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読めなかった人2
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「はぁ…疲れた……」
この数分で絶対寿命縮んだと思う。
「おい」
「わっ!?」
「何をそんなに慌てている。」
「いえ…あの、待ってくれていると、思いませんでしたので……」
「待っていたのは、お前に1つ聞きたい事があったからだ。」
もう胡散臭い笑顔の片鱗すら見せないよ、この人…。
「ユーリ…という娘は、大丈夫だったのか?」
…へ?
「4日前に会ったのだろう?」
「…ええ。」
会ったっていうか、それ私ですから。
「頭から血が出ていた。」
「…血はでていましたが、傷は大したことないようでした。」
……よくわからないけど、こうやってユーリの事を聞いてくるってことは、あの時のユーリが目の前にいる私だって気づいてない…ってことだよね。よかったぁ、顔見られてなかった!
「何をニヤニヤしている。気持ち悪い。」
っ本当に感じ悪いな、この男!
「会場への道をおしえていただけますか?私といると殿下の気分を害するようですので、1人で戻ろうと思います。」
バレてないってわかったし、もう一緒にいる必要ないし、早くウィッグつけて目立たないようにしよう!
「ユーリはどこの娘だ?今日は来ていないのか?」
やたらとユーリの事を聞いてくる…もしかしてあの時何かやらかしてたのかな…。
「今日は来ておりません。いえ、ユーリは貴族ではありませんので、こういった場に来る事はありません。」
「では、どこで知り合ったんだ?」
「…秘密です!!」
これ以上喋ってボロがでてもまずい!
「では!失礼致します!!」
「おい、待てっ」
待ちません!!
…勢いで逃げてきたものの…帰り道がわかりません…。
しばらくウロウロしていると、ニコルお兄様をみつけた。
よかったっ!!
「ニコルお兄様!!」
ブンブンと手をふると、血相を変えて駆け寄ってきた。
「アイリーン、どこにも怪我はないね?誰かに襲われたりはしなかったか?」
「いえ、そんな事はありませんでしたが、何かあったのですか?」
「4日前にレキシントン伯爵が亡くなられたらしい。殺されたそうだ。」
4日前っていうのは、外出した時の事だよね。
「もしかして、あの子供を蹴っていた人ですか?」
ニコルお兄様はコクりと頷いた。
「会場はその話と君の話でもちきりだよ。」
「その人が死んだ事と、私たちは何か関係があるのですか?」
「いや、はっきりとはわからないが、その日この城にも侵入者がいたらしい。同じ日に同じ場所に居合わせた伯爵と…おそらく殿下。」
「っもしかしてお兄様も狙われたのですか!?」
「いや、うちには何も。けど気を付けた方がいい。急にアイリーンが舞踏会へ陛下から直接よびだされたり…」
「そういえば…ユーリの具合はどうだ…と、殿下に聞かれました。」
まさか、何か知ってて聞いてきたのかな?
「アイリーン、陛下とは何を話したんだ?」
「本を1冊用意されていて『それを開いて読むことができるか?』と聞かれました。」
「…なんて答えたんだ?」
「読めます…と。」
今まで誰も読めたことのない本を…
「そうか…」
「いけなかったでしょうか?」
「いや、そんな事ないよ。さあ、会場へ戻ろうか。」
何事も無いように言うけど、さっき一瞬ニコルお兄様の顔が曇ったのは気がついていた。
この数分で絶対寿命縮んだと思う。
「おい」
「わっ!?」
「何をそんなに慌てている。」
「いえ…あの、待ってくれていると、思いませんでしたので……」
「待っていたのは、お前に1つ聞きたい事があったからだ。」
もう胡散臭い笑顔の片鱗すら見せないよ、この人…。
「ユーリ…という娘は、大丈夫だったのか?」
…へ?
「4日前に会ったのだろう?」
「…ええ。」
会ったっていうか、それ私ですから。
「頭から血が出ていた。」
「…血はでていましたが、傷は大したことないようでした。」
……よくわからないけど、こうやってユーリの事を聞いてくるってことは、あの時のユーリが目の前にいる私だって気づいてない…ってことだよね。よかったぁ、顔見られてなかった!
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っ本当に感じ悪いな、この男!
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「ユーリはどこの娘だ?今日は来ていないのか?」
やたらとユーリの事を聞いてくる…もしかしてあの時何かやらかしてたのかな…。
「今日は来ておりません。いえ、ユーリは貴族ではありませんので、こういった場に来る事はありません。」
「では、どこで知り合ったんだ?」
「…秘密です!!」
これ以上喋ってボロがでてもまずい!
「では!失礼致します!!」
「おい、待てっ」
待ちません!!
…勢いで逃げてきたものの…帰り道がわかりません…。
しばらくウロウロしていると、ニコルお兄様をみつけた。
よかったっ!!
「ニコルお兄様!!」
ブンブンと手をふると、血相を変えて駆け寄ってきた。
「アイリーン、どこにも怪我はないね?誰かに襲われたりはしなかったか?」
「いえ、そんな事はありませんでしたが、何かあったのですか?」
「4日前にレキシントン伯爵が亡くなられたらしい。殺されたそうだ。」
4日前っていうのは、外出した時の事だよね。
「もしかして、あの子供を蹴っていた人ですか?」
ニコルお兄様はコクりと頷いた。
「会場はその話と君の話でもちきりだよ。」
「その人が死んだ事と、私たちは何か関係があるのですか?」
「いや、はっきりとはわからないが、その日この城にも侵入者がいたらしい。同じ日に同じ場所に居合わせた伯爵と…おそらく殿下。」
「っもしかしてお兄様も狙われたのですか!?」
「いや、うちには何も。けど気を付けた方がいい。急にアイリーンが舞踏会へ陛下から直接よびだされたり…」
「そういえば…ユーリの具合はどうだ…と、殿下に聞かれました。」
まさか、何か知ってて聞いてきたのかな?
「アイリーン、陛下とは何を話したんだ?」
「本を1冊用意されていて『それを開いて読むことができるか?』と聞かれました。」
「…なんて答えたんだ?」
「読めます…と。」
今まで誰も読めたことのない本を…
「そうか…」
「いけなかったでしょうか?」
「いや、そんな事ないよ。さあ、会場へ戻ろうか。」
何事も無いように言うけど、さっき一瞬ニコルお兄様の顔が曇ったのは気がついていた。
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