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子供の頃の小話 全23話

あめ

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 カールの家に行ったけど、カールもクール様もいない。
 面白くないから散歩しようかな。街は怖いからお邸の後ろにある野原に。

 そこからなら、お邸も見えるから大丈夫かな。
 歩いてたら、前からおじさんが歩いて来て『飴をあげるからついておいで』って。
 おやつの時間はまだだけど、食べたい。

「おじさんは、どこの家の人?カールの知り合い?」

「そうだよ、カール君の知り合いだよ」


 カールの知ってる人だったらいい人だと思うし、一緒に行っても大丈夫かな。

「ねぇ、おじさん。飴はいつくれるの?」

 もうすぐお邸が見えないところまで来ちゃうし、迷子になるかもしれない。

「そこに馬車があるから、そこであげよう。沢山種類があるから選んでいいよ。」

「いっぱいあるの?」

「いっぱいあるよ。全部食べてもいいよ。」

「カールとクール様の分も、もらっていい?」

「ああ、いいとも。」

「やったぁ!」

 お邸にはブドウのジュースもあるって言ってたし、おやつがいっぱい!


「ニーナーっ!!」

 あ、クール様だ。

「クール様、ここだよぉ!」

 すごい勢いで馬に乗ってこっちにきた。

「クール様も飴をもらいに来たの?」

「飴?」

「うん。このおじさんカールの知り合いで、飴をくれる人。」

「ほう…、カールの知り合いね。俺の弟の知り合いに、お前のような下衆はいないが、俺が知らないだけか?」

 クール様がとても怒ってる。なんでかな?

「お嬢様!!勝手に出て行っては危険です!!」

「ベラ、ニーナを連れて邸へ、それから警備を呼んでくれるかな。あと警察も。」




「ねぇ、あのおじさんからまだ飴をもらってないよ。」

「何を仰ってるのですか!飴は邸に沢山あります。」

「そうなの?」

「そうです。奥様が焼いたクッキーもございます。」

「やったー!ベラ、早く帰ろう。」


 飴よりクッキーのほうが好きだから、おじさん、ごめんなさい。


 ・・・・

「お前、いい度胸をしているな。我が敷地内で堂々と誘拐か?」


「いえ、私は飴を…」

「飴だと?…ニーナを拐おうだなんて、生きて帰れると思うなよ。」

「ひぃぃ…」

 この後、クールにボコボコにされ、警備に引きずられ、警察へ連行された。
 彼の行く末を知るものは誰もいない…



 クールはこの時『ニーナを強くしなければ』と思ったのでした。



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