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本編後ストーリー
にぎやかな街2
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パリスは図書館にいる事が多いって聞いたから来てみたけど、やっぱりいたわ。
きっと、お父様から逃げたいのね。
パリスに契約書を持ってくるなんて無理だろうし、厳重に保管してあるよね。
「こんにちは。昨日は話の途中で退席してご免なさい。詳しいお話しを」
「……何もないよ」
あぁ、これら先手を打たれたわ。
パリスはお父様に脅されてる。昨日とちがって、私と話をしようという姿勢すらないわね。
「……」
「何か話したい時は坂の上にある教会に来て下さい。私はそこにいます。無理にとは言わないわ。失礼します」
「……」
「そうだ…裏側の街を見た事はありますか?」
「何故…?」
「いえ、悩んでいたのはそれではないかと思っただけです。1度確認すべきかもしれませんね。その時はご一緒します。貴方が行けばおそらくただではすまない。そこまできているのよ。いつまで『格差』だなんて、そんな悠長な事を言っていられるかしら」
「……」
「どんなものでも、崩壊するのはあっという間なのよ。……今度こそ失礼します」
パリスが街を見てやる気が起きるか、もう手遅れだ……と思って投げ出すか、それで変わってくるんだよね。
……仕事探しをしてる場合ではないけど、お金が無くては何も出来ないわ。シスターにパンを頂いて、最後に一括払いを頼みこむしかない!!
街の事…今は少しずつでも綻びを作るしか解決策はないよね。次は『何もしなかった警察』を揺さぶってみようかしら。
「すみませーん」
「はいはい。なんですかー」
「私の鞄は見つかったかしら?3日前に来たのだけど、届いてませんか?」
「ああ、届いてませんね」
「目撃情報があると聞きました。私が返してくれと言っても聞き入れてくれませんので、どなたか一緒に来て下さいませんか?」
「俺達は忙しい。」
「あれにはエドワード陛下の私物が入っています。それを蔑ろにするのですね」
「…プッ!アハハハ!お前、頭がおかしいのか?」
「言うに事欠いて、国王の名前を出すなんて!馬鹿か!!」
署内皆に笑われたわ。まぁ、そうなるよね。誘拐の時も同じ反応だったし、別に驚かないけどね。
「ヤング侯爵に御伝え願えますか。『ニナ・スミスはエドワード王の私物を持って来ていた。それが無いと今回の視察で大変な事になる』とね」
「はいはい、言っとく言っとく」
「わかってないわね。これは忠告ではなく、警告よ。ニナ・スミスの名を言えばわかるわ。では、失礼するわね。私はどちらでもいいのよ。まぁ、従えないなら荷づくりしておく事をおすすめするわ」
これで、1人でも不安になれば『一応確認しておこう』ってなると思うの。侯爵に指示されて色々していたわけだし、誰1人侯爵に会えないという事はないはずよ。
きっと、お父様から逃げたいのね。
パリスに契約書を持ってくるなんて無理だろうし、厳重に保管してあるよね。
「こんにちは。昨日は話の途中で退席してご免なさい。詳しいお話しを」
「……何もないよ」
あぁ、これら先手を打たれたわ。
パリスはお父様に脅されてる。昨日とちがって、私と話をしようという姿勢すらないわね。
「……」
「何か話したい時は坂の上にある教会に来て下さい。私はそこにいます。無理にとは言わないわ。失礼します」
「……」
「そうだ…裏側の街を見た事はありますか?」
「何故…?」
「いえ、悩んでいたのはそれではないかと思っただけです。1度確認すべきかもしれませんね。その時はご一緒します。貴方が行けばおそらくただではすまない。そこまできているのよ。いつまで『格差』だなんて、そんな悠長な事を言っていられるかしら」
「……」
「どんなものでも、崩壊するのはあっという間なのよ。……今度こそ失礼します」
パリスが街を見てやる気が起きるか、もう手遅れだ……と思って投げ出すか、それで変わってくるんだよね。
……仕事探しをしてる場合ではないけど、お金が無くては何も出来ないわ。シスターにパンを頂いて、最後に一括払いを頼みこむしかない!!
街の事…今は少しずつでも綻びを作るしか解決策はないよね。次は『何もしなかった警察』を揺さぶってみようかしら。
「すみませーん」
「はいはい。なんですかー」
「私の鞄は見つかったかしら?3日前に来たのだけど、届いてませんか?」
「ああ、届いてませんね」
「目撃情報があると聞きました。私が返してくれと言っても聞き入れてくれませんので、どなたか一緒に来て下さいませんか?」
「俺達は忙しい。」
「あれにはエドワード陛下の私物が入っています。それを蔑ろにするのですね」
「…プッ!アハハハ!お前、頭がおかしいのか?」
「言うに事欠いて、国王の名前を出すなんて!馬鹿か!!」
署内皆に笑われたわ。まぁ、そうなるよね。誘拐の時も同じ反応だったし、別に驚かないけどね。
「ヤング侯爵に御伝え願えますか。『ニナ・スミスはエドワード王の私物を持って来ていた。それが無いと今回の視察で大変な事になる』とね」
「はいはい、言っとく言っとく」
「わかってないわね。これは忠告ではなく、警告よ。ニナ・スミスの名を言えばわかるわ。では、失礼するわね。私はどちらでもいいのよ。まぁ、従えないなら荷づくりしておく事をおすすめするわ」
これで、1人でも不安になれば『一応確認しておこう』ってなると思うの。侯爵に指示されて色々していたわけだし、誰1人侯爵に会えないという事はないはずよ。
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