王太子様お願いです。今はただの毒草オタク、過去の私は忘れて下さい

毒を愛する者より

「リズ」
「はい。」

エミリオにオカツについて少し聞こうとした時に、後ろからセドリックに声をかけられた。

「…気を付けろ。」
「……いつも気を付けてるわよ？」

どうしたのかしら、急に。

セドリックの様子がおかしいな…とは思ったけど、すぐにそんな事は忘れてその日の放課後はとても充実して過ごせた。



「…あの、かなりおかしくないですか？」
「何がだ？」

夕食の時に異変を感じる…。

「毒見が多すぎませんか。…王太子様の食べる物であっても信用してる方が作ってるんですよね…。なのに何故今日から４人もいるの？」

これは何か由々しき事態が起きてるに違いないわ。

「…本当に事件は解決したんですか？」
「……」

絶対解決してないよね…。

私がスープにスプーンを入れようとすると、その前にセドリックがそれをすくって飲んだ。

「何をしてるの!?万が一にも私のスープに毒が入ってたらどうするつもりなのっ!!」
「構わないだろ。まだ俺のスプーンは未使用だったからな。」
「何をトンチンカンな答えを…。本当におかしいわ。」

ルネをチラッと見てみると、目を丸くしてる。そりゃそうだよね。ルネだけじゃない、ラッドさんも回り全員が唖然としてるわ。

「何か心配でもあるの？」
「ただの嫌がらせだ。」
「嫌がらせ？」

どうしたのか解らないけど、全てがおかしい。けど、何故おかしいのか理由がわからない。
護衛も毒見も増やしてエミリオまで呼んで、物凄く深刻だよね…。

「ラッドさん。この状況を説明してくれるかしら。」
「事件解決時は犯人が思わぬ行動に出る事がありますので、全てにおいて護衛と警備を増やしております。」
「いかにもそれらしい事を言ってるけど、本当は違うんでしょ？セドリック様がまだ狙われてるんでしょ。何故教えてくれないのよ！」
「リズ、暫くの間は厳重にするだけで、他意はない。
「……」
絶対嘘だわ。



この状態が続いて６日。

おかしい…。絶対おかしい…。

ルネに聞いても誰に聞いても、『セドリック様の事件で護衛や毒見を増やしてる』…と言うんだけど、それはわかるの。
けど、厳重すぎる。…本当は状況が悪化してるんじゃないのかしら…。

「ん？」

自分の部屋に戻ると、机に図鑑があった。

「これ、私のじゃないよね。」

…何か毒が付いてたりたりするかもしれない。手袋をつけて表紙をめくると１通手紙が入っていた。

『僕の愛するエリザベスへ。これは君と僕の勝負だよ。毒を愛する者より。』

「ぅわ…何これ…気持ち悪い…。」

『君と僕の勝負』

…まさか、狙われてるのは私…？