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何でも疑う婚約者
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伯爵邸に帰って来て、いつもののんびりした日が返って来た。
…と思ったのにね。
またしても『魔の水曜日』よ。エドワードからよびだし。
「お久しぶりです。エドワード王子。」
「5日前に会ったんだし、『久しぶり』というほどでは無いよ。」
「パーティーが終わってからお会いしてませんので。」
オリビアを完全に私だときめつけてるわ。
「何故パーティーの後、逃げ出したのか教えてくれる?それから、伯爵の元に帰るまでの経緯。」
「馬車で気分が悪くなったので降ろして貰っただけです。伯爵の所へ帰るまでの事は、お伝えしたくはありません。王子もそれを聞くほど無粋ではないでしょう。」
「そうだね。」
笑顔が胡散臭い!
「…今日呼び出されたのは、また『ニーナ』についてですか?別人なのは一目見てお分かりでしょう。」
「………」
あれ?何も言ってこないわね。
「…あの邸に放置していた事、本当に申し訳ない。今日は謝りたくて君をよんだ。」
まさか謝ってくるなんて。どうしたの?これは罠?…に違いないわ。
「仰ってる事の意味は解りませんし、謝られても困ります。」
「困るというならこれ以上は止めておくよ。それより『マール君』は泣き止んだ?」
「え?…ええ。」
「今度はボナースの子達が淋しがっているだろうね。」
「どういう意味ですか?」
「子供に人気があると思ってね。」
知ってるんじゃない。どこにいたか聞かなくても。
「そういえばマール君とどんなお話をなさったのですか?」
「虫が好きだとか、図鑑を見せてくれたり、君の事だったり、他愛ない話だよ。」
「私の話?」
「『ニナは優しい、助けてくれた。大好き』とかね。」
「沢山お話したんですね。」
「子供は嫌いじゃないから。」
「では好きな女性との子がいれば、尚更でしょうね。シャロン様とはそういう話にならないのですか?」
「ならない。彼女とはもう別れる。子は結婚した相手としかつくらない。」
ええっ!?それは困るわ!
「その意味は君も解るだろう。」
「私のように、好きな相手と結婚できる身分ではありませんものね。」
「…それは君に想い人がいるという事?」
「想像におまかせします。」
何か機嫌悪くなった?
自分以外を好きになるのは許さないって事なら、随分都合のいい話だよね。
「そうだ、ニナ。俺と友達になってくれないかな?」
は?
「マール君とニナと3人で一緒に遊ぼうって約束したんだよ。」
「何をご冗談を…。」
「冗談じゃないよ。それに『マール君が遊びたい』って言ってるからね。」
やっぱりマール君を味方に!
でも意外だわ。マール君はすぐに男の人に懐く事はないのに。
「俺はとニナ友達になりたいんだけど。」
「お友達なら。」
その胡散臭い笑顔は友達になりたいって表情じゃないよね。
「今度はマール君も招待するよ。」
「楽しみにしてます。」
『人違いするな』とは言えても、友達になってと言われてしまえば『嫌』って言えないよね…。相手は王子様だもの。
『ステーシーの店へ来い』
手紙に書いてあったのはこれだけだった。
どうしよう…クール様がめちゃくちゃ怒ってるわ…。急にいなくなって連絡もしなかったし、怒られて当然だけど!怒ったら半端なく怖いのよ!
覚悟を決めるわ。
前と同じ、店の奥の部屋へ。
「っわ!?」
ドアをノックする前にガチャリとドアが開いた。
「…お久しぶりです。」
「座れ。」
「はい…」
部屋にはステーシーもいる。
「言わなくても解るな。」
「はい…」
「説明しろ。」
「…王子から逃げて、ボナース院にいました。ごめんなさい。」
「消息不明になっていい事にはならないだろ。」
「仰る通りです。」
「一人暮らしをするのと、1人で生きるのは似ていても別物だ。縁を切ってでも暮らしたいのか?」
「………」
「何かあった時に助けてもらう事は、一人暮らしの妨げになるのか?」
「………」
「あの王子は『仕事を手伝って貰っている』と俺には言ってきた。俺を騙せないと解っててだ。」
「…どういう事?」
「クールが私に手を借りるのを解ってるからよ。これ以上見つけやすい手段はないじゃない。人探しに騎士なんて役にも立たないわ。」
もしかして、あの近辺にいたのって偶然じゃない…?
