結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください

シンさん

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本編後ストーリー

手がかり3

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「すみません、乗馬が出来る服で、1番安い物を下さい!あと出来れば馬をお借りしたいのだけど」
「シスターが着るんですか?」
「ええ」

 商会に私の顔は知られているけど、まさかシスター姿をしているのは思わないでしょう。簡単になれるものではないもの。

「畏まりました。では、ご用意致します」
「ありがとう」


 エドワードが来るのが明日の夕方。予測だもの多分もう少し早いはずよ。侯爵の手下が私に接触してくるなら、今日の夜だわ。

 証拠となる物が揃ってない。ううん、何一つない!

 エドワード…何故早く来るのよ。

 とりあえず、裏側へ馬で行く道を教えて貰わないと。

『シスター、ヤングと交わした契約書と…サインをした方は、どなたですか?』
『私です』
『シスターだったんですか?』
『ええ。早く言えばよかったですね』
『…いえ、ラクロスとの話が相違ないか聞けますし、落ち着いて話が出きるのはシスターくらいでしょうから。かえってよかったです』

 見せてもらった契約書は、ラクロスの説明通りだった。字が読めないから適当だったのね。
 ラクロスは私に嘘はついていなかった。きっと裏側の住人の方がヤングより怖いと判断したんだわ。

『シスター、シロブ語しか話せない、皆がそうなんですか?1人くらい、片言でもいいから話せる人はいなかったのでしょうか?』
『少しだけ話せる者は1人だけいました…。後から考えれば買収されてたのかもしれないですね』
『通訳してもらえなかったのですか?』
『いいえ。ただ違うとも言わなかった。本当に解らないのか、そこは定かではないので責める事も出来ません。裏側で爪弾つまはじきにされて街を出ていきましたが、今は何不自由なく暮らしているようです』
『その人に話を聞く時間は?』
『ありません。…また引っ越したようですから』

 次々と関係者を街から遠退かせてるのね。時間がない、考えながら動かなきゃね。

『シスター、馬で裏側の街まで行ける道をご存知ですか?』
『知ってはいますが、かなり馬術に長けた人でないと…崖っぷちですから』
『任せて下さい。自信はあります』
『貴女は何者なんですか?』
『ただのシロブ語を話せる女です』
『……』
『…疑ってます?』

 絶対にエドワードの婚約者だなんてバレては駄目。貴族側の人間だと知れば、信用してもらえなくなるわ。

『貴女が何であっても構いません』
『ふふ、では急ぎましょう』

 教えて貰った道は難しいと言われるだけあって、結構な難所。でもこれって向こうも同じ条件よ。
 崖は90度じゃない。もし落ちそうでも横滑りしない限りある程度の斜面なら馬は転がらない。本当かわからないけれど、東の国の本には『馬で崖を下りて奇襲した』と書いてあったし、今はそれを信じるわ。

 道幅的に、1人しか通れない。並走は無理、一列になるわね……。

ん?

『シスター、あの崖の下…』
『ああ、あれは戦の園です』
『この辺りもシスター達の土地ですか?』
『はい』

 これは、絶対に街の人に手伝って貰いたい。
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