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家族会議2
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何もわからない。沈黙が嫌だったから、私は舞踏会の時の話をした。
「あの…この前、舞踏会で陛下に呼びだされたとき、本を一冊用意されてて『それを開いて読むことが出来るか?』って聞かれたんです。本は開いてからじゃないと読めないのに、何言ってるんだろうこの人って思いました。でも違和感があって、私は本を開ける前に聞いたんです。『この本を読めなかった人は何人いましたか?』って。」
「答えは?」
「『読めなかった人の数は憶えられないくらいいたけど、読めた人は誰もいない』って。『読む前に、そんな質問をしたのは私が初めてだ』って…。私には読めました。でも、読めないって嘘をつけばよかったんじゃないかとも思いました。けど、こうも思ったんです。『アイリーン様には禁書を読めるような条件とか能力のような物があるかもしれない。読めることを知ってたとしたら、私が読めないと言うと身代わりがばれるんじゃないか…』って。」
みんなの顔が、その通りだ…って言ってる気がする。
「…私をつれてきた時に考えませんでしたか? アイリーン様とお同じ容姿だから禁書を読めたんじゃないかって。でも、確認できなかった。その本がここにないから。」
こんなのただの貧乏農民の予想だけど。
「今のアイリーン様の様子を聞くと…あの日、グレアム様がお茶の席をもうけたのは、アイリーン様が目覚ざめたのか確認に来たのかなって思います。身代わりに見事にひっかかって、舞踏会に私を呼び出して禁書を読ませた…とか。ニコルお兄様はこの事を私に聞くの、躊躇ってませんでしたか?」
「…ああ」
「でも、来た日に言ってくれてれば、王子にあった時に『禁書をよませろ!』って言ってたのに!」
「……え?」
ニコルお兄様だけでなく侯爵様も奥様も、キョトンとしている。
「そういう事は早く言ってくれないと!!」
ガタンッ
勢いよく立ちすぎて、椅子が後ろに倒れた。
「ああ、すまん…身代わりの…」
侯爵様が話してるのにそれも聞かず、かぶりぎみで素に戻ってしまった
「知ってたら、あのオッサンに本投げつけて帰ってこれたのにっ!!かしこまって損したっ!!」
何だかなどんどんムカついてきた!
「あの舞踏会!みんなの視線…。珍しいだけじゃなくて、嫌悪も混じってたとかっ!!睨み返してやるチャンスを失ってしまった!もったいない!」
「…ユーリ…?」
「そうか…だからあの胡散臭い王子も嫌な顔してたんだ。知ってたら回し蹴りくらい…いや、それはいくらなんでも侯爵家に迷惑が……」
「……」
「……」
「…ユーリ?」
「っっ!?」
しまったっ!!貧乏農民ユーリ・コナズをさらしてしまった!!
「…ほ、本気…ではないので、心配なさらないでください。今のはただ、調子にのり過ぎてる貴族様にわからせてあげなくてはという意気込みでして…」
「……」
「……」
「……」
あ、この方たちも貴族だった!!
「いえ!!すべて冗談ですっ!」
けど…
「アイリーン様が目を覚ました時に過ごしやすくなるくらいに…全てはそのためにうまく事を進めなければ……。」
あ…、私の言動にビックリしすぎて固まってるし…。
「すみません。これからは感情的にならず、素敵な令嬢に見えるよう気を付けます。」
「そうね、そうして貰えるかしら…。」
「ああ…」
「でも…ちょっとスカっとしますね。私達では言えないですから…どうやっても、あの口調は……アハハッ」
ニコルお兄様…笑いが止まらないくらい、変だったのかな…
「このような女がアイリーン様と同じ姿と形で申し訳ありません…」
「ふふ、アイリーンの事でそうして怒って心配してくれる君は素敵な子だよ。けど、実行してはいけないぞ。」
侯爵様が優しく言ってくれた。
「はいっ!!私、出来る限りの事をします!婚約破棄とアイリーン様を目覚めさせる事のためなら、死なない程度には頑張るので!任せてください!」
そこで胸をドンとたたいた。
「頼りにしてください!!」
「ふふ、心強いわ。」
「ふへへへ…」
私の気持ち悪い笑いで、会議は終了した。
「あの…この前、舞踏会で陛下に呼びだされたとき、本を一冊用意されてて『それを開いて読むことが出来るか?』って聞かれたんです。本は開いてからじゃないと読めないのに、何言ってるんだろうこの人って思いました。でも違和感があって、私は本を開ける前に聞いたんです。『この本を読めなかった人は何人いましたか?』って。」
「答えは?」
「『読めなかった人の数は憶えられないくらいいたけど、読めた人は誰もいない』って。『読む前に、そんな質問をしたのは私が初めてだ』って…。私には読めました。でも、読めないって嘘をつけばよかったんじゃないかとも思いました。けど、こうも思ったんです。『アイリーン様には禁書を読めるような条件とか能力のような物があるかもしれない。読めることを知ってたとしたら、私が読めないと言うと身代わりがばれるんじゃないか…』って。」
みんなの顔が、その通りだ…って言ってる気がする。
「…私をつれてきた時に考えませんでしたか? アイリーン様とお同じ容姿だから禁書を読めたんじゃないかって。でも、確認できなかった。その本がここにないから。」
こんなのただの貧乏農民の予想だけど。
「今のアイリーン様の様子を聞くと…あの日、グレアム様がお茶の席をもうけたのは、アイリーン様が目覚ざめたのか確認に来たのかなって思います。身代わりに見事にひっかかって、舞踏会に私を呼び出して禁書を読ませた…とか。ニコルお兄様はこの事を私に聞くの、躊躇ってませんでしたか?」
「…ああ」
「でも、来た日に言ってくれてれば、王子にあった時に『禁書をよませろ!』って言ってたのに!」
「……え?」
ニコルお兄様だけでなく侯爵様も奥様も、キョトンとしている。
「そういう事は早く言ってくれないと!!」
ガタンッ
勢いよく立ちすぎて、椅子が後ろに倒れた。
「ああ、すまん…身代わりの…」
侯爵様が話してるのにそれも聞かず、かぶりぎみで素に戻ってしまった
「知ってたら、あのオッサンに本投げつけて帰ってこれたのにっ!!かしこまって損したっ!!」
何だかなどんどんムカついてきた!
「あの舞踏会!みんなの視線…。珍しいだけじゃなくて、嫌悪も混じってたとかっ!!睨み返してやるチャンスを失ってしまった!もったいない!」
「…ユーリ…?」
「そうか…だからあの胡散臭い王子も嫌な顔してたんだ。知ってたら回し蹴りくらい…いや、それはいくらなんでも侯爵家に迷惑が……」
「……」
「……」
「…ユーリ?」
「っっ!?」
しまったっ!!貧乏農民ユーリ・コナズをさらしてしまった!!
「…ほ、本気…ではないので、心配なさらないでください。今のはただ、調子にのり過ぎてる貴族様にわからせてあげなくてはという意気込みでして…」
「……」
「……」
「……」
あ、この方たちも貴族だった!!
「いえ!!すべて冗談ですっ!」
けど…
「アイリーン様が目を覚ました時に過ごしやすくなるくらいに…全てはそのためにうまく事を進めなければ……。」
あ…、私の言動にビックリしすぎて固まってるし…。
「すみません。これからは感情的にならず、素敵な令嬢に見えるよう気を付けます。」
「そうね、そうして貰えるかしら…。」
「ああ…」
「でも…ちょっとスカっとしますね。私達では言えないですから…どうやっても、あの口調は……アハハッ」
ニコルお兄様…笑いが止まらないくらい、変だったのかな…
「このような女がアイリーン様と同じ姿と形で申し訳ありません…」
「ふふ、アイリーンの事でそうして怒って心配してくれる君は素敵な子だよ。けど、実行してはいけないぞ。」
侯爵様が優しく言ってくれた。
「はいっ!!私、出来る限りの事をします!婚約破棄とアイリーン様を目覚めさせる事のためなら、死なない程度には頑張るので!任せてください!」
そこで胸をドンとたたいた。
「頼りにしてください!!」
「ふふ、心強いわ。」
「ふへへへ…」
私の気持ち悪い笑いで、会議は終了した。
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