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開墾
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「トマス、ここが俺達の畑か?」
「はい。」
「畑…」
「はい。」
「……畑…?」
「はい。」
どう見ても、ただの荒れ地!!
「これじゃ何も植えられないけど。」
「開墾します。」
「この状態から…?」
「はい。」
『特訓しなくていい』って言うから喜んでたのに…、それより更に過酷な肉体労働をする事に。
誰かがこういう土地を開拓しなきゃ、俺のイメージしてる畑にはならないのか…。その『誰か』が俺…。
トラクターがほしい!
日本で当たり前のように見ていた景色は、先人達の汗と涙の結晶。俺は今、未来の誰かにとっての『先人』になるわけだ。
メンドクサイ…
「俺は楽して楽しく暮らしたい。今すぐにジャパンに帰してくれ!!」
「何を訳の解らない事を…」
「ふん、トマスに俺の悩みは解るまい。」
文句いってても始まらないし、とりあえず畑を作ろう。開拓、開墾だ。
墾田永年私財法だ。
「コタロー、今は鍬は使いません。畑はまず草狩り、石とりから始めないと…。」
意外と地味な作業だな。
たかが雑草抜きと侮っていたけど、めちゃくちゃしんどい。長い草は根がはっててなかなか抜けないし、短いのはしゃがまないといけない。
「イタッ!?」
「どうしました!?」
「草で手が切れた……」
「では、少し休みましょうか。」
「うん」
トマスが雑草を抜いた土地、サッカーコートくらいある気がする…。俺は…テニスコート半分くらい…。
体力おかしくね?
いくらなんでも差がありすぎる!!
暫くボケーっと座ってると、トマスが立ち上がって剣を抜いた。
「コタロー、私の後ろへ。」
トマスの雰囲気がいつもと違う。
俺は言われた通り、すぐに立ち上がってトマスの後ろに隠れた。
2mくらいの長さの雑草が不自然に揺れて、ガサガサと音が近付いてきた。
じっと見ていると、そこから出てきたのは痩せ細ったじいさんだった。
「コラーッ!!人の土地で何やってる、この蛆虫野郎共っ!!」
じいさんめっちゃ元気っ!!
ん?トマスが剣をおさめたって事は、危なくないじいさんなのか?
「ここは、俺達の土地だ。」
「ふざけるなっ!!先祖代々、ワシ等の土地じゃ!!」
そうなの?
トマス、土地間違えたのか?
「この土地って、どこからどこまでがじいさんの土地なんだ?」
トマスの後ろからチラッと顔を出して聞いてみた。安全を確保しつつ、言いたい事を言う俺。卑怯もの!!
「何処からも何も、この島は全てワシ等のもんじゃ!!お前ら蛆虫が寄ってたかって奪ってるだけじゃろ!!」
これは、じいさんが正しいと思う。
「『じいさんの』って訳じゃなく、『島民の』って事だよな?」
「そうじゃ。」
「じゃ、ここの持ち主は?」
「……」
「いないのか?」
「いたが、殺された…」
「……外から来た奴に?」
「そうじゃ。お前らみたいに、日焼けもしてない奴らが、何もかも奪っていきよる。」
……
俺はバカだ。
ここは植民地なんだ。
誰かのもんを奪って、それを自分のモノにしてるだけで、統治なんかじゃない。
俺らはただの侵略者…。
この世界の、この時代の人間にはこれが普通なのか?
日本で毎日安穏と生活してた俺は、誰かから奪ってまで金が欲しいとか、贅沢したいとまでは思わなかった。そんな事、考えなくて良いように、父さんや母さんに守られてたから。
飯が食えて、学校に通えて、スマホ買ってもらって、親が頑張ってたからだ。
じゃ、バスティは?
俺に石を投げてきた子供は?
生きる土地も仲間も家族も自由も奪われて、どうやって生きていくんだ?
