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婚約者が消えた2
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『マール君を膝の上から下ろしてもいいですか?』って聞いていいかな?じゃないとご飯たべられないしね。
「あの…」
「マールはニナさんの事が大好きなのね」
マール君はコクンと頷く。
とっても言い出しにくくなったわ…。マール君、私の何をそんなに気に入ったのかしら。
「ニナさんは今何か仕事はしているのかい?」
…いきなり痛い所をつかれたわ…だって無職ですから。
「いえ…。ただいま求職中でして…」
放置されて、裏切られて、牢獄へ…。
家も、知り合いも、お金もない…。
切ない…
「では、うちのマールの教育係をして貰えないだろうか」
きょういくがかり…。
お勉強や楽器であれば教えてあげられるけど、普通専門の先生をつけるよね。
「専門の教育係をつけたりはしないのですか?私がマール君の教育係など畏れ多い…」
出来るだけ貴族からは離れたい、と言うのが本音なのよね。
「もちろん給金は出す。この屋敷に部屋も用意する。だから、考えてくれないだろうか!」
「あの私…」
ちょっと待って。ここで暫く働いて、お金がたまったら出ていけばいいよね?今考え無しに出ていっても働き口が見つからなかったら、運が悪ければ死んじゃうもの。
これは渡りに舟よ。
1、2ヶ月なら、きっと気がつかれないと思うし。
気がつかれても相手は私の顔を見た事もないんだから、どうどうと他人のふりして逃げればいいんだもんね。因みに私も相手の顔は知らないのよね。
「私でお力になれるのなら、喜んでお引き受け致します。」
「有り難う!では、早速今日からお願い出来るだろうか。」
「はい。」
今日からでも何でもいいの。
そろそろマール君を私の膝の上から下ろしていいという、その許可がほしいのよ。
私がここにいるって聞いて嬉しかったのかな…ギュッと抱き締められて苦しいのよね…
それから10分くらいして『ずっとそこにいたらニナさんがご飯を食べられないでしょう』…と、言ってくれた。やっと!
教育係とは言っても、何をすればいいのか全く指示が来ないのよね…
今までのノートを見ると、字もわかってるし、難しい文章も書けてるし…計算にかんしては、すでにかけ算まで出来ているなんて…。最近の5才はすごいのね。教える必要性を全く感じない。
ただただ、膝の上で絵本を読んでくれとジェスチャーするだけ。
もちろん読むけど、教育係だよね?これでいいの?
「マール、ニナさん、お茶にしましょうか」
「はい。ありがとうございます。」
何もしてないのにお茶を頂くなんて、申し訳ない気がするわ…。
「ニナさん、教育係といっても難しく考えないで。マールと一緒に数時間過ごしてくれるだけでいいの。それ以外は自由に過ごしてくれて構わないのよ。」
「それだけでいいのですか?」
「ええ。」
自由時間があるなら、その時間に仕事探しが出来るよね。『楽しく暮らす』第一歩が踏み出せるかも!
「…ニナさんももう解っているとは思うけれど、マールは声を出す事が出来ないの。お友達もあまりいないし、いつも部屋にこもりがちで…。けれど、ほら、これを見て。」
紙を受け取って内容を見るとこう書いてある。
『あの人に会いたい。』
あの人っていうのは私…?
「この子は私達に何かしてほしいと頼む事が殆んどないから、嬉しかったの。引き受けてくれて本当に感謝するわ」
奥さまの目から涙が…
「こちらこそ、光栄です。ありがとうございます」
1、2ヶ月で辞めたいって言いづらくなったわ…。もっときちんと最初に意思を伝えておくべきだったよね…
明日、旦那様に伝えよう。それとなく。
マール君の教育係になって早1週間。
そして仕事を探して1週間になるんだけど、私はなにが出来るかな?
チャレンジしなきゃ何も始まらないよね!
でも、街の人は私がマール君の教育係だと知っていて、仕方なしに雇います…っていう感じで申し訳ないし…だから今行き詰まっている状態なのよね。
伯爵家で働くと、こんな落とし穴が隠されているなんて…。
教育係といってもマール君と遊んでいるだけなのだけど、そんなの周りからすれば関係ないよね。
楽しく暮らす為には、やはり貴族との関わりを絶たなきゃ駄目だわ。
う~ん
いっそのこと、この街で仕事を探すんじゃなくて、隣街まで行ってみようかな。
明後日はお休みだしね。ラドクリフ伯爵達はパーティー招待されているから。
教育係をしていて思ったんだけど、子供にお勉強を教えるっていうのはどうかしら?相手がお金持ちとか、貴族とか、身分なんてどうでもいいの。
私の習った事を全てを使って出来るような所で働きたい…。でも家庭教師するにも伯爵に紹介状を書いてもらわないと駄目だよね。
後ろだてもないのに、『教師やります!』なんて無理だもの。
伯爵が紹介する相手は、それなりの身分の高い家庭だろうし、そうなると私じゃ無理…私の教養は役にたたないのね…
やはり、結婚して別居するのがいいのかな…。
でも仕事は出来なくなる可能性が高い。
『王子と結婚してるけど別居してるので関係ありません。』とか絶対無理に決まってるわ。教育係をしているというだけで仕事が出来ない状態なんだし。
それに何より、結婚したら1人で街を歩くなんて許してくれない気がするのよね…。
やはり、逃げ切って楽しい暮らしを手に入れる!
駄目だった場合は、溺愛してる女性でもいいし、好きな女性をつくって頂いても構わないから、早く子供を産んでもらうようにしなきゃっ!
