45 / 187
大ピンチの婚約者
しおりを挟む クール様…
何か仕事がある…とか、そんな事を理由にしてパーティーに出席できたんだと思うし、簡単には近寄れないよね。
お父様のお友達だったとしても、そこまで顔を見た事があるわけでもないし、少し距離をおいて置けばいいよね。
もしくは先手をうつっていう選択もある。私はニーナじゃありません。って思わせればいいんだもの。
どうやって声をかければいいかしら…。物語のように、肩がぶつかってよろける…。
馬鹿みたいな作戦だけど、話をする機会はできるよね。
さっそく、実行よ。
「キャッ!」
「おお、すまんお嬢さん、怪我はない…ああ、ニーナじゃないか。」
「ニーナ…?私はニナともうしますが…。」
「何をいってるんだい。サナス伯爵の家で何回かあってるんだが、忘れたかな?」
おじさん、憶えてるの。けれど忘れた…というか、別人のふりをするわ。ちょっと心苦しいけどね。
「私はニナ・スミスと申します。お間違えではないでしょうか?」
「いや…そんなはずは。」
「私に似ている女性とお知り合いですか?」
「あぁ…似ているというレベルではないよ…。本当にニーナじゃないのかい?」
「ええ、私はニナです。お名前も少し似てますわね。」
とても訝しんでいるわ。さすがに知り合いには無理がある?
「似ているという女性は、このパーティー来るような方なのですか?殿下が主催だと聞いておりましたが。」
私の婚約も正式にはまだ発表されていないはずだし、知ってるのはごくわずか。
「確かに…そうだな。普通に考えれば伯爵がくるはずだ。お嬢さん間違えてすまなかったね。」
「いえ、他人の空似は良くある事ですわ。ぶつかってしまって申し訳ございませんでした。では、私は行くところがございますので、これで失礼します。」
たぶん上手くいったよね!これでエドワードに何か言われても大丈夫だわ。
そのエドワードは消えたままいないのだけどね…。本当に帰ろうかしら。
さっき足を痛めたって言ったからダンスの誘いはないけど、私を見る目は興味津々…といったところね。
「ニナ様」
「…はい。」
誰だろう?
「少しお話があるのだけれど、よろしいかしら。」
よろしいもなにも…私に断るすべなんてないわよ。相手は挨拶の時に、エドワードにサラっと流されてた侯爵の娘…だった気がするもの。
私はラドクリフ伯爵夫人の侍女…。どれだけの影響力をもった侯爵なのかわからないうちは、無下にはできないよね。
向こうだってわかってるから、エドワードがいない隙をみて声をかけてきたはずよ。
嫌な予感しかしないわ。
せめてクール様に伝えたかった…。
「お話とは何でしょうか?」
何となく想像はつくのよね。
「貴女、殿下とどういう関係なのかしら。」
やっぱり。
「先ほど殿下が申し上げた通りです。」
「…カタサの通訳?そんなの信じられる訳ないじゃない。」
「信じて頂けないようでしたら、もう1度殿下に聞くのがよろしいかと。」
エドワードに言われても納得出来ないんだから、私が何を言っても気にくわないし信じないでしょう。
「侍女の分際で…どうやって殿下に取り入ったのかしら。」
『そんな事はしていません』とか言ったら、火に油ね。
エドワードがどこへ行くのか伝えてくれていれば、こんな面倒な事に巻き込まれる前に隠れられたのに。
何て答えようかなぁ。言い返すのも面倒だし…
「知ってるのよ。殿下が伯爵の家まで行って直接貴女を招待したって事。」
彼女の言葉で、まわりの視線はいっきに私に向けられた。
ステーシーには敗けるけど、貴族も地獄耳よね。恐ろしいわ。
「殿下が来たのはラドクリフ様にです。不在でしたので、お茶を1杯飲んでお帰りになりましたが…それが何故私を招待しに来たのだと思うのでしょうか?」
「貴女は招待客名簿にのっていないわ。ラドクリフ伯爵ですら招待されていない舞踏会に何故来ているのかしら?」
堂々巡りっ!!
