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ミリオン侯爵の力3

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城に着くと、既に陛下も総帥も公爵も伯爵もいた。

話し合いの場に立ち会えないか聞いてみたけど、流石にそれは出来なかった。

「エリザベスっ!!」

すごい勢いでセドリックが走ってきた。

「…どうしたんですか?」
「『どうしたんですか?』…じゃないだろっ!!警察に行ってから帰ってこないし、誰に聞いても場所は知らないと言う。心配したんだぞっ!!」

喋らないよね。私より護るべきなのはセドリックだという状況だし…。

「お父様の家に行っただけよ。」
「嘘をつくな…。グリーと夫人が地下牢に入れられてる。それに、ここに集まってる顔ぶれを見れば、ただ事じゃないと誰が見てもわかる。」
「…それは……」


「エリザベス、ちょっといいかな。」

私達の会話をロビン様がとめた。

「侯爵が呼んでるよ。」
「私だけを?」
「ああ。」

何だろう…。

連れていかれた先は、皆が話し合いをしていた部屋。

コンコン
「失礼します。…あ」

お父様の手にあるのは、私の調書…。あれには副長官に拐われた時の事とか詳しく書いてあるし、これはかなり怒られる…。

「エリザベス、此方へ座りなさい。」
「…はい」
「…この件は後で聞く。」

お父様が調書を机の上においた。

「今回の事件にエリザベスは深く。なので意見を聞いてみようという事になった。」

お父様…言い方にトゲがあるわ。

「コチは潰す方向で進める。この件は全員一致だ。」
「……」

まだほんの10分くらいしかたってないのに、もうそんな話が決定してるの…。

「コックス一家の公開処刑もだ。」
「っ!?犯人についての話は?まだしていな…」

お父様の目が『それ以上は言うな』…と言ってる。
公爵が物凄く怒ってる。止めるのは不可能だわ。私が知らないだけで、誘拐や恐喝事件はもっとあったのかもしれない。

「……」

お父様が公爵に送った手紙が陛下の前においてある。

公爵とお父様が揃わないうちに話を進めるな…というのは、お互いに一緒に話し合う為じゃない。 
最終採決だけだったのよ。お父様が公爵に手紙を送った時点で2人の話はほぼ終わってたんだわ。

だから、時間なんていらないんだ。

ミリオン侯爵家当主からターナー公爵への手紙が『城に来て下さい』なだけな訳がない。
多分、コックス家の事は『ミリオンは公爵に一任する』…って書いてたのよ。

「裏の元締め…、それを聞き出せてもグリーは助かりませんか…?」
「エリザベス、被害者はそれを許さないんだ。」

陛下が私を見て言った。

では、何故私はここに呼ばれたの…。コチを潰す、グリーも殺す。その決定事項を聞かされるだけなの?

「コチは潰すと言っても、具体的にどうするんですか?」
「居住区として機能していないところは更地にする。」

潰すというのだから、それに近しい事はするだろうと思ってたし、そうすれば誘拐がなくなる。

「それじゃ、そこにしか住めない人はどうなるんですか?」

家も仕事もない。その機能していない所を家にしてる人はいるのよ…。
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