なかったんですか?」
「髪の毛でよくわからなかった。その後は背を向いていたしな…そこにニコルがきてその娘を『ユーリ』と呼んでいた」
「アルフォート侯爵子息、ユーリ、伯爵、そしてグレアム殿下が同じ時間に同じ場所にいて、『ユーリ』は定かでないが侯爵子息だけは殺される事も襲われる事もない…。確かにあやしいですけど…状況はたまたま伯爵の非道な行動を『ユーリ』が止めた…というだけで。」
「『ユーリ』を殴って、血を流させた事が事件の引き金になってるとすれば、動機になるだろう。」
「それでは殿下が襲われる動機にはなりませんよ。それに、『ユーリ』も殺されてる可能性もあるのでは?頑なに『ユーリ』の存在を隠すのもおかしい。」
「だから『ユーリ』の状況を知りたかったのだが…あの兄妹に聞いても無駄らしい」
「見張りをつけますか?」
「ああ。頼む。」
「畏まりました。」
・・・・
「ふふ、完璧っ!」
これで、どこからどうみても少年!
ハーフパンツ、ゆったりしたシャツ、キャスケット!
そして今回は、今までつけてたウィッグをバッサリショートにしてきました!
「さ、急がないと!!」
迎えがくるまで後一時間きってる!
でもどこから探せばいいの?
城は広い…もしかしたら城じゃなくて違う場所にあるって最悪の可能性もありえる…。でも、見られてまずい物とか、大切な物は絶対近くにあるはず。…たぶん。
とりあえず、今日はこの城を覚えよう。逃げ道確保も大切な事。
所々に兵士がいるのは、その側に何か大切な物とか人がいるから。にしてもピッカピカの廊下…やたらとある絵。人物画とか怖いよ。
1階に大切な物がおいてあるとは考えにくい。この前みたいに、人が集まる広間とも遠い場所。
3階から下に逃げるなら、この窓なら木に飛びうつれる。逆にこっちは…やたら守りが硬い。何か重要な物があるに違いない!外壁や屋根から回れるかも確認しないと。
あーっ!広すぎる!こんなの部屋見つけるだけでも大変!!
もうすぐ時間だ。今日はこれくらいにしておこう。
用意されていた部屋にもどって、血がついた服を…
「あれ?違うのが用意されてる……」
え?着てきた服は?……なくなってる!!
あの服弁償するってなったら、それだけで我が家は1ヶ月はご飯たべれない!!
「あのっ!っ私の服しりませんか?」
とりあえず用意されてた服をきて、その辺にいるメイドや兵士に聞きまわった。
「アイリーン様、侯爵邸からお迎えが来ております。」
まさか誰も服の行方を知ってるが人いないなんて……。
「はは…ありがと…」
「アイリーン様って、噂とちがって…何というか……」
「ああ、か弱いお嬢様…では無いな。」
「殿下より先に席を外すなんて、前代未聞ですよ。他の国ならいざしらず……」
「少しは収穫はあったから問題はない」
「収穫?」
「ユーリという女について。」
「あぁ……いくらなんでも婚約者の前で女性の名前を出すのはどうかと思いますよ…」
「仕方がないだろう。アルフォート兄妹にしかわからない話なのだから。」
「『ユーリ』の事をですか?」
「ああ。兄の方に文を送った、その返事がこれだ」
グレアムはギルバートに返事を見せた。
「読んでも構いませんか?」
グレアムは頷いた。
「『…ユーリはアイリーンの信頼する数少ない友人。素性を知られるのを嫌がるところがあり、自分はそれ以上を知る事はない…』というような事だけ書いてある。『アイリーンの友人の素性をさらすつもりは一切ない。』と俺が理解するだろうと、わかって書いている。」
「兄妹そろって強気ですね……でも、侯爵家に出入りする人間を、何も調べずに受け入れるなんてあり得ないと思いますが……」
「アイリーン絡みだと、あの兄は絶対口をわらない。舞踏会の時も軽くかわされた。」
「そんなにしてまで、殿下がユーリにこだわる訳はなんなんですか?」
「伯爵殺人の犯人に繋がる人物かもしれない」
「どうやったらそんな答えに……1+1は5みたいになってますよ」
「…伯爵が殺された日の夕方、あの日俺はアルフォートとユーリと伯爵に出会ってる。」
「あぁ、そういえばあの時……詳しくは聞きませんでしたが、何があったんですか?」
「男の子が伯爵にぶつかって、何が気にくわなかったのか、その子を殴った上に蹴りだした。俺が止めに入る前に『ユーリ』が伯爵に飛び蹴りをいれた」
「は?飛び…蹴り…ですか?女の子が?」
「ああ、凄いだろう?見事だったぞ。」
「何を楽しそうに話してるんですか…。殿下はその時『ユーリ』の顔を見なかったんですか?」
「髪の毛でよくわからなかった。その後は背を向いていたしな…そこにニコルがきてその娘を『ユーリ』と呼んでいた」
「アルフォート侯爵子息、ユーリ、伯爵、そしてグレアム殿下が同じ時間に同じ場所にいて、『ユーリ』は定かでないが侯爵子息だけは殺される事も襲われる事もない…。確かにあやしいですけど…状況はたまたま伯爵の非道な行動を『ユーリ』が止めた…というだけで。」
「『ユーリ』を殴って、血を流させた事が事件の引き金になってるとすれば、動機になるだろう。」
「それでは殿下が襲われる動機にはなりませんよ。それに、『ユーリ』も殺されてる可能性もあるのでは?頑なに『ユーリ』の存在を隠すのもおかしい。」
「だから『ユーリ』の状況を知りたかったのだが…あの兄妹に聞いても無駄らしい」
「見張りをつけますか?」
「ああ。頼む。」
「畏まりました。」
・・・・
「ふふ、完璧っ!」
これで、どこからどうみても少年!
ハーフパンツ、ゆったりしたシャツ、キャスケット!
そして今回は、今までつけてたウィッグをバッサリショートにしてきました!
「さ、急がないと!!」
迎えがくるまで後一時間きってる!
でもどこから探せばいいの?
城は広い…もしかしたら城じゃなくて違う場所にあるって最悪の可能性もありえる…。でも、見られてまずい物とか、大切な物は絶対近くにあるはず。…たぶん。
とりあえず、今日はこの城を覚えよう。逃げ道確保も大切な事。
所々に兵士がいるのは、その側に何か大切な物とか人がいるから。にしてもピッカピカの廊下…やたらとある絵。人物画とか怖いよ。
1階に大切な物がおいてあるとは考えにくい。この前みたいに、人が集まる広間とも遠い場所。
3階から下に逃げるなら、この窓なら木に飛びうつれる。逆にこっちは…やたら守りが硬い。何か重要な物があるに違いない!外壁や屋根から回れるかも確認しないと。
あーっ!広すぎる!こんなの部屋見つけるだけでも大変!!
もうすぐ時間だ。今日はこれくらいにしておこう。
用意されていた部屋にもどって、血がついた服を…
「あれ?違うのが用意されてる……」
え?着てきた服は?……なくなってる!!
あの服弁償するってなったら、それだけで我が家は1ヶ月はご飯たべれない!!
「あのっ!っ私の服しりませんか?」
とりあえず用意されてた服をきて、その辺にいるメイドや兵士に聞きまわった。
「アイリーン様、侯爵邸からお迎えが来ております。」
まさか誰も服の行方を知ってるが人いないなんて……。
「はは…ありがと…」
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