真の目的は違っても、通訳は本当。
「私がどうやって殿下に取り入ったか…。言っている意味がわかりかねます。殿下直々に『侯爵がカタサ語を話せるなら私をすぐに退場させる。』と仰っていたではありませんか。もう1度私に聞くという事は、殿下の話は信用するに値しない…そう仰るのでしょうか。」
「そうだね、信用してもらえてなかったなんて、私も悲しいよ。」
振り返ってみると、笑顔で近づいてくるエドワードがいた。
……今頃、何を爽やかな笑顔で…。
「それと、名簿だけどね。彼女が入っていなかったのは何故かって…君なら客人ではない者の名を名簿に書いたりするかい?この会場にいる人は全てが招待客な訳ではないよ。」
「エドワード殿下にエスコートされているのに招待客でないなんて…。それにそんなの高価なドレス…」
「私が言ったんだよ。1人で会場に行くのはさみしいから…ってね。ドレスだけどね、
相手は高貴な方ばかりだから、もてなす方も相応しい身なりをするのは当然の事。おわかりでしょう。貴女ほどの女性であれば。」
うわ…嫌みな言い方。
「さぁ、ニナ。話も終わった事だし、向こうへ行こうか。」
そう言って腰に手をまわされた。
「はい。」
離して!!今すぐにっ!!
たった今、特別じゃないって全否定したのに、これはありえないでしょう!
「離れてください。」
エドワードだけに聞こえるように、小さな声で言った。
「何故?」
何その胡散臭い笑顔、本当に腹が立つわ。
それに何故ですって…?
「私は客ではありません。」
「けれど俺は気に入ってる。」
「ふふ、シャロン様に怒られますよ。」
「別に構わない。」
構わなくないでしょ!
「ニーナじゃないとわかるまでならね。」
何だか余裕なのが気にくわないわ…!
「しつこい男は嫌われますわよ。」
「逃げるなら追い続けるよ。真実がわかるまではね。」
恐ろしい…っ!
そうよ……人を2ヶ月も放置出来る男が、
優しい訳がないよね。
仕事が出来るとか…そんな生易しいものじゃない。
勝てる勝負だと思われてるのよ…。
これは私をなめてるんだわ。
何か仕事がある…とか、そんな事を理由にしてパーティーに出席できたんだと思うし、簡単には近寄れないよね。
お父様のお友達だったとしても、そこまで顔を見た事があるわけでもないし、少し距離をおいて置けばいいよね。
もしくは先手をうつっていう選択もある。私はニーナじゃありません。って思わせればいいんだもの。
どうやって声をかければいいかしら…。物語のように、肩がぶつかってよろける…。
馬鹿みたいな作戦だけど、話をする機会はできるよね。
さっそく、実行よ。
「キャッ!」
「おお、すまんお嬢さん、怪我はない…ああ、ニーナじゃないか。」
「ニーナ…?私はニナともうしますが…。」
「何をいってるんだい。サナス伯爵の家で何回かあってるんだが、忘れたかな?」
おじさん、憶えてるの。けれど忘れた…というか、別人のふりをするわ。ちょっと心苦しいけどね。
「私はニナ・スミスと申します。お間違えではないでしょうか?」
「いや…そんなはずは。」
「私に似ている女性とお知り合いですか?」
「あぁ…似ているというレベルではないよ…。本当にニーナじゃないのかい?」
「ええ、私はニナです。お名前も少し似てますわね。」
とても訝しんでいるわ。さすがに知り合いには無理がある?
「似ているという女性は、このパーティー来るような方なのですか?殿下が主催だと聞いておりましたが。」
私の婚約も正式にはまだ発表されていないはずだし、知ってるのはごくわずか。
「確かに…そうだな。普通に考えれば伯爵がくるはずだ。お嬢さん間違えてすまなかったね。」
「いえ、他人の空似は良くある事ですわ。ぶつかってしまって申し訳ございませんでした。では、私は行くところがございますので、これで失礼します。」
たぶん上手くいったよね!これでエドワードに何か言われても大丈夫だわ。
そのエドワードは消えたままいないのだけどね…。本当に帰ろうかしら。
さっき足を痛めたって言ったからダンスの誘いはないけど、私を見る目は興味津々…といったところね。
「ニナ様」
「…はい。」
誰だろう?