「ボナース近辺じゃないかとわかったら、俺より先にあの男はわざわざ自分で探しにいった。それくらい、ニーナは重要人物なんだ。」
「……」
「1度国へ帰る。話はそこからだ。」
「嫌っ!!」
「ニーナ…我が儘言うな。」
「嫌よ帰らないっ!結婚させられても別居してもらう!」
「そんな事が通る訳ない」
「…っ1人で国から追い出された私の気持ちなんて、誰にも解らないじゃないっ!!」
「……」
「……」
「大声出してごめんなさい…。クール様、今度何かあったらすぐに伝えるから。じゃあ、マール君が待ってるから帰る。」
クール様に八つ当たりしてしまった。1人暮らししたいって我が儘だってきいてくれてたのに、連絡も入れなかった私が馬鹿なのよね。
けど、挫けないわ!
エドワードとは偽友達になってしまったけど、マール君と一緒の時だけそれっぽいふりをしておけばいいのよ。
・・・・
「はぁ…」
「ああ言われると、ぐうの音もでないわね。あの子だから耐えられてたのよ。」
「今はニーナにとって、自分で生きる道を選べる唯一のチャンスだからな。しかし、あれは強くなりすぎだ。」
「良い生徒ね。」
「嫌味か…?」
「褒めてるのよ」
「ぜんぜん嬉しくない。」
・・・・
「クールはニーナが好きなのか?」
「何だ急に。幼馴染みだから仲はいいらしい。弟のカールとも。」
なるほど。
ニーナの話になれば、誰よりも手強いのはあの男だな。
…と思ったのにね。
またしても『魔の水曜日』よ。エドワードからよびだし。
「お久しぶりです。エドワード王子。」
「5日前に会ったんだし、『久しぶり』というほどでは無いよ。」
「パーティーが終わってからお会いしてませんので。」
オリビアを完全に私だときめつけてるわ。
「何故パーティーの後、逃げ出したのか教えてくれる?それから、伯爵の元に帰るまでの経緯。」
「馬車で気分が悪くなったので降ろして貰っただけです。伯爵の所へ帰るまでの事は、お伝えしたくはありません。王子もそれを聞くほど無粋ではないでしょう。」
「そうだね。」
笑顔が胡散臭い!
「…今日呼び出されたのは、また『ニーナ』についてですか?別人なのは一目見てお分かりでしょう。」
「………」
あれ?何も言ってこないわね。
「…あの邸に放置していた事、本当に申し訳ない。今日は謝りたくて君をよんだ。」
まさか謝ってくるなんて。どうしたの?これは罠?…に違いないわ。
「仰ってる事の意味は解りませんし、謝られても困ります。」
「困るというならこれ以上は止めておくよ。それより『マール君』は泣き止んだ?」
「え?…ええ。」
「今度はボナースの子達が淋しがっているだろうね。」
「どういう意味ですか?」
「子供に人気があると思ってね。」
知ってるんじゃない。どこにいたか聞かなくても。
「そういえばマール君とどんなお話をなさったのですか?」
「虫が好きだとか、図鑑を見せてくれたり、君の事だったり、他愛ない話だよ。」
「私の話?」
「『ニナは優しい、助けてくれた。大好き』とかね。」
「沢山お話したんですね。」
「子供は嫌いじゃないから。」
「では好きな女性との子がいれば、尚更でしょうね。シャロン様とはそういう話にならないのですか?」
「ならない。彼女とはもう別れる。子は結婚した相手としかつくらない。」
ええっ!?それは困るわ!
