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嫌われるニーナ
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ステーシーのお店で会った翌日、またこの前の仕事の続きをしている。
通訳にはクール様が来てるので、私は安心して話をすすめる事が出来た。
水路の話は着々と進んでいるようだし、安心した。
お仕事の話は終わって、ちょっとした雑談になった。地元の美味しい食べ物だったり、流行りだったり。すると、どんな物をやり取りするだとか…また、小難しい話に…。けど流石クール様。笑顔で流れるような通訳をしている…。
私は知らない単語がでてきて笑うしかなかった。
仕事、やっぱり通訳なんて無謀だわ…。
…仕事をしている時は、格好いいお兄様なのよね。私は弟だから別に心はうごかないけど、他の女性がみたら一目惚れ間違いなしよ。この国の王子より格好いいと思うもの。優しいし。
優しく…鍛え上げてくれたしね…。
話が終わって帰り際、クール様がジャケットの内ポケットから小さな紙を取り出した。
「昨日渡すはずだったが、忘れてた。すまん。」
それを受け取ってきょとんとしてる間に、クール様達は帰っていった。
部屋に帰って中を見ると、家族皆からの手紙が入っていた。
この数ヶ月、ろくに連絡もとれていない。
うまくいってるのか…、優しくしてもらってるか?もう慣れたか?とか色々書いてある。
全部否定しないといけないのは辛い…
うまくいってないし。優しくしてもらえるほど会ってない…。慣れるもなにも、脱貴族に向けて少しずつ頑張ってます!
脱貴族……生まれたのがサナス伯爵の子だし、どんなに頑張っても永遠に貴族は貴族よね。
手紙…
現状をそのまま書く事は出来ないし…かといって嘘ばかりも書けないし…。
元気だとか、マール君と仲良くなった(年齢は書かない)…とか、間違ってない事を書こう。
封筒の中には手紙だけじゃなくて、ピンクのレースのリボンと押し花の栞が入っていた。
手鏡も時計ももう諦めてたから、家族の繋がりのある物が出来たのはうれしい!
今度お出かけする時につけたいけど…一目で高級品だとわかる。1人でお出かけする時は控えないと危ない!窃盗団がいるかもしれないもの!!初めての買い物で身をもって味わったんだから!
窃盗団…始まりはあの1日からだった…。あの3人、今何してるのかしら…。3人が分け前でもめてたりしたら面白いのに。
…人の不幸を喜ぶなんて……まあいいよね。それくらい。
…物は全部高級品だし、どこで売り捌くんだろ?お金を持ってる人に…って、そんなのコネがないと無理だよね…
って事は闇市とか?
もしかしたら鏡と時計も売られてるかもしれないよね…。それはさみしい…。
大切な物はきちんと管理しないとね。大事だったなら、もっとわからない所に隠しておくべきだったんだから。
まさか3人に裏切られるとは思ってなかったけど…
甘えと油断は身を滅ぼす。
3日あれば、牢にまで一直線で転がり込むんだから。
次の日1番近くにあるポストオフィスに行って、手紙を出した。
一通で12ニードルもするなんて…
そりゃ国境を超えるんだから、高くなるだろうけど…。
何日くらいで届くのかな。
あの邸に放置されていた時は、届く物も出す手紙も全部チェックされてたけど、ここからなら好きな事が手紙に書けるのが嬉しい。
でも本当の事は殆んど書けていないけど。
ごめんなさい!!
何でもチェックされるって、私がこの国の娘だったらそこまではしないと思うのよね。
少なくても放置はされない。
はぁ…私はスパイ扱いよ。
婚約を申し込んだのはサナス家ではないのに!
相手が王子じゃなきゃ少しは考える事だって出来たんだよね。お父様が真っ青な顔をして『ニーナ、すまない』って言ってたのを
思い出すと辛い。相手が悪かった…て諦めるしかないよね。
そうよ…私は水曜日にこの国の権力者を相手にするんだから、失礼のないように、そして気が付かれないように、敵意ばかりむけてちゃ駄目よね。
サナス伯爵家を潰してしまう可能性だってあるもの。家だけは守らないと!
