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婚約回避したかった3
しおりを挟む「楽しい?」
「はいっ!!」
「そう、ならよかった」
本物のアイリーン様ともよく来るんだろうな。…今アイリーン様はどうしてるんだろう?私には身代わりをする意味は教えてもらえないからわからないんだよね。ニコルお兄様は婚約の為じゃないかって言ってたけど、それならアイリーン様本人でもいいわけだし…
う~~ん
「アイリーン。少しここでまっていてくれ。くれぐれも馬車から外に出ないように。」
「はい」
ニコルお兄様は馬車を降りて、従者をつれて道向こうに行ってしまった。
「ニコルお兄様、何してるのかな…」
けっこう時間がかかってるよね。さっき買ったお菓子を食べたいけど、そんなはしたない事は出来ないし…貴族ってめんどくさいな…
「ん?」
何だろう。外がざわついてる……?
「どうかしたの?」
御者に聞いてみた。
「ああ、はい。レキシントン伯爵に子供がぶつかったようでして。孤児だと思うのですが…」
「子供がぶつかっただけでこんなに騒ぎになってるの?」
「…お嬢様は顔を出さずにいてください。危ないですので。」
…そう言われると見てみたい。窓からは何も見えないので、ドアを開けてチラっと覗き見た。
「っっ!?」
ニコルお兄様には『馬車から出たらダメだ』と言われたけど、そんな事は頭からすっとんでいた。
子供が…まだ私より小さい男の子が、キレイな身なりをした男にボコボコに蹴られている。まわりは見てみぬふり。
ゆるせない!!
ガスッ
思わず飛び出た私は、その男に飛び蹴りをくらわせていた。
「っあんた!子供相手に何酷いことしてるのよ!!恥ずかしくないわけっ!!」
「いたた……っ貴様よくも…私を誰だかわかっているのか!!」
「知らないし、知りたくもないわ!あんたみたいな下衆な男!」
「なんだと……!!」
ヤバい、言い過ぎた…早くここから去って、馬車にもどらないと!
「君っ!ほら今のうちに早く逃げてっ!」
「うん……」
男の子は角をまがって見えなくなった。
これで、ひとまず…
「 っ!?」
ガツッ
「っいったっっ…」
男の子の方に気を向けすぎて、ガードが遅くなった。私は杖で頭をなぐられた。
「っっ!」
あーー!スカートがもたつく!これじゃうまくよけられない!!
2発目がくるっ!痛みを覚悟したときだった。
「おい、何をしている。」
そういって私達を止めにきた人がいた。
「なんだ貴様っ……あぁ…あなたは……」
男が声の主をみて、あきらかに動揺している。
「女、子供相手に暴力をふるうとは、おちたものだな…」
…この威圧感のある…この声……聞き覚えがある……心臓がドクドク音をたてて、全身から血の気がひいた。
「ユーリ!!どうしてこんな所…っ血がでてるじゃないかっ!!」
騒ぎを聞き付けてニコルお兄様が来てくれ たけど、今はうれしくない。
「お前は…アルフォート侯爵の…」
「っっグレアム殿下!?」
声をかけられてはじめて、殿下がいるのに気がついたみたいだった。
「…その娘は、ユーリというのか?」
「…はい」
「…っっ」
まずい…私は殿下とは1週間前に顔をあわせてる。バレてしまうかもしれない!!
ニコルお兄様の手にぎゅっと力がはいるのがわかった。
既に私をユーリと呼んでしまってる以上、私がアイリーンだと訂正するのはむつかしい。ニコルお兄様が今、私をアイリーンだと言ったとして、もしそれがアイリーン本人でないとわかってしまったら…それこそ大変な事になる。私が勝手な事をしたばっかりに!
…後悔するのは後!何とかしなきゃ!
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