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争奪戦3

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次の日、朝食を終えてすぐに外出する事にした。

「リズ、何処へ行くんだ?」

セドリックが私に聞いてきた。
多分これから何処に行くのも行き先を聞かれるわね。

「カ-ミナです。」

私が言うと、セドリックは顔をしかめた。

「もしかして、病院に行くつもりなのか?」
「そんな所には行かないわ。」

カーミナは病院のある街だから、私が何か無茶をするんじゃないかって、心配してくれてる…はずよ。
ううん、なんだろう。まわりの視線は冷たいわ。
『おとなしくしてなさい』って、聞こえてきそうよ…。私は何もしていないのにね。
みんな私を何だと思ってるのかしら…。


「病院に行くのでなければ、目的は?」
「園芸店へ。大きなお店があると聞いたので。」
「…そうなのか?」

セドリックが後ろに控えているラッドさんに確認した。

そんなに疑わなくてもいいと思うんだけど。

「気になるなら付いてきても構いませんよ。何時間も吟味してお買い物するから、一緒にいるのは辛いと思うけどね。」
「…構わない、一緒に行く。」

今回は別に付いてきても問題なしよ。
セドリック達は、私の犯人探しが何から始まるか解らないはずよ。
警察も役には立たないのは目に見えてるわ。敵の可能性もあるもの。


馬車には護衛2人、ラッドさんとルネ、セドリックと私の合計6人。

「お嬢様は中央の席に座ってください。」
「駄目よ、カーミナの小さなお店で素晴らしい毒草との出会いがあるかもしれないんだから!街中すべて見逃せないわ。」
「お嬢様…。」
「絶対に譲らないわ。この街とは違うのよ。カーミナのお店で犯人が罠をしかけてるはずないもの。そうでしょう?セドリック様。」
「…はぁ…わかった。」
「ありがとうございます!」

真ん中に座らされるのは避けたいのよね。
私は病院内も見たいけれど、それ以外にも見たいものがあるの。
病棟の最上階の裏よ。
前に1度行った時は、階段を上りきって右2つ目の部屋に副長官がいた。私から見て左にも部屋はあったけれど、同じ作りになっているのかが知りたいのよね。
正面からは左右対称の建物のように見えたけど、左側は1部屋しかなかったわ。

カタカタと馬車が進んで、病院の裏通りを通る。

…やっぱり。

裏からみると最上階にはどの窓にも鉄格子はある。ただ鉄格子の作りは同じじゃない。物凄くしっかりしていて大きくて、網の目の細かいものが窓の半分をしめてる。男の人なら腕を出すのも精一杯じゃないかしら。

きっと何も手に出来ないようにしてる。トビーの隔離部屋だった可能性は大きいわね。なんて分かりやすいの。
でもこれは警察は既に知ってる情報。ここからがスタート地点だわ。
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