敵地に乗り込む事になるんだし、私はニーナだとわからないくらいの変装をしなきゃ。主にお化粧ね。この国に来た時にしていたのとは全く別にすればいいよね。私は教育係で侍女のニナ。何もかも作り込んでいかなきゃ!
…そんな事ばかり考えてたってつまらないわね。本来の目的を忘れたら駄目よ。
この前の市で会った子達は、ボナース院で生活しているらしい。
歩くと1時間くらいはかかるようだし、道もわからないから馬車で行く事にした。
歩くと1時間、歩けない距離ではないけど迷ったら怖いしね。
「おじさん、15時頃にまたここに来て貰えるかしら?」
「いいけど、運賃プラス10ニードルだよ。大丈夫かい?」
うぅ…それはキツい…けど、帰り道で迷ったら困るし、仕方ないよね。
「わかったわ。」
「了解。じゃ、またな。」
そう言って、馬車は帰っていった。
目の前にはボナース院。
締め切られて開いているようには見えない。
「すみませーん。どなたかっキャッ!!」
っ何!?
何かを投げつけられたけれど、それは泥団子だと思う。ブラウスが泥と砂だらけ。結構痛かったわ。なかなか良い腕を持った泥団子師がいるわね…。クール様とカールに鍛えられた私には到底敵わないけどね。
……やっばり鍛えあげられてるっ!!
ここの院には大人はいないのかしら?人が来てるのに誰も出て来ないなんて…。
敷地内に入るのは気が引けるけど、お庭に入らせて貰おう。
ここで「誰だよお前っ!勝手に入ってくるな」とか言って出てくる少年少女が登場すればいいのに。
「この前のお姉さん?」
まさか希望通りになるなんて!
振り返ると市で会った女の子がいた。
通訳にはクール様が来てるので、私は安心して話をすすめる事が出来た。
水路の話は着々と進んでいるようだし、安心した。
お仕事の話は終わって、ちょっとした雑談になった。地元の美味しい食べ物だったり、流行りだったり。すると、どんな物をやり取りするだとか…また、小難しい話に…。けど流石クール様。笑顔で流れるような通訳をしている…。
私は知らない単語がでてきて笑うしかなかった。
仕事、やっぱり通訳なんて無謀だわ…。
…仕事をしている時は、格好いいお兄様なのよね。私は弟だから別に心はうごかないけど、他の女性がみたら一目惚れ間違いなしよ。この国の王子より格好いいと思うもの。優しいし。
優しく…鍛え上げてくれたしね…。
話が終わって帰り際、クール様がジャケットの内ポケットから小さな紙を取り出した。
「昨日渡すはずだったが、忘れてた。すまん。」
それを受け取ってきょとんとしてる間に、クール様達は帰っていった。
部屋に帰って中を見ると、家族皆からの手紙が入っていた。
この数ヶ月、ろくに連絡もとれていない。
うまくいってるのか…、優しくしてもらってるか?もう慣れたか?とか色々書いてある。
全部否定しないといけないのは辛い…
うまくいってないし。優しくしてもらえるほど会ってない…。慣れるもなにも、脱貴族に向けて少しずつ頑張ってます!
脱貴族……生まれたのがサナス伯爵の子だし、どんなに頑張っても永遠に貴族は貴族よね。
手紙…
現状をそのまま書く事は出来ないし…かといって嘘ばかりも書けないし…。
元気だとか、マール君と仲良くなった(年齢は書かない)…とか、間違ってない事を書こう。
封筒の中には手紙だけじゃなくて、ピンクのレースのリボンと押し花の栞が入っていた。
手鏡も時計ももう諦めてたから、家族の繋がりのある物が出来たのはうれしい!
