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助けてほしい婚約者
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「ただいま戻りました。」
「ニナっ!お帰り!マールは何か失礼な事をしてなかったかい?」
「全く。物凄く仲良くなって『また遊ぼう』って約束までしてましたから。」
「はぁ…よかった…。」
息子と教育係りだけでエドワードと会ってたんだし、伯爵も気が気じゃないよね。
本当に遊んだだけで、ニーナの事には一切触れてこなかった。調子が狂う。
何が目的なのかしら…。余計に怖いよ。
それから1週間後。
夜、私は伯爵に呼び出された。
「……へ?」
「君を息子の婚約者に…と、ヒル侯爵から申し込んで来た。」
ちょっとまって…
エドワードから必死に逃げているのに、別の婚約?冗談じゃないわ…。それならまだエドワードの方がましよ。
国との関係にヒビも入らないし。それに見た目だけなら爽やかだもの。
「婚約…と言っても、私は貴族ではないのですが…。」
「公爵のパーティーで君に一目惚れしたらしくてね。侯爵からは『三男だし相手に身分は求めない』と。」
三男…そりゃ上2人と扱いは違うと思うけど、それでも侯爵家の子。相手が教育係りでもいいなんて事はないよね。縁談だってあるはず。
一目惚れが嘘なら、考えられるのは伯爵との繋がり、あわよくばエドワードとリード公爵とも接触できる。
って、そんな訳がないよね。さすがに浅はか過ぎる。
こんなのあり得ないでしょ…。この国に来てから、不幸に見舞われ過ぎだわ。
お断りします…。って言うにしても、理由がいるわ。『教育係りが楽しいから…』理由にならない!!
『実は私には婚約者がいるんです』で断れる?
伯爵が断わりきれる相手なのであればいいけど…。
「返事はすぐで無くてもよろしいですか?」
「ああ、ゆっくり考えてくれて構わない。」
「ありがとうございます。では、失礼します。」
何だか無理そうだわ…。
私が断らなかったから、安心していたもの。侯爵家の三男…どこかのご令嬢と結婚すればいいのに!
助けを求められる相手は、エドワードしかいないわ。でもそんな事はしたくない。都合がよすぎるもの。
というか、『友達だから助けて…』なんて言える機会すらないわね。向こうからアクションがなければ会える相手じゃないんだから。
…どうしよう。
クール様に相談するにしても、この国にいないわ。ステーシーは?商売上、敵は作りたくないよね。
またしても孤立無援だわ。
いざとなったら逃げるしかない。けどボナースはもう無理。住み込みで働ける所じゃないと。
恩を仇で返す形になってしまうけど、伯爵ごめんなさい!
私は自由が欲しいの!楽しく暮らしたいの!
裕福な暮らしと身分が欲しいなら、エドワードの胸に飛び込んでます。
次の日、
早朝から職探しへ。
場所はこの前と違う街。女性が働けそうな職種が多いけど、住み込みでってなると話は別よね。
そんな上手く見つかるようなら、私は既に伯爵家を出ているわ。
とりあえず『私には婚約者がいる』っとお断りして、断れないなら出て行こうと思う。
う~ん…食堂、ウェイター。
今なら出来る気がする。
そんな日を繰り返して3日。
「……」
侯爵の息子だと思われる男性が訪ねてきた。
綺麗にしてるけれど体はヒョロヒョロでスポーツなんてする事も無さそう。23才になっても特にこれといった仕事もせず…ハッキリ言って私の大嫌いなタイプよ。
「ニナ、すまない。」
…もしかして、今日来るの知ってたとか?だったらさすがに酷すぎるよね。
「やあ、ニナ!はじめまして。」
初対面の貴方に『ニナ』って呼ばれたくないわ…。
「返事を聞かせて貰いたい。」
私、まだ貴方の名前も聞いてないんだけど…。