今日まで俺が当たり前だと思ってた事が、当たり前じゃない世界なんだ。ここは…。
「はい。」
「畑…」
「はい。」
「……畑…?」
「はい。」
どう見ても、ただの荒れ地!!
「これじゃ何も植えられないけど。」
「開墾します。」
「この状態から…?」
「はい。」
『特訓しなくていい』って言うから喜んでたのに…、それより更に過酷な肉体労働をする事に。
誰かがこういう土地を開拓しなきゃ、俺のイメージしてる畑にはならないのか…。その『誰か』が俺…。
トラクターがほしい!
日本で当たり前のように見ていた景色は、先人達の汗と涙の結晶。俺は今、未来の誰かにとっての『先人』になるわけだ。
メンドクサイ…
「俺は楽して楽しく暮らしたい。今すぐにジャパンに帰してくれ!!」
「何を訳の解らない事を…」
「ふん、トマスに俺の悩みは解るまい。」
文句いってても始まらないし、とりあえず畑を作ろう。開拓、開墾だ。
墾田永年私財法だ。
「コタロー、今は鍬は使いません。畑はまず草狩り、石とりから始めないと…。」
意外と地味な作業だな。
たかが雑草抜きと侮っていたけど、めちゃくちゃしんどい。長い草は根がはっててなかなか抜けないし、短いのはしゃがまないといけない。
「イタッ!?」
「どうしました!?」
「草で手が切れた……」
「では、少し休みましょうか。」
「うん」
トマスが雑草を抜いた土地、サッカーコートくらいある気がする…。俺は…テニスコート半分くらい…。
体力おかしくね?
いくらなんでも差がありすぎる!!
暫くボケーっと座ってると、トマスが立ち上がって剣を抜いた。
「コタロー、私の後ろへ。」
トマスの雰囲気がいつもと違う。
俺は言われた通り、すぐに立ち上がってトマスの後ろに隠れた。
2mくらいの長さの雑草が不自然に揺れて、ガサガサと音が近付いてきた。
じっと見ていると、そこから出てきたのは痩せ細ったじいさんだった。
「コラーッ!!人の土地で何やってる、この蛆虫野郎共っ!!」
じいさんめっちゃ元気っ!!
ん?トマスが剣をおさめたって事は、危なくないじいさんなのか?
「ここは、俺達の土地だ。」
「ふざけるなっ!!先祖代々、ワシ等の土地じゃ!!」
そうなの?
トマス、土地間違えたのか?
「この土地って、どこからどこまでがじいさんの土地なんだ?」
トマスの後ろからチラッと顔を出して聞いてみた。安全を確保しつつ、言いたい事を言う俺。卑怯もの!!
「何処からも何も、この島は全てワシ等のもんじゃ!!お前ら蛆虫が寄ってたかって奪ってるだけじゃろ!!」
これは、じいさんが正しいと思う。
「『じいさんの』って訳じゃなく、『島民の』って事だよな?」
「そうじゃ。」
「じゃ、ここの持ち主は?」
「……」
「いないのか?」
「いたが、殺された…」
「……外から来た奴に?」
「そうじゃ。お前らみたいに、日焼けもしてない奴らが、何もかも奪っていきよる。」
……
俺はバカだ。
ここは植民地なんだ。
誰かのもんを奪って、それを自分のモノにしてるだけで、統治なんかじゃない。
俺らはただの侵略者…。
この世界の、この時代の人間にはこれが普通なのか?
日本で毎日安穏と生活してた俺は、誰かから奪ってまで金が欲しいとか、贅沢したいとまでは思わなかった。そんな事、考えなくて良いように、父さんや母さんに守られてたから。
飯が食えて、学校に通えて、スマホ買ってもらって、親が頑張ってたからだ。
じゃ、バスティは?
俺に石を投げてきた子供は?
生きる土地も仲間も家族も自由も奪われて、どうやって生きていくんだ?
今日まで俺が当たり前だと思ってた事が、当たり前じゃない世界なんだ。ここは…。
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