「その意味は君も解るだろう。」
「私のように、好きな相手と結婚できる身分ではありませんものね。」
「…それは君に想い人がいるという事?」
「想像におまかせします。」
何か機嫌悪くなった?
自分以外を好きになるのは許さないって事なら、随分都合のいい話だよね。
「そうだ、ニナ。俺と友達になってくれないかな?」
は?
「マール君とニナと3人で一緒に遊ぼうって約束したんだよ。」
「何をご冗談を…。」
「冗談じゃないよ。それに『マール君が遊びたい』って言ってるからね。」
やっぱりマール君を味方に!
でも意外だわ。マール君はすぐに男の人に懐く事はないのに。
「俺はとニナ友達になりたいんだけど。」
「お友達なら。」
その胡散臭い笑顔は友達になりたいって表情じゃないよね。
「今度はマール君も招待するよ。」
「楽しみにしてます。」
『人違いするな』とは言えても、友達になってと言われてしまえば『嫌』って言えないよね…。相手は王子様だもの。
『ステーシーの店へ来い』
手紙に書いてあったのはこれだけだった。
どうしよう…クール様がめちゃくちゃ怒ってるわ…。急にいなくなって連絡もしなかったし、怒られて当然だけど!怒ったら半端なく怖いのよ!
覚悟を決めるわ。
前と同じ、店の奥の部屋へ。
「っわ!?」
ドアをノックする前にガチャリとドアが開いた。
「…お久しぶりです。」
「座れ。」
「はい…」
部屋にはステーシーもいる。
「言わなくても解るな。」
「はい…」
「説明しろ。」
「…王子から逃げて、ボナース院にいました。ごめんなさい。」
「消息不明になっていい事にはならないだろ。」
「仰る通りです。」
「一人暮らしをするのと、1人で生きるのは似ていても別物だ。縁を切ってでも暮らしたいのか?」
「………」
「何かあった時に助けてもらう事は、一人暮らしの妨げになるのか?」
「………」
「あの王子は『仕事を手伝って貰っている』と俺には言ってきた。俺を騙せないと解っててだ。」
「…どういう事?」
「クールが私に手を借りるのを解ってるからよ。これ以上見つけやすい手段はないじゃない。人探しに騎士なんて役にも立たないわ。」
もしかして、あの近辺にいたのって偶然じゃない…?
「ボナース近辺じゃないかとわかったら、俺より先にあの男はわざわざ自分で探しにいった。それくらい、ニーナは重要人物なんだ。」
「……」
「1度国へ帰る。話はそこからだ。」
「嫌っ!!」
「ニーナ…我が儘言うな。」
「嫌よ帰らないっ!結婚させられても別居してもらう!」
「そんな事が通る訳ない」
「…っ1人で国から追い出された私の気持ちなんて、誰にも解らないじゃないっ!!」
「……」
「……」
「大声出してごめんなさい…。クール様、今度何かあったらすぐに伝えるから。じゃあ、マール君が待ってるから帰る。」
クール様に八つ当たりしてしまった。1人暮らししたいって我が儘だってきいてくれてたのに、連絡も入れなかった私が馬鹿なのよね。
けど、挫けないわ!
エドワードとは偽友達になってしまったけど、マール君と一緒の時だけそれっぽいふりをしておけばいいのよ。
・・・・
「はぁ…」
「ああ言われると、ぐうの音もでないわね。あの子だから耐えられてたのよ。」
「今はニーナにとって、自分で生きる道を選べる唯一のチャンスだからな。しかし、あれは強くなりすぎだ。」
「良い生徒ね。」
「嫌味か…?」
「褒めてるのよ」
「ぜんぜん嬉しくない。」
・・・・
「クールはニーナが好きなのか?」
「何だ急に。幼馴染みだから仲はいいらしい。弟のカールとも。」
なるほど。
ニーナの話になれば、誰よりも手強いのはあの男だな。
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