婚約の返事ね。
「もう少し待っていただくよう伝えておいたのですが、聞いてませんでしょうか?」
伯爵が私にこの人が来る事を予め伝えてないと言う事は、自分では返事を出来ない相手…家柄。
「申し訳ございませんが、私はこの国の者ではありません。既に婚約者もいますのでお断り致します。」
私が言うと、相手の形相が変わった。
「俺が教育係りでもいいと言っているのに、母国へ帰るだと!!」
「ええ。」
あぁ、こういう我が儘なのも、結婚出来ない 1つね。その年で感情をコントロール出来ないなんて…。
「来月には帰ります。」
「そんな事は関係ない!」
イライラするわ。
それからはもう怒って話にならなかったのよね。
『俺はヒル侯爵家の者だ。』とか、『お前みたいな女を嫁にもらってやるんだから感謝しろ』とかね。お断りしてるのに、何で感謝しなきゃいけないのかしら。
「ニナ…申し訳ない…。」
「まさか、本人が来るとは思っていませんでしたが、お断り出来ましたので。」
「…それが、話は進んでいるようなんだ。」
「…どういう事でしょうか?返事をしたのは今ですが。」
「進んでいる…というか、『結婚する事になった』と、色々な所で言っている。どうにか結婚させたいらしい。教育係りでも君の存在は有名だ。」
エドワードと舞踏会に行ったからだよね。
「私はこの国の者で無いのです。勝手に結婚など進められても困ります。」
「……わかった。」
「では、失礼します。」
あれは、絶対わかってないわ。その場しのぎ。でなければ、今日来る事を黙っているはずがないもの。
出ていこう。
マール君をまた泣かせてしまう事になるけれど、今回はそちらの勝手な都合のせいだしね。貴族との接触は嫌だ…と言っておいたわ。婚約の話なんて論外よね。
次の日
夜が明けてすぐ、手紙を残して伯爵邸を出た。
どしゃ降りで、殆んど人がいないし視界も悪い。監視がいても見付かりにくい。逃げるにはもってこいの日ね。
「ニナっ!お帰り!マールは何か失礼な事をしてなかったかい?」
「全く。物凄く仲良くなって『また遊ぼう』って約束までしてましたから。」
「はぁ…よかった…。」
息子と教育係りだけでエドワードと会ってたんだし、伯爵も気が気じゃないよね。
本当に遊んだだけで、ニーナの事には一切触れてこなかった。調子が狂う。
何が目的なのかしら…。余計に怖いよ。
それから1週間後。
夜、私は伯爵に呼び出された。
「……へ?」
「君を息子の婚約者に…と、ヒル侯爵から申し込んで来た。」
ちょっとまって…
エドワードから必死に逃げているのに、別の婚約?冗談じゃないわ…。それならまだエドワードの方がましよ。
国との関係にヒビも入らないし。それに見た目だけなら爽やかだもの。
「婚約…と言っても、私は貴族ではないのですが…。」
「公爵のパーティーで君に一目惚れしたらしくてね。侯爵からは『三男だし相手に身分は求めない』と。」
三男…そりゃ上2人と扱いは違うと思うけど、それでも侯爵家の子。相手が教育係りでもいいなんて事はないよね。縁談だってあるはず。
一目惚れが嘘なら、考えられるのは伯爵との繋がり、あわよくばエドワードとリード公爵とも接触できる。
って、そんな訳がないよね。さすがに浅はか過ぎる。
こんなのあり得ないでしょ…。この国に来てから、不幸に見舞われ過ぎだわ。
お断りします…。って言うにしても、理由がいるわ。『教育係りが楽しいから…』理由にならない!!
『実は私には婚約者がいるんです』で断れる?
伯爵が断わりきれる相手なのであればいいけど…。
「返事はすぐで無くてもよろしいですか?」
「ああ、ゆっくり考えてくれて構わない。」
「ありがとうございます。では、失礼します。」
何だか無理そうだわ…。
私が断らなかったから、安心していたもの。侯爵家の三男…どこかのご令嬢と結婚すればいいのに!
