結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください

ニーナとエドワード2

「どういう事？私を帰すって、何故？」

「結婚する相手は君じゃなくなるかもしれない。」

「……え？」

「君を王妃に…その話は半々なんだ。当然だ。今この常態で伯爵の娘と結婚するよりも、適切な女性がいる…。国と国をつなぐなら、そうなる為の結婚をするのが１番いい。」

「…その通りだよね。」

…政略結婚、まさにこういうものね。道具と同じだもの。……。

「うん、もともと私は逃げてたんだし、
良かったんだよ。結婚したくないって言ってたんだから。」

「少しぐらい動揺してくれるかと思ったけど…君には喜ばしい事か。」

「……っ」

そんな事ない…って言おうと思ったけど、言えなかった。
私は動揺しては駄目だから。申し訳ないと、エドワードの重荷になる。
私に助けてもらったのに…って。そうなるのは嫌よ。

「何かあれば私が助けてあげるわ。貴方は国にとって１番いい選択をしなさい。……物凄く偉そうに話してるよね。何様なのかしら、私。」

「ニーナ・サナス伯爵令嬢、今はまだ俺の
婚約者様。」

今はまだ…ね。

「私は国に帰ったら、素性を隠して働くわ。実はこの国で、１人暮らしをして働いて生活する計画があったのよ。貴方から逃げ切ってね。」

「……」

「誰と結婚しても、その女性と楽しい家庭を築けるわ。私達だって…お互いを好きな訳ではないんだもの。」

「……俺は、」
「ねぇ、叩いたの痛かった？」
「…めちゃくちゃ痛かった。」
「どこにいても、貴方が道を間違えたら殴りに来るわ。今度は拳でよ。２ヶ月放置は重罪よ。」

「はは…わざと道を間違えようかな…」

「ん？何か言った？」

「いや、何でもないよ。」

何かボソッと言った気がするけど、聞こえなかった。

事件があってから、ここに帰ってくるまで
ほんの数日。
エドワードがこうやって説明にくるのは、きっともう私は婚約者じゃないから…。




次の日から、エドワードとは全く顔を合わせる事はなかった。
どうなったのか、私は聞けないし…。聞いたからって何を出来る訳でもないしね。
勢いで行動は出来ても、頭を使って何かするなんて絶対無理。

婚約者は…誰になったのかしら。レイラ姫…とかその辺りだよね。


それから１週間


「私、いつまで城に閉じ込められるのかしら。外に出してもらえないし、ボナースにもいけないし、もし国へ帰るならお別れはしたいわ。」 

パンッ 
「………」
その音と一緒に、私のすぐ横にある柱に弾が埋まった。
狙われてる…？
何を狙われる要素があるの？もうすぐ国へ帰る19才の女に…。
柱に隠れようとしたけど遅かった。

パンッ

あたったの…？
脇腹が痛い…熱…い……
「はぁはぁ…ぅう…」
誰か呼ばないと……

けど、こんな広いところ…
「だれ……った…けて……ぅうう…」
左手で壁に手をついて、右手で脇腹を押さえつけて歩くけど…

どうにかなるものじゃない…

私はその場に崩れ落ちた。
意識をしっかりもたないと……



「キャーー！！誰かっ！誰か来てーー！
ニーナ様がっっ！」


あ、誰か気がついてくれた…？

ぼやけてた視界が、真っ暗になった。