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争奪戦

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私の正体…
絶対それをバラさずに取っ捕まえるけどね。
でなければ、今日までの努力は全て水の泡よ。

みんな『何もするな』と言うけれど、逃げたって追いかけてくるわ。なら、迎え撃つより先に撃ち落とす方が好みなのよね。

ルネは私に『ずっと同じような事を言っている』というけど、そう思ってしまう事が駄目なところね。
小さな変化をで片付けてしまう、そして思考が固まる。殺したいのは結果、目的が違うなら攻撃も変わるのよ。

ゲーム序盤で相手が王手までをよんでいたとしたなら、それを上回る手が必要よ。もちろんルール無視でね。たった1駒の違いでも、王はとれなくなる。

みんな甘いのよ。
普通が普通じゃない世界はいくらでもあるのに、その感覚が欠落しているんだもの。ありえないと思う事は十分ありえる事だし、次の日には自分に襲いかかるかもしれない事よ。
もともと、皆は危機感が薄い証拠よ。
何も怖くないわけじゃない。私は現実を直視してるだけ。



次の日の朝

「…セドリック様、この大所帯は何かしら…。」

ルネとサーシャそして5人の護衛が側についてるんだけど…

「護衛だ。」
「見たらわかるわよ。その護衛の意味を間違えてませんか?って事なの。」
「…何が言いたい。」
「これは、犯人から私を護る為じゃなくて、私が犯人を追いかけない為の壁よね。」

犯人を見つけても、7人をふりきって追いかけるなんて至難の技だわ。それを解ってて『護衛』だなんて名目で動けなくするなんて…。
心配してくれてるのは嬉しいけれど、邪魔なのよね。

「護衛はサーシャだけで構いません。」
「却下だ。」
「……」

この人、今回は絶対に引かないわね。

「どんなに護衛をつけても無駄です。が『エリザベスと2人きりになりたい』って言えば、2人きりになれるもの。」
「……」

セドリックと同じ顔をした男にそう言われれば、護衛は誰も邪魔なんてしないわ。

「……解りました。護衛はこのままでかまいません。ただ一緒に行ってほしい所があるの。」
「…どこへ?」
「この前、内情を聞けなかった病院よ。長官の口ぶり、軍と警察の病院は、ある意味『治外法権』だと感じたわ。…容疑者を匿うにはうってつけ。隠すのもね。」
「……」

トビーに逃げる場所なんて無いだろうし、何処かで隔離していた可能性も出てきたわ。それが可能なのが病院、誰からも口出し出来ない極秘の建物よ。

だから『私を狙ってるんじゃないか』って警察は判断できた。その可能性はあるし調べて損はない。


長官がオカツの毒について話した時、研究員だと言ってたわ。上手く話をすりかえられてた。病院の話はしてくれていないもの。

トビーは14才で逃げたと言っていたわ。その時セドリックは13才で今は16才。ちょうど3年前よ。

あの毒を作っていたのが、患者じゃないとは限らない。
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