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パーティー
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ついに来てしまったわ……この日が。
公爵のパーティーよ!
「まあ!ニナ!綺麗だわ。ドレスもとても似合っているわ。」
「こんなに素敵なドレスを有り難うございます。私が着るのには勿体ないくらいです。」
「何を言ってる、とても綺麗だ。なあ、マールもそう思うだろう?」
伯爵が聞くと、マール君はコクコクと大きく頷いてくれた。
「では、行ってくる。」
「行ってきます。」
馬車に乗って、公爵邸に向かっている。
本当なら今日が教育係の最終日なんだけれど、伯爵に『もう少し教育係をさせてください。』って頼んだのよね。結局…
「ニナ、マールと一緒にいてわかった事があれば、何でもいい。私達に教えてほしい。」
「何でもですか。」
教える…。一応報告書は出しているけど、それ以上に?って事かな?
「ニナが来てからなんだ。マールがあんなに楽しそうなのは。昆虫図鑑の事も、邸の誰もマールが昆虫が好きだなんて知らなかった。けれど君だけは気がついた。恥ずかしい話だが、マールにどうしてやるのがいいか、私達夫婦はずっと悩んでいたんだ。」
これは、親子だからこその悩みかもしれない…。
「マール君は声が出ないから、皆に話しかけるのが怖かったんだと思います。もしかしたら、皆の邪魔になるんじゃないかって。」
「そんな事は絶対にないのに…」
「それでも、他と違う自分に自信が持てなかったのかもしれません。」
「そうかもしれないな。」
伯爵がどんよりしてしまった。どうしよう、これからパーティーだっていうのに…。
「そうだ!今度マール君と本屋に行ってみてはいかがですか?色々嬉しそうに見てましたから。取り寄せるのではなく、一緒に見に行くと分かりやすいので。」
「そうだな!そうしよう!その時はニナ!君も付いてきてくれっ!!」
「はい。喜んで。」
伯爵一家とお買い物…。目立ちすぎるわ…。けど、教育係としては当然の仕事!!
仕事ならいいけど…そうじゃないものは今から断っておこう。
「…伯爵、今回のように人の集まるところに出席しなければいけない事は、まだありますか?こういった事にはなれていませんので、出来るだけ避けたいのですが…」
「ああ、これが最後だ。公爵も少し興味を持っただけで、それ以上は何でもない。」
本当にそうならいいんだけど…。『興味』って、あの時の状況を面白おかしく聞きたいってだけなの?その『興味』って何に対してなのかが問題なのよね。
純粋なものでは絶対にないはずだもの。
公爵のパーティーよ!
「まあ!ニナ!綺麗だわ。ドレスもとても似合っているわ。」
「こんなに素敵なドレスを有り難うございます。私が着るのには勿体ないくらいです。」
「何を言ってる、とても綺麗だ。なあ、マールもそう思うだろう?」
伯爵が聞くと、マール君はコクコクと大きく頷いてくれた。
「では、行ってくる。」
「行ってきます。」
馬車に乗って、公爵邸に向かっている。
本当なら今日が教育係の最終日なんだけれど、伯爵に『もう少し教育係をさせてください。』って頼んだのよね。結局…
「ニナ、マールと一緒にいてわかった事があれば、何でもいい。私達に教えてほしい。」
「何でもですか。」
教える…。一応報告書は出しているけど、それ以上に?って事かな?
「ニナが来てからなんだ。マールがあんなに楽しそうなのは。昆虫図鑑の事も、邸の誰もマールが昆虫が好きだなんて知らなかった。けれど君だけは気がついた。恥ずかしい話だが、マールにどうしてやるのがいいか、私達夫婦はずっと悩んでいたんだ。」
これは、親子だからこその悩みかもしれない…。
「マール君は声が出ないから、皆に話しかけるのが怖かったんだと思います。もしかしたら、皆の邪魔になるんじゃないかって。」
「そんな事は絶対にないのに…」
「それでも、他と違う自分に自信が持てなかったのかもしれません。」
「そうかもしれないな。」
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「そうだ!今度マール君と本屋に行ってみてはいかがですか?色々嬉しそうに見てましたから。取り寄せるのではなく、一緒に見に行くと分かりやすいので。」
「そうだな!そうしよう!その時はニナ!君も付いてきてくれっ!!」
「はい。喜んで。」
伯爵一家とお買い物…。目立ちすぎるわ…。けど、教育係としては当然の仕事!!
仕事ならいいけど…そうじゃないものは今から断っておこう。
「…伯爵、今回のように人の集まるところに出席しなければいけない事は、まだありますか?こういった事にはなれていませんので、出来るだけ避けたいのですが…」
「ああ、これが最後だ。公爵も少し興味を持っただけで、それ以上は何でもない。」
本当にそうならいいんだけど…。『興味』って、あの時の状況を面白おかしく聞きたいってだけなの?その『興味』って何に対してなのかが問題なのよね。
純粋なものでは絶対にないはずだもの。
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