結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください

シンさん

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本編後ストーリー

手がかり2

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 今は、この街の事だけを考えよう。他の事に頭を使う余裕はないわ。

 全てではないけど、目的の1つは暴けた。これを上手く利用しなきゃね。

「パリス、凄い情報だわ。契約書と同じくらいにね」
「……何か出来そうか?」
「ええ、黒幕を引っ張り出す事も出来るかもしれないわ。うまくいけばだけどね」
「…なら良かった」
「安心するのは成功してからよ。…パリス、申し訳ないんだけど100ニードル貸してもらえないかしら」
「そう言えば無一文なんだったね」
「この件が終わったら、必ず返しにくるわ。」
「了解」
「ありがとう!」

 1日目に借りればよかったわ…。

 エドワードが6日目に来るとするなら、明日中に何とかしないと駄目だよね。
 考えないと……。
 私という存在をこの街に残さず、裏側の街の事を解決できる方法をね。


 うーん、パリスにはああ言ったけど、この手紙だけでは信じてもらえるか微妙だわ。封蝋も公爵のものじゃ…ない………よね。
 この国へ来て、上位貴族の家紋は全て覚えさせられたけど、こんな家紋はないわ。

 パリスは何故これが、公爵からの手紙だとわかったのかしら。それに、この一通だけじゃなく、沢山の手紙が届いているっていうのは、どうやって知ったの?
 彼は侯爵の息子なのよ。届いた手紙の仕分けを侯爵令息がするわけないよね。やるとしても侯爵本人だわ。後ろ暗い事があるなら、誰にも見られたくないはずだもの。
 偶然知った場合、その手紙を怪しいと思う。けど簡単には開けないはずよ。パリスにはそこまでの度胸はないもの。
 嫌な予感がするわ……。

「ああ、やっぱり……」

 パリスがラクロスの住所の書いた紙と、手紙の筆跡がそっくりだわ。
 わざわざ私にこれを渡す意味…。私を上手く使って『公爵に汚名をきせる』…というヤングの思惑なのかもしれない。

 私はなんて愚か者なのかしら。必ずしもパリスは私に協力しているとは限らないのに。お父様に怒られたらそれが最後。私の熱弁も意味なんかないのよ。

 こうなると辛い。
 手がかりを何も手に入れられてない。物証な何もなければ、ラクロスに聞いた事が無意味になる…。
 今日、ラクロス家に行った時『会わない』と言われたのは、ヤングに何か言われていた。もし何か聞かれたとしても、それらしい事を言え…と命令されてた可能性もあるし……。これが私の考えすぎじゃなかったとしたら、この街の人は私より演技が上手ね。


「…っニナ、大変だ!」
「え?」

 帰ったはずのパリスが、青い顔をして私のもとへかけてきた。

「どうしたの?」
「…エドワード陛下が1日早く来るらしい。遅くても明日の夕方にはここに着いている。こうなると、父が君と明日の昼に話すなんて事はない。今日の夜、もしくは明日の朝には君に接触するはずだ。」
「それはまずいわ…」

 何故か1日早く来るのよ!
 予定が全て狂ったうえに、何の手がかりも無いままよ…。追い詰められたわ…。

 とりあえず、ステーシーのお店で乗馬が出来る服を買って、馬を借りる!考えるのはそれからよ。

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