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広場

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手間取ると思っていたけど、事件は呆気なく終わりを迎えた。真犯人がわかったら、今まで全面に出られなかった軍も一斉に動き出せたから。

コチは改装…という名目で一度灰になる。



翌月10日


今日、王都の広場に断頭台と絞首台が置かれたらしい。
犯人が捕まって翌月処刑。裁きは死罪でしかないから。


広場に向かう罪人、その中にグリーはいない。教会で素性を隠して働くと聞いた。被害者はかなり冷静に話し合って譲歩してくれたと思う。女の未来を奪ってきたのだから、この刑は優しいくらい。

公爵は考えてくれた。犯人を獄門台にのせる事で、グリーを殺さなかった。

グリーの腕に焼き印は残る。大罪人の子としての。



広場から街の人の声が城まで聞こえてくる。


首を晒される者は断頭台へ、そうじゃないなら絞首台へ。

広場のざわめきが、沢山の悲鳴と歓声に変わった。



これでよかったのよ。
私は命より大切な者を守れた。
命をかけたのは私も同じ。
死んでいたのは私だったかもしれないんだから。
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