今度お出かけする時につけたいけど…一目で高級品だとわかる。1人でお出かけする時は控えないと危ない!窃盗団がいるかもしれないもの!!初めての買い物で身をもって味わったんだから!
窃盗団…始まりはあの1日からだった…。あの3人、今何してるのかしら…。3人が分け前でもめてたりしたら面白いのに。
…人の不幸を喜ぶなんて……まあいいよね。それくらい。
…物は全部高級品だし、どこで売り捌くんだろ?お金を持ってる人に…って、そんなのコネがないと無理だよね…
って事は闇市とか?
もしかしたら鏡と時計も売られてるかもしれないよね…。それはさみしい…。
大切な物はきちんと管理しないとね。大事だったなら、もっとわからない所に隠しておくべきだったんだから。
まさか3人に裏切られるとは思ってなかったけど…
甘えと油断は身を滅ぼす。
3日あれば、牢にまで一直線で転がり込むんだから。
次の日1番近くにあるポストオフィスに行って、手紙を出した。
一通で12ニードルもするなんて…
そりゃ国境を超えるんだから、高くなるだろうけど…。
何日くらいで届くのかな。
あの邸に放置されていた時は、届く物も出す手紙も全部チェックされてたけど、ここからなら好きな事が手紙に書けるのが嬉しい。
でも本当の事は殆んど書けていないけど。
ごめんなさい!!
何でもチェックされるって、私がこの国の娘だったらそこまではしないと思うのよね。
少なくても放置はされない。
はぁ…私はスパイ扱いよ。
婚約を申し込んだのはサナス家ではないのに!
相手が王子じゃなきゃ少しは考える事だって出来たんだよね。お父様が真っ青な顔をして『ニーナ、すまない』って言ってたのを
思い出すと辛い。相手が悪かった…て諦めるしかないよね。
そうよ…私は水曜日にこの国の権力者を相手にするんだから、失礼のないように、そして気が付かれないように、敵意ばかりむけてちゃ駄目よね。
サナス伯爵家を潰してしまう可能性だってあるもの。家だけは守らないと!
敵地に乗り込む事になるんだし、私はニーナだとわからないくらいの変装をしなきゃ。主にお化粧ね。この国に来た時にしていたのとは全く別にすればいいよね。私は教育係で侍女のニナ。何もかも作り込んでいかなきゃ!
…そんな事ばかり考えてたってつまらないわね。本来の目的を忘れたら駄目よ。
この前の市で会った子達は、ボナース院で生活しているらしい。
歩くと1時間くらいはかかるようだし、道もわからないから馬車で行く事にした。
歩くと1時間、歩けない距離ではないけど迷ったら怖いしね。
「おじさん、15時頃にまたここに来て貰えるかしら?」
「いいけど、運賃プラス10ニードルだよ。大丈夫かい?」
うぅ…それはキツい…けど、帰り道で迷ったら困るし、仕方ないよね。
「わかったわ。」
「了解。じゃ、またな。」
そう言って、馬車は帰っていった。
目の前にはボナース院。
締め切られて開いているようには見えない。
「すみませーん。どなたかっキャッ!!」
っ何!?
何かを投げつけられたけれど、それは泥団子だと思う。ブラウスが泥と砂だらけ。結構痛かったわ。なかなか良い腕を持った泥団子師がいるわね…。クール様とカールに鍛えられた私には到底敵わないけどね。
……やっばり鍛えあげられてるっ!!
ここの院には大人はいないのかしら?人が来てるのに誰も出て来ないなんて…。
敷地内に入るのは気が引けるけど、お庭に入らせて貰おう。
ここで「誰だよお前っ!勝手に入ってくるな」とか言って出てくる少年少女が登場すればいいのに。
「この前のお姉さん?」
まさか希望通りになるなんて!
振り返ると市で会った女の子がいた。
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