目指せお払い箱!!
「あの…」
「マールはニナさんの事が大好きなのね」
マール君はコクンと頷く。
とっても言い出しにくくなったわ…。マール君、私の何をそんなに気に入ったのかしら。
「ニナさんは今何か仕事はしているのかい?」
…いきなり痛い所をつかれたわ…だって無職ですから。
「いえ…。ただいま求職中でして…」
放置されて、裏切られて、牢獄へ…。
家も、知り合いも、お金もない…。
切ない…
「では、うちのマールの教育係をして貰えないだろうか」
きょういくがかり…。
お勉強や楽器であれば教えてあげられるけど、普通専門の先生をつけるよね。
「専門の教育係をつけたりはしないのですか?私がマール君の教育係など畏れ多い…」
出来るだけ貴族からは離れたい、と言うのが本音なのよね。
「もちろん給金は出す。この屋敷に部屋も用意する。だから、考えてくれないだろうか!」
「あの私…」
ちょっと待って。ここで暫く働いて、お金がたまったら出ていけばいいよね?今考え無しに出ていっても働き口が見つからなかったら、運が悪ければ死んじゃうもの。
これは渡りに舟よ。
1、2ヶ月なら、きっと気がつかれないと思うし。
気がつかれても相手は私の顔を見た事もないんだから、どうどうと他人のふりして逃げればいいんだもんね。因みに私も相手の顔は知らないのよね。
「私でお力になれるのなら、喜んでお引き受け致します。」
「有り難う!では、早速今日からお願い出来るだろうか。」
「はい。」
今日からでも何でもいいの。
そろそろマール君を私の膝の上から下ろしていいという、その許可がほしいのよ。
私がここにいるって聞いて嬉しかったのかな…ギュッと抱き締められて苦しいのよね…
それから10分くらいして『ずっとそこにいたらニナさんがご飯を食べられないでしょう』…と、言ってくれた。やっと!
教育係とは言っても、何をすればいいのか全く指示が来ないのよね…
今までのノートを見ると、字もわかってるし、難しい文章も書けてるし…計算にかんしては、すでにかけ算まで出来ているなんて…。最近の5才はすごいのね。教える必要性を全く感じない。
ただただ、膝の上で絵本を読んでくれとジェスチャーするだけ。
もちろん読むけど、教育係だよね?これでいいの?
「マール、ニナさん、お茶にしましょうか」
「はい。ありがとうございます。」
何もしてないのにお茶を頂くなんて、申し訳ない気がするわ…。
「ニナさん、教育係といっても難しく考えないで。マールと一緒に数時間過ごしてくれるだけでいいの。それ以外は自由に過ごしてくれて構わないのよ。」
「それだけでいいのですか?」
「ええ。」
自由時間があるなら、その時間に仕事探しが出来るよね。『楽しく暮らす』第一歩が踏み出せるかも!
「…ニナさんももう解っているとは思うけれど、マールは声を出す事が出来ないの。お友達もあまりいないし、いつも部屋にこもりがちで…。けれど、ほら、これを見て。」
紙を受け取って内容を見るとこう書いてある。
『あの人に会いたい。』
あの人っていうのは私…?
「この子は私達に何かしてほしいと頼む事が殆んどないから、嬉しかったの。引き受けてくれて本当に感謝するわ」
奥さまの目から涙が…
「こちらこそ、光栄です。ありがとうございます」
1、2ヶ月で辞めたいって言いづらくなったわ…。もっときちんと最初に意思を伝えておくべきだったよね…
明日、旦那様に伝えよう。それとなく。
マール君の教育係になって早1週間。
そして仕事を探して1週間になるんだけど、私はなにが出来るかな?
チャレンジしなきゃ何も始まらないよね!
でも、街の人は私がマール君の教育係だと知っていて、仕方なしに雇います…っていう感じで申し訳ないし…だから今行き詰まっている状態なのよね。
伯爵家で働くと、こんな落とし穴が隠されているなんて…。
教育係といってもマール君と遊んでいるだけなのだけど、そんなの周りからすれば関係ないよね。
楽しく暮らす為には、やはり貴族との関わりを絶たなきゃ駄目だわ。
う~ん
いっそのこと、この街で仕事を探すんじゃなくて、隣街まで行ってみようかな。
明後日はお休みだしね。ラドクリフ伯爵達はパーティー招待されているから。
教育係をしていて思ったんだけど、子供にお勉強を教えるっていうのはどうかしら?相手がお金持ちとか、貴族とか、身分なんてどうでもいいの。
私の習った事を全てを使って出来るような所で働きたい…。でも家庭教師するにも伯爵に紹介状を書いてもらわないと駄目だよね。
後ろだてもないのに、『教師やります!』なんて無理だもの。
伯爵が紹介する相手は、それなりの身分の高い家庭だろうし、そうなると私じゃ無理…私の教養は役にたたないのね…
やはり、結婚して別居するのがいいのかな…。
でも仕事は出来なくなる可能性が高い。
『王子と結婚してるけど別居してるので関係ありません。』とか絶対無理に決まってるわ。教育係をしているというだけで仕事が出来ない状態なんだし。
それに何より、結婚したら1人で街を歩くなんて許してくれない気がするのよね…。
やはり、逃げ切って楽しい暮らしを手に入れる!
駄目だった場合は、溺愛してる女性でもいいし、好きな女性をつくって頂いても構わないから、早く子供を産んでもらうようにしなきゃっ!
目指せお払い箱!!
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