「少しお話があるのだけれど、よろしいかしら。」
よろしいもなにも…私に断るすべなんてないわよ。相手は挨拶の時に、エドワードにサラっと流されてた侯爵の娘…だった気がするもの。
私はラドクリフ伯爵夫人の侍女…。どれだけの影響力をもった侯爵なのかわからないうちは、無下にはできないよね。
向こうだってわかってるから、エドワードがいない隙をみて声をかけてきたはずよ。
嫌な予感しかしないわ。
せめてクール様に伝えたかった…。
「お話とは何でしょうか?」
何となく想像はつくのよね。
「貴女、殿下とどういう関係なのかしら。」
やっぱり。
「先ほど殿下が申し上げた通りです。」
「…カタサの通訳?そんなの信じられる訳ないじゃない。」
「信じて頂けないようでしたら、もう1度殿下に聞くのがよろしいかと。」
エドワードに言われても納得出来ないんだから、私が何を言っても気にくわないし信じないでしょう。
「侍女の分際で…どうやって殿下に取り入ったのかしら。」
『そんな事はしていません』とか言ったら、火に油ね。
エドワードがどこへ行くのか伝えてくれていれば、こんな面倒な事に巻き込まれる前に隠れられたのに。
何て答えようかなぁ。言い返すのも面倒だし…
「知ってるのよ。殿下が伯爵の家まで行って直接貴女を招待したって事。」
彼女の言葉で、まわりの視線はいっきに私に向けられた。
ステーシーには敗けるけど、貴族も地獄耳よね。恐ろしいわ。
「殿下が来たのはラドクリフ様にです。不在でしたので、お茶を1杯飲んでお帰りになりましたが…それが何故私を招待しに来たのだと思うのでしょうか?」
「貴女は招待客名簿にのっていないわ。ラドクリフ伯爵ですら招待されていない舞踏会に何故来ているのかしら?」
堂々巡りっ!!
真の目的は違っても、通訳は本当。
「私がどうやって殿下に取り入ったか…。言っている意味がわかりかねます。殿下直々に『侯爵がカタサ語を話せるなら私をすぐに退場させる。』と仰っていたではありませんか。もう1度私に聞くという事は、殿下の話は信用するに値しない…そう仰るのでしょうか。」
「そうだね、信用してもらえてなかったなんて、私も悲しいよ。」
振り返ってみると、笑顔で近づいてくるエドワードがいた。
……今頃、何を爽やかな笑顔で…。
「それと、名簿だけどね。彼女が入っていなかったのは何故かって…君なら客人ではない者の名を名簿に書いたりするかい?この会場にいる人は全てが招待客な訳ではないよ。」
「エドワード殿下にエスコートされているのに招待客でないなんて…。それにそんなの高価なドレス…」
「私が言ったんだよ。1人で会場に行くのはさみしいから…ってね。ドレスだけどね、
相手は高貴な方ばかりだから、もてなす方も相応しい身なりをするのは当然の事。おわかりでしょう。貴女ほどの女性であれば。」
うわ…嫌みな言い方。
「さぁ、ニナ。話も終わった事だし、向こうへ行こうか。」
そう言って腰に手をまわされた。
「はい。」
離して!!今すぐにっ!!
たった今、特別じゃないって全否定したのに、これはありえないでしょう!
「離れてください。」
エドワードだけに聞こえるように、小さな声で言った。
「何故?」
何その胡散臭い笑顔、本当に腹が立つわ。
それに何故ですって…?
「私は客ではありません。」
「けれど俺は気に入ってる。」
「ふふ、シャロン様に怒られますよ。」
「別に構わない。」
構わなくないでしょ!
「ニーナじゃないとわかるまでならね。」
何だか余裕なのが気にくわないわ…!
「しつこい男は嫌われますわよ。」
「逃げるなら追い続けるよ。真実がわかるまではね。」
恐ろしい…っ!
そうよ……人を2ヶ月も放置出来る男が、
優しい訳がないよね。
仕事が出来るとか…そんな生易しいものじゃない。
勝てる勝負だと思われてるのよ…。
これは私をなめてるんだわ。
222
お気に入りに追加
5,313
あなたにおすすめの小説

またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

たとえ番でないとしても
豆狸
恋愛
「ディアナ王女、私が君を愛することはない。私の番は彼女、サギニなのだから」
「違います!」
私は叫ばずにはいられませんでした。
「その方ではありません! 竜王ニコラオス陛下の番は私です!」
──番だと叫ぶ言葉を聞いてもらえなかった花嫁の話です。
※1/4、短編→長編に変更しました。

【完結】婚約者様、王女様を優先するならお好きにどうぞ
曽根原ツタ
恋愛
オーガスタの婚約者が王女のことを優先するようになったのは――彼女の近衛騎士になってからだった。
婚約者はオーガスタとの約束を、王女の護衛を口実に何度も破った。
美しい王女に付きっきりな彼への不信感が募っていく中、とある夜会で逢瀬を交わすふたりを目撃したことで、遂に婚約解消を決意する。
そして、その夜会でたまたま王子に会った瞬間、前世の記憶を思い出し……?
――病弱な王女を優先したいなら、好きにすればいいですよ。私も好きにしますので。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる