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王子様の脱走2
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「おじさん、ボナースまでお願い。」
「はいよ」
…何で逃げてきたのかしら。エドワードは
普通に笑っただけよ。
今までの胡散臭い笑顔、あれとのギャップに驚いただけだわ。今までが酷すぎたから、調子が狂ったのね。『君が来てよ』って、
どうせすぐに城に帰るわ。
エドワードは婚約から逃げてるだけなのかしら。何も考えずにそんな事をしそうな人じゃないもの…って何故エドワードの肩をもつような事を言ってるの。
私を放置したという、その結果がこれよ。
自業自得だよね。
・・・・
「『似た人』…か。」
噂を流したのは、ニーナを知っている人で、尚且つニーナが知る人物。
舞踏会で会った人物に、ニーナが追いかけてまで話したかった奴はいないはずだ。
ニーナが誰かに自分の正体を明かすはずはない。伯爵にすら黙っていたくらいだ。
クリフの調べでは、支援金について『エイダ』という女と問題を起こしたらしいが、調べても何もなかった。
『婚約者の存在』は数人しか知らない。情報がそこから漏れたとは思えない。すぐに足がつく。父上の側近として働く地位と名誉があるのに、危ない橋は渡らない。
特徴を知っていて、ニーナがいなくなった事を知ってる可能性がある。そして1番得するのは誰か…この邸にいた3人のうちの誰かだ。
おそらくクールがニーナに事情を聞くだろう。この場所を知っているのだから、連れてくるはずだ。
非公式での話ができる。
誰が何のために…。
それが娘と俺を結婚させたいというだけならいいんだが…。
本当ならニナに結婚してくれ…っと言ってたはずが…。この問題が解決するまで後回しだ。
俺の思惑が台無しだ。
・・・・
「…どういう事だ。」
ボナースへ帰るとクール様がお怒りでした。
「クール様、落ち着いて下さい。」
「落ち着いてる。」
エドワードの噂の真相を聞きに来たんだよね。
渦中の人に会ったけれど、あまり『婚約』や『結婚』というものに触れたくなかったから聞かなかったわ。
「あの男…いや、この国には馬鹿しかいないのか?」
「……」
「こうなれば、うちの国だって黙っていられない。今は俺が確認してくるから待ってくれ…と言っているが、これがあと数日でも続くようなら、どんな事をしてもニーナを帰国させろと言われてる。」
「ええっ!?別にいいよ!エドワードが結婚してくれた方が、自由になれて嬉しいの!」
「はぁ…、ニーナの気持ちの問題じゃなくて、国として困るんだ。『うちの国の女を引っ張って行って、実は他の女と結婚します』なんて事、馬鹿にされてる。そして
『無理やり連れていって、ニーナに何をした!』となる。」
「何もされてないって、説明をしてよ。」
「…問題はカタサの族長が怒り始めてるんだ。国王もそこは蔑ろに出来ない。この前の海路の件も、このままならご破算だ。」
「族長…まずいよね…」
「まずいどころか最悪だ。」
「クール様、どうしよう。」
「とにかく、あの男に会って話を聞く。だが、面会は一切受け入れてもらえない。そこはおかしいとは思っているんだ。」
「…受け入れてもらえない…」
それは逃げてるからよね。
「ニーナ、あの男と何とか連絡をとれないか?出来なければ強制送還、一人暮らしも夢で終わるぞ。」
「いやよ!絶対にあの2人には結婚してもらうわ!」
「…ニーナ、今までの俺の話をきいていたか?」
「聞いてたわよ!エドワードが上手く結婚してくれれば、私は自由!」
「……自由になるために働け。」
「うん。エドワードの居場所はわかるわ。」
「それをもっと早く言えっ!行くぞ!!」
「はい!」
「はいよ」
…何で逃げてきたのかしら。エドワードは
普通に笑っただけよ。
今までの胡散臭い笑顔、あれとのギャップに驚いただけだわ。今までが酷すぎたから、調子が狂ったのね。『君が来てよ』って、
どうせすぐに城に帰るわ。
エドワードは婚約から逃げてるだけなのかしら。何も考えずにそんな事をしそうな人じゃないもの…って何故エドワードの肩をもつような事を言ってるの。
私を放置したという、その結果がこれよ。
自業自得だよね。
・・・・
「『似た人』…か。」
噂を流したのは、ニーナを知っている人で、尚且つニーナが知る人物。
舞踏会で会った人物に、ニーナが追いかけてまで話したかった奴はいないはずだ。
ニーナが誰かに自分の正体を明かすはずはない。伯爵にすら黙っていたくらいだ。
クリフの調べでは、支援金について『エイダ』という女と問題を起こしたらしいが、調べても何もなかった。
『婚約者の存在』は数人しか知らない。情報がそこから漏れたとは思えない。すぐに足がつく。父上の側近として働く地位と名誉があるのに、危ない橋は渡らない。
特徴を知っていて、ニーナがいなくなった事を知ってる可能性がある。そして1番得するのは誰か…この邸にいた3人のうちの誰かだ。
おそらくクールがニーナに事情を聞くだろう。この場所を知っているのだから、連れてくるはずだ。
非公式での話ができる。
誰が何のために…。
それが娘と俺を結婚させたいというだけならいいんだが…。
本当ならニナに結婚してくれ…っと言ってたはずが…。この問題が解決するまで後回しだ。
俺の思惑が台無しだ。
・・・・
「…どういう事だ。」
ボナースへ帰るとクール様がお怒りでした。
「クール様、落ち着いて下さい。」
「落ち着いてる。」
エドワードの噂の真相を聞きに来たんだよね。
渦中の人に会ったけれど、あまり『婚約』や『結婚』というものに触れたくなかったから聞かなかったわ。
「あの男…いや、この国には馬鹿しかいないのか?」
「……」
「こうなれば、うちの国だって黙っていられない。今は俺が確認してくるから待ってくれ…と言っているが、これがあと数日でも続くようなら、どんな事をしてもニーナを帰国させろと言われてる。」
「ええっ!?別にいいよ!エドワードが結婚してくれた方が、自由になれて嬉しいの!」
「はぁ…、ニーナの気持ちの問題じゃなくて、国として困るんだ。『うちの国の女を引っ張って行って、実は他の女と結婚します』なんて事、馬鹿にされてる。そして
『無理やり連れていって、ニーナに何をした!』となる。」
「何もされてないって、説明をしてよ。」
「…問題はカタサの族長が怒り始めてるんだ。国王もそこは蔑ろに出来ない。この前の海路の件も、このままならご破算だ。」
「族長…まずいよね…」
「まずいどころか最悪だ。」
「クール様、どうしよう。」
「とにかく、あの男に会って話を聞く。だが、面会は一切受け入れてもらえない。そこはおかしいとは思っているんだ。」
「…受け入れてもらえない…」
それは逃げてるからよね。
「ニーナ、あの男と何とか連絡をとれないか?出来なければ強制送還、一人暮らしも夢で終わるぞ。」
「いやよ!絶対にあの2人には結婚してもらうわ!」
「…ニーナ、今までの俺の話をきいていたか?」
「聞いてたわよ!エドワードが上手く結婚してくれれば、私は自由!」
「……自由になるために働け。」
「うん。エドワードの居場所はわかるわ。」
「それをもっと早く言えっ!行くぞ!!」
「はい!」
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