助けを求められる相手は、エドワードしかいないわ。でもそんな事はしたくない。都合がよすぎるもの。
というか、『友達だから助けて…』なんて言える機会すらないわね。向こうからアクションがなければ会える相手じゃないんだから。
…どうしよう。
クール様に相談するにしても、この国にいないわ。ステーシーは?商売上、敵は作りたくないよね。
またしても孤立無援だわ。
いざとなったら逃げるしかない。けどボナースはもう無理。住み込みで働ける所じゃないと。
恩を仇で返す形になってしまうけど、伯爵ごめんなさい!
私は自由が欲しいの!楽しく暮らしたいの!
裕福な暮らしと身分が欲しいなら、エドワードの胸に飛び込んでます。
次の日、
早朝から職探しへ。
場所はこの前と違う街。女性が働けそうな職種が多いけど、住み込みでってなると話は別よね。
そんな上手く見つかるようなら、私は既に伯爵家を出ているわ。
とりあえず『私には婚約者がいる』っとお断りして、断れないなら出て行こうと思う。
う~ん…食堂、ウェイター。
今なら出来る気がする。
そんな日を繰り返して3日。
「……」
侯爵の息子だと思われる男性が訪ねてきた。
綺麗にしてるけれど体はヒョロヒョロでスポーツなんてする事も無さそう。23才になっても特にこれといった仕事もせず…ハッキリ言って私の大嫌いなタイプよ。
「ニナ、すまない。」
…もしかして、今日来るの知ってたとか?だったらさすがに酷すぎるよね。
「やあ、ニナ!はじめまして。」
初対面の貴方に『ニナ』って呼ばれたくないわ…。
「返事を聞かせて貰いたい。」
私、まだ貴方の名前も聞いてないんだけど…。
婚約の返事ね。
「もう少し待っていただくよう伝えておいたのですが、聞いてませんでしょうか?」
伯爵が私にこの人が来る事を予め伝えてないと言う事は、自分では返事を出来ない相手…家柄。
「申し訳ございませんが、私はこの国の者ではありません。既に婚約者もいますのでお断り致します。」
私が言うと、相手の形相が変わった。
「俺が教育係りでもいいと言っているのに、母国へ帰るだと!!」
「ええ。」
あぁ、こういう我が儘なのも、結婚出来ない 1つね。その年で感情をコントロール出来ないなんて…。
「来月には帰ります。」
「そんな事は関係ない!」
イライラするわ。
それからはもう怒って話にならなかったのよね。
『俺はヒル侯爵家の者だ。』とか、『お前みたいな女を嫁にもらってやるんだから感謝しろ』とかね。お断りしてるのに、何で感謝しなきゃいけないのかしら。
「ニナ…申し訳ない…。」
「まさか、本人が来るとは思っていませんでしたが、お断り出来ましたので。」
「…それが、話は進んでいるようなんだ。」
「…どういう事でしょうか?返事をしたのは今ですが。」
「進んでいる…というか、『結婚する事になった』と、色々な所で言っている。どうにか結婚させたいらしい。教育係りでも君の存在は有名だ。」
エドワードと舞踏会に行ったからだよね。
「私はこの国の者で無いのです。勝手に結婚など進められても困ります。」
「……わかった。」
「では、失礼します。」
あれは、絶対わかってないわ。その場しのぎ。でなければ、今日来る事を黙っているはずがないもの。
出ていこう。
マール君をまた泣かせてしまう事になるけれど、今回はそちらの勝手な都合のせいだしね。貴族との接触は嫌だ…と言っておいたわ。婚約の話なんて論外よね。
次の日
夜が明けてすぐ、手紙を残して伯爵邸を出た。
どしゃ降りで、殆んど人がいないし視界も悪い。監視がいても見付かりにくい。逃げるにはもってこいの日ね。
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