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恋文2

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「…これは、セドリック様が用意してくれたの?」
「いや。俺は何も…。」

放課後、学校の研究室の机に『スホーン』が置いてある。私が誘拐事件にかまけて枯らしてしまった毒のある花。

「何か企みがあるのか、贈りたかっただけなのかは解らないけど、スホーンはこの季節には咲かないのよ。」
「どこか設備の整った所で育ててたって事か…。」

ここは鍵も閉めてるのに、どうやって入ったのかしら。
切ないけれど、置いてあったスホーンはゴミ箱直行。贈ってくれるなら直接持ってくればいいのに。

「……リズ、スホーンのこの花弁、光に透かして見ろ…。」
「透かす?」

ピンセットでつまんで透かしてみると、針か何かでプツプツ細かく刺したような穴がいくつもあいている。

「『明日も会おうね』っですって。」
「変態毒オタクはリズと会ってるか見てるって事か…。」
「冗談でしょ…。」
「書いてあるのはそういう事だ。」
「セドリック様、今日誰とすれ違ったか覚えてますか…?」
「いや、いつもと同じ顔ぶれで、これといって珍しい奴はいなかった。」
「ですよね。って事は、この毒オタクはひっそり私を見ていたの?そして、わざわざスホーンに穴をあけてここに…まさに変態じゃないっ!」
「犯人はこの学校の奴だろ。外部から入ってこれるような場所はない。」
「…という事は、やはり無敵の制服攻撃ね。」
「…なんだ、その攻撃名は。」
「いいでしょ、別に…。」

どうしようかな、変態毒オタクが私を殺したいだけであれば問題ないのよ。
1通目、あれを恋文だとして、2通目がフリナの花弁…。
私宛なのは間違いない。


君と僕の勝負。
毒を愛する者。
僕の愛するエリザベス…

毒オタクが殺したい相手はフリナを贈った私だけなのか…微妙じゃない?


あの手紙を貰うまで『セドリックが狙われてる』って完全に思ってたし、今も毒オタク以外の犯人が狙っている可能性の方が高いと思ってるわ。


毒オタクと私の勝負の行く末…終着点は、私の生死なの?

犯人の勝ち=私を殺す
私の勝ち=犯人を逮捕
…と思ってたけど、『私の勝ち=犯人を殺す』
って事だったりしないよね…。

私が死ねば、私が護衛してたセドリックを護れない可能性がある…。

『犯人を殺さないと、セドリックは死ぬ』…なんて事じゃないよね。
私はセドリックの婚約者候補、物凄くひねくれた考えをすれば、私の婚約者候補はセドリック…。

愛するエリザベスは自分の手で毒殺したい。
セドリックを殺すのは、ただの狂った嫉妬。

…そんな馬鹿なこと……。

よく考えるのよ。
私はこの男を変人じゃなくて、変態だって思った。

セドリックもたぶんそう思ってる。
『僕の愛するエリザベス…』の手紙の後に、触れたら腐って死んでしまう花弁だけ入れた手紙を送りつけてくる、そんな狂人だって。

私の何に対して喜びを感じているのか解らないわ。変態・狂人相手なんだもの。まだ『これだ!』って決めつけて答えは出さない方がいい。
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