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リズが俺達を振り切って、走ってどこかへ行ってしまった。

「セドリック様は追いかけないで下さい!」

ラッドは俺の腕を掴んで離さない。

「離せっ!リズに何かあったらどうするっ!!」
「エリザベス様に何があろうど、セドリック樣が追いかける事は出来ません!!」
「何故だっ!俺が王太子だからか?ふざけるなっ!そんな物はいくらでも代わりがいる!!でもエリザベスは1人しかいないっ!!」
「っぐ…」

俺はラッドの腹を殴って裏庭へ走った。

別に何かある訳じゃない。ただ、走っていっただけでトビーに会う事なんてまず無い。
けど、『私ならそうする』って、トビーのやりそうな事をエリザベスは言い当てていた。

同じように考えているなら、学校ここしかないって思ったんだ。だから1人になればトビーは出てくると考えて行動した。

裏庭にリズはいなかった。

エリザベスの護衛はむせて動けていない。俺についていて1番頼りになりそうなのは1人だけだった。

「エミリオっ!研究室を見てきてくれ!鍵がかかってれば、窓を割って中に入ればいい!!」
「了解っ!」

他にリズが行くとすれば温室だっ!

俺は迷路の横を通って温室に行った。

バンッ
「ハァ…ハァ……リズはっ…エリザベスは来なかったかっ!?」
「いえ、来てませんが…何かございましたか?」
「…なら…リズではなくて、俺を見た奴はいないか?」

この庭を管理してる者は早朝からいるのだから、この辺に奴がいたなら見てる者がいるかもしれない!

「見ました。6時頃に1度来てましたよね?」
「何をしてた?…その男は何をしていた!?」
「その男……?…俺はただ殿下がいるのは珍しいな…とは思いましたが、きっとエリザベス様に付き合ってるのだと思って気にしていませんでした。」

「そうか、ならいい。」

温室から出たところに毛虫が転がっていた。

「これは……」

パーティーでスープに入っていたのと同じ毛虫。偶然じゃない。トビーは学校にいる。

「火事だぁーー!!迷路に火がついたぞー!!」

聞こえる声にゾッとした。
方向音痴のリズを迷路に誘い込んで火をつければ逃げられない…。

「くそっ!!」

入り口は温室側にある。今向かえば間に合う!

そう思って走ったが、既に入り口は燃えて入れない。

「セドリック様!迷路に大量の油が撒かれています!!簡単には消し止められません!!」
「っ万が一の為に生徒を避難させろ!!」
「はいっ!!」

迷路を囲むように火がついているが、中までは燃え広がってないように見える。

「…出口!!」

俺は今来た道を引き返した。

「エリザベスーーッ!!何処だっ!!返事をしろ!!」

もし出口にも火がついていたら…?
毎日見ているのに、この迷路がどうなってるのかなんて気にした事がない。もしかしたら、出口は1つだけじゃないかもしれない。

大丈夫だ、まだエリザベスがいると決まった訳じゃない!俺達をおいて行っただけで、トビーに会ってるはずがない!!
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