結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください

シンさん

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大ピンチのニーナ

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そんなに時間はかけてられない!!
誰かに伝えに行かなきゃっ!

私はもと来た道を引き返した。曲がり角から2つ手前の部屋の扉が開いた。
出てきたのは身なりの綺麗な男の人。

「あのっ!ここで女の人が…」

開いたままの扉から、縛られた女の人と手に縄をもった男が見えた。
「っ!?」
この人が犯人っ!?

「まてっっ!!」
「キャッ!」
急いですり抜けようとしたけど、焦った男に腕を掴まれて私も部屋に連れ込まれた。

「離してっ!!一体何なのよ貴方達!こんな事をしていいと思ってるのっ!!」

完全に油断してたわっ!相手が部屋から出てくるなんて予想してなかったもの!
クール様にあんなに教わっていたのに。
『油断大敵!!』

……横を見れば手首を縛られたシャロンに似ている人がいる。

もしかしてこの子…間違えられた?

「一体何が目的?」

「この舞踏会の間、殿下に虫がつかないように…と、あるお方から頼まれてね。」

あるお方?さっきの侯爵とか?

「…もしかして貴方達、殿下が会場に来る前からここにいたの…?」

「その通り。」

…ここをシャロンが通るかどうかもわからないのに?
もし会場にいたとしても、エドワードの隣に…彼女にとって最高のポジションにいるのに、こんな所に来るわけがないじゃない…。

「…ねぇ貴方達、もしかしてシャロンが来てると思ってたの?」

「どういう事だ?」

「今日はシャロンは招待されていないわ。この女性は別人よ。」

「嘘をつこうとしても無駄だ。」

つくわけないでしょ…。

「だったら、エドワード殿下に聞いてみるといいのではないかしら。」

「うるさいっ!お前はシャロンじゃない、どうなっても構わないんだからな…。偉そうな口を利かない方がいいぞ。」

「……」

これで何かあれば全てエドワードのせいよ!

・・・・

「殿下、申し訳ありません。まだスミス様は見つかっておりません…!」

「何の話だ?」

「『スミス様がいないので直ぐに探せ』と命令したのではないのですか?」

「どういう事だ…?」

「テイラー様が焦った様子で『ニナ様を探せ、殿下の命令だ』と…」

「いないのか!?」

「そのようです。今私達も探して入るのですが…」

「っくそ!」

「っ殿下!!待ってください!」

クリフが止めるのを振り切って、クールが向かっていったという方向に俺も走った。

ただ単に、外の空気を吸いに行っている…とか、俺から逃げている…という可能性だってある。いや、何かある可能性の方が少ない。

だがクールのような、何があっても冷静な男が焦っているという事は、本当に何があったという事だ… 

やり過ぎた…。
あまりにも目を引きすぎた。
ニーナだと確認する為だとしても、この会場ではダンスをするだけでもよかった。なのに何故か少しからかいたくなってしまった。子供でもないのに馬鹿な事をしてしまった。

俺はまた彼女を危険にさらしたかもしれない…

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