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裏切り

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「クロエ、用意は出来たかい?」
「ええ、お父様。一足先に行くから、後でお母様と来てくださいね。」
「ああ、すぐに追いかける。」

私、クロエ・リード20才
今日から、婚約者であるこの国の王太子のいる城で暮らす事になる。




邸から城へ向けて、馬車にのって1時間。

お尻が痛い…。もう少しゆっくり進んでくれてもバチは当たらないと思うわ。

宮廷魔導士10人に厳重に警備されて馬車は進んでいる。どう考えても、私を護るだけなら2人くらいで足りると思うんだけど…。

この国の貴族家系の者は魔法が使えるのが当たり前。家を継ぐことのない者は、魔法の能力が高ければ魔導士になって高給で働いている。
その仕事が、私を10人で護る事なの…?
はっきり言って税金泥棒だわ。給金は税金なんだもの。

「宮廷魔導士って、1人で30人くらいの人間を相手に出来るんでしょう?」
「はい。」
「ここに10人も必要なの?」

そうじゃなくてもこの馬車は不可視魔法がかけられてるのに。

「ねぇ、東の森で暴れてるモンスター討伐はどうなっているの?町1つ破壊されてるのに…」
「他の者が出向いております。」
「それは、貴族じゃない魔導士がでしょう?」

魔法が専売特許の能力の高い魔導士が、魔法でしか殺せないモンスターを放置してるってどうなのかしら?
言っても仕方がないけどね。


「ねぇ、1度休憩しない?少し疲れたわ。」
「急いで城へお連れするようにと命令されておりますので。」
「そう…」

命令って10分や15分休憩したくらいで大して変わらないわよね。

貴方達は魔法で身体的衝撃を減少出来るからいい。でも私にはそれがないの。その辺、少しは考慮してほしいものだわ。


それから更に1時間。
お尻の痛さも忘れ、私はぐっすり眠っていたらしい。


ドォーーーンッ

「っうひゃあっ!?」

大きな雷鳴のような爆音で、私は目が覚めた。
    

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