167 / 187
本編後ストーリー
貴方ならできる2
しおりを挟む
「明日といったけれど、来てほしいところがあるの。裏側の街よ」
「……っ」
やっぱり皆怖いのよね。自分達がやってきた事の、罪の大きさを知るといいのよ。
「街を遠くから眺めるだけでいいの。パリス、貴方に話ができないなら、そこは私がやるわ。役割分担よ」
「……」
「貴方が助けたいと思う人が住む街を見れば、少し強くなれるわ」
「遠くから見るだけでもいいんだね…」
「ええ。行きましょう」
私達はお店を出て、教会までもどった。
『ただいま戻りました』
『早かったな…って、何でそいつがいるんだよ!お前も敵たったのか!』
『違うの!ブロギー君!話を聞いて!』
怒って当たり前だよね。ヤングの息子なんて見たくないだろうし…。
『ブロギー、少しニナさんの言う事を聞きましょう』
『シスター、ありがとうございます』
ブロギー君は納得いかないようだけれど、私は話を続けた。
『この人はヤングの息子だけど、唯一街の皆を救おうとした人なの。この街の事を伝えに行くために、王様に会いに行きたいと申し出てるくらい』
『そうなのですか?』
『ええ。だから一緒に来てもらいました。1度街を見たいそうです。さすがに中に入れないけど、遠目にでも見たい…と。知らなければ、エドワード陛下に伝えられないから…と』
『そんなのも全部ウソだ!!』
『ブロギー君…』
『解りました。信じましょう』
『何でだよっシスターっ!また騙されるぞっ!!』
『ブロギー、今の私達に盗まれる物がありますか?私達を騙して、2人が得られるものなどないでしょう』
『……』
『行きましょう。ヤングさん、ご案内します』
ヤングを案内する事は出来そうだけど、ブロギー君は怒って口をきいてくれないし、泊めてもらうのは無理そうかなぁ…。
それより今は、街まで歩く間に少しでも話を聞かないと。
「パリス、被害にあった人は他にも沢山いるの?」
「ああ、あと1つ同じような目にあってる……」
「その人達も裏側へ?」
「ああ、皆裏側へ…」
でもおかしいよね。ブロギー君達は言葉が解らなくて騙された。それはわかるけど…
「他の土地の人は、どうして土地を売ったの?簡単ではないはずよ」
「…何人か人を誘拐して、脅した」
「……誘拐っ!?」
「さすがにそれは許せなくて、子供を逃がしたら隔離された…。俺が出てきた時には……」
そう言って、ハリスが顔を横に振った。
「そんな事がなぜ通用するの?」
「それなりに得をする人がいる。父だけじゃなくてね。警察もその1つだよ」
想像以上に酷い警察だわ!それも絶対に捕まえる。
『2人とも、この道の上からなら街が見えます』
シスターが案内してくれた丘の上から、街が一望出来た。
「パリス…あれを見て」
「あれが、街?」
「そう、街なの…。家はなんとか並んでいるけど、ボロボロよ。この土地にしか住めなくなった人達の生活は劣悪なの」
2度目の私ですらまだ驚くんだから、パリスはもっとだよね。
「……」
「手伝ってくれる気持ちは出来た?」
「ああ。ただ契約書は難しい。今解ってるのは通訳の居場所。やっと突き止めた…」
「…っありがとう!」
パリスなりに、少しは動ていたんだわ。
さっきは酷い事を言ってしまったわね。今まで何もしなかった前提で、彼に話していたもの。
「……っ」
やっぱり皆怖いのよね。自分達がやってきた事の、罪の大きさを知るといいのよ。
「街を遠くから眺めるだけでいいの。パリス、貴方に話ができないなら、そこは私がやるわ。役割分担よ」
「……」
「貴方が助けたいと思う人が住む街を見れば、少し強くなれるわ」
「遠くから見るだけでもいいんだね…」
「ええ。行きましょう」
私達はお店を出て、教会までもどった。
『ただいま戻りました』
『早かったな…って、何でそいつがいるんだよ!お前も敵たったのか!』
『違うの!ブロギー君!話を聞いて!』
怒って当たり前だよね。ヤングの息子なんて見たくないだろうし…。
『ブロギー、少しニナさんの言う事を聞きましょう』
『シスター、ありがとうございます』
ブロギー君は納得いかないようだけれど、私は話を続けた。
『この人はヤングの息子だけど、唯一街の皆を救おうとした人なの。この街の事を伝えに行くために、王様に会いに行きたいと申し出てるくらい』
『そうなのですか?』
『ええ。だから一緒に来てもらいました。1度街を見たいそうです。さすがに中に入れないけど、遠目にでも見たい…と。知らなければ、エドワード陛下に伝えられないから…と』
『そんなのも全部ウソだ!!』
『ブロギー君…』
『解りました。信じましょう』
『何でだよっシスターっ!また騙されるぞっ!!』
『ブロギー、今の私達に盗まれる物がありますか?私達を騙して、2人が得られるものなどないでしょう』
『……』
『行きましょう。ヤングさん、ご案内します』
ヤングを案内する事は出来そうだけど、ブロギー君は怒って口をきいてくれないし、泊めてもらうのは無理そうかなぁ…。
それより今は、街まで歩く間に少しでも話を聞かないと。
「パリス、被害にあった人は他にも沢山いるの?」
「ああ、あと1つ同じような目にあってる……」
「その人達も裏側へ?」
「ああ、皆裏側へ…」
でもおかしいよね。ブロギー君達は言葉が解らなくて騙された。それはわかるけど…
「他の土地の人は、どうして土地を売ったの?簡単ではないはずよ」
「…何人か人を誘拐して、脅した」
「……誘拐っ!?」
「さすがにそれは許せなくて、子供を逃がしたら隔離された…。俺が出てきた時には……」
そう言って、ハリスが顔を横に振った。
「そんな事がなぜ通用するの?」
「それなりに得をする人がいる。父だけじゃなくてね。警察もその1つだよ」
想像以上に酷い警察だわ!それも絶対に捕まえる。
『2人とも、この道の上からなら街が見えます』
シスターが案内してくれた丘の上から、街が一望出来た。
「パリス…あれを見て」
「あれが、街?」
「そう、街なの…。家はなんとか並んでいるけど、ボロボロよ。この土地にしか住めなくなった人達の生活は劣悪なの」
2度目の私ですらまだ驚くんだから、パリスはもっとだよね。
「……」
「手伝ってくれる気持ちは出来た?」
「ああ。ただ契約書は難しい。今解ってるのは通訳の居場所。やっと突き止めた…」
「…っありがとう!」
パリスなりに、少しは動ていたんだわ。
さっきは酷い事を言ってしまったわね。今まで何もしなかった前提で、彼に話していたもの。
52
お気に入りに追加
5,310
あなたにおすすめの小説

またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
私の愛した婚約者は死にました〜過去は捨てましたので自由に生きます〜
みおな
恋愛
大好きだった人。
一目惚れだった。だから、あの人が婚約者になって、本当に嬉しかった。
なのに、私の友人と愛を交わしていたなんて。
もう誰も信じられない。

【完結】婚約者様、王女様を優先するならお好きにどうぞ
曽根原ツタ
恋愛
オーガスタの婚約者が王女のことを優先するようになったのは――彼女の近衛騎士になってからだった。
婚約者はオーガスタとの約束を、王女の護衛を口実に何度も破った。
美しい王女に付きっきりな彼への不信感が募っていく中、とある夜会で逢瀬を交わすふたりを目撃したことで、遂に婚約解消を決意する。
そして、その夜会でたまたま王子に会った瞬間、前世の記憶を思い出し……?
――病弱な王女を優先したいなら、好きにすればいいですよ。私も好きにしますので。

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?
つくも茄子
ファンタジー
私、ヘスティア・スタンリー公爵令嬢は今日長年の婚約者であったヴィラン・ヤルコポル伯爵子息と婚約解消をいたしました。理由?相手の不貞行為です。婿入りの分際で愛人を連れ込もうとしたのですから当然です。幼馴染で家族同然だった相手に裏切られてショックだというのに相手は斜め上の思考回路。は!?自分が次期公爵?何の冗談です?家から出て行かない?ここは私の家です!貴男はもう赤の他人なんです!
文句があるなら法廷で決着をつけようではありませんか!
結果は当然、公爵家の圧勝。ヤルコポル伯爵家は御家断絶で一家離散。主犯のヴィランは怪しい研究施設でモルモットとしいて短い生涯を終える……はずでした。なのに何故か薬の副作用で強靭化してしまった。化け物のような『力』を手にしたヴィランは王都を襲い私達一家もそのまま儚く……にはならなかった。
目を覚ましたら幼い自分の姿が……。
何故か十二歳に巻き戻っていたのです。
最悪な未来を回避するためにヴィランとの婚約解消を!と拳を握りしめるものの婚約は継続。仕方なくヴィランの再教育を伯爵家に依頼する事に。
そこから新たな事実が出てくるのですが……本当に婚約は解消できるのでしょうか?
他サイトにも公開中。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる