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不機嫌な王子2
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水を貰おうと、宿主のもとへ。廊下を左に曲がればすぐ…だけど声が聞こえた。
『この女性を探している。ここに泊まってないか?』
「っ!?」
これは…きっと私の事だよね?
「知らないねぇ、この若い娘さんは何かしたのかい?」
「いや、見かけたら言ってくれ。」
カツカツとブーツの音がする。新しいものか、頑丈に作られたものだわ。きっと警察や兵士に支給されたものよ。私を探してここまで来てる。
急いで部屋にもどった。
伯爵がエドワードに言ったのね。…婚約の話も聞いたよね。だとすれば、あの男と結婚話は進まない。
でも、またこういう事が起こるかもしれないと思われたなら、やっぱり監禁、よくて軟禁よ。この対応の早さが怖い。本気だわ…。
どうしよう。1週間くらいこの宿に…
駄目ね…。いつ出発しても関係ない。馬車だって使えない。御者にだって話は通ってるはずだもの。手詰まりよ。
都合よくカペットに行く荷馬車が通って、乗せてくれる…なんて奇跡は起きないのよ。
鞄を持って宿を出ると、すぐ騎士が私の方へ寄ってきた。
「ニナ・スミス様ですか?」
「いいえ。誰かとお間違えではないかしら。」
しらを切る。無謀かもしれないけど、これしか思い付かない!
「だが、これは君だろう。」
騎士がもつ姿絵は、誰が見ても私。
「違います。」
「では、オリビア?」
オリビアまで対象に入れてるなんて…。
「それがどなたかは知りませんが、私に似た人でしょう。私はニーナです。間違われるなんて心外だわ。」
きっとニーナの名前だけは知らないはずよ。
「…すまんが、1度きてもらう。」
「わかりました。参りましょう。」
今から私は『ニーナ』として、エドワードと会う。
全てが『はじめまして』よ。
直接対決するわ。
案内されたのはクリフのもと。
「貴女は『ニーナ・サナス様』ですか?」
「そうです。貴方は?」
「失礼しました。私はクリフ・ベイリーと申します。」
「私をここに呼んだのは、婚約の話ですか?そのお話、まだ進んでいたのですね。」
「…どういう意味でしょうか?」
「殿下には私以外に恋人がいるのでしょう?その方と結婚すればいいではありませんか。」
「…エドワード殿下が参りますので。お待ち下さい。」
「はい。」
私が私を演じる日が来るなんて…。
ガチャ
部屋に入ってきたのはエドワードだけだった。普通ならクリフも入ってくるよね。
自己紹介をしようと立ち上がると、「知ってるから構わない」と制されてしまった。
「初めまして…かな?」
「ええ。初めましてですわ。」
今の私は、エドワードに会いに来てもらえなかった、『惨めなニーナ・サナス伯爵令嬢』そして『貴方の婚約者』よ。
『この女性を探している。ここに泊まってないか?』
「っ!?」
これは…きっと私の事だよね?
「知らないねぇ、この若い娘さんは何かしたのかい?」
「いや、見かけたら言ってくれ。」
カツカツとブーツの音がする。新しいものか、頑丈に作られたものだわ。きっと警察や兵士に支給されたものよ。私を探してここまで来てる。
急いで部屋にもどった。
伯爵がエドワードに言ったのね。…婚約の話も聞いたよね。だとすれば、あの男と結婚話は進まない。
でも、またこういう事が起こるかもしれないと思われたなら、やっぱり監禁、よくて軟禁よ。この対応の早さが怖い。本気だわ…。
どうしよう。1週間くらいこの宿に…
駄目ね…。いつ出発しても関係ない。馬車だって使えない。御者にだって話は通ってるはずだもの。手詰まりよ。
都合よくカペットに行く荷馬車が通って、乗せてくれる…なんて奇跡は起きないのよ。
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「いいえ。誰かとお間違えではないかしら。」
しらを切る。無謀かもしれないけど、これしか思い付かない!
「だが、これは君だろう。」
騎士がもつ姿絵は、誰が見ても私。
「違います。」
「では、オリビア?」
オリビアまで対象に入れてるなんて…。
「それがどなたかは知りませんが、私に似た人でしょう。私はニーナです。間違われるなんて心外だわ。」
きっとニーナの名前だけは知らないはずよ。
「…すまんが、1度きてもらう。」
「わかりました。参りましょう。」
今から私は『ニーナ』として、エドワードと会う。
全てが『はじめまして』よ。
直接対決するわ。
案内されたのはクリフのもと。
「貴女は『ニーナ・サナス様』ですか?」
「そうです。貴方は?」
「失礼しました。私はクリフ・ベイリーと申します。」
「私をここに呼んだのは、婚約の話ですか?そのお話、まだ進んでいたのですね。」
「…どういう意味でしょうか?」
「殿下には私以外に恋人がいるのでしょう?その方と結婚すればいいではありませんか。」
「…エドワード殿下が参りますので。お待ち下さい。」
「はい。」
私が私を演じる日が来るなんて…。
ガチャ
部屋に入ってきたのはエドワードだけだった。普通ならクリフも入ってくるよね。
自己紹介をしようと立ち上がると、「知ってるから構わない」と制されてしまった。
「初めまして…かな?」
「ええ。初めましてですわ。」
今の私は、エドワードに会いに来てもらえなかった、『惨めなニーナ・サナス伯爵令嬢』そして『貴方の婚約者』よ。
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