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聞きたい事2

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公開処刑なんて普通に考えれば出来ない。けれど、拐った子の1人に公爵の娘がいた。凄く影響力のある家柄って聞いたわ。国王だって『そんな事は出来ない』だなんて簡単には言えない。誘拐された貴族の殆んどが公爵についてしまう。
全てを敵にはまわせないもの。

「考える時間はないのよ。お互いね。」
「…ミリオン家に行ったのが誰なのかはわからない。」
「…っ!!だったら、今すぐにでも確認しなさいよっ!」

ここまで来てこの答え。あるとは思っていたけれど、こんな状態じゃなければどんな事をしてもはかせてたのにっ!

「いつも連絡をとる男はいる。」
「誰っ!?」
「コックスだ。」
「…グリーの父親?」
「そうだ。あの男がの元締めだ。金のないコックス伯爵家の令嬢と結婚。大金を払って爵位も手に入れた。」

リリー様が言ってた偉い人…副長官。

「表?…なら裏があるという事?それは誰なの?」
「さぁ、さすがにそこまで首を突っ込むつもりもない。」
「誘拐は?裏…?」
「そこまでは。本当に知らない。」
「私と長官を何処へ連れていこうとしていたの?」
「君に刺されなければ、後5分ほど行った所で馬車を引き渡していた。私はそこで何事も無かったように署に引き返す。」
「やっぱり…そのまま誘拐されておくべきだったわ…。」
「いや、逃げて正解だ。君が邪魔だというのは本当だ。」
「なぜ?身分の問題?」
窮鼠きゅうそねこを噛むと言うだろう。怖いのは君みたいな子なんだよ。」
「では、相手は私を殺しに来るわね。話が早いわ。」

チャーリーが、お父様のところへ来たのは貴族ではないと言っていたわ。形からして…。

「…なぜ私の身分を知っていたの?」
「コックスは知っていた。おそらく奴の仲間に君を知ってた男がいる。君を見れば確実に判断できるらしい。」
「確実に…?それは顔ではないわよね?」
「…それであれば『似ている子』で終わるし、侯爵を脅すネタにはならない。他にあるんだろう。もし何か思い当たる事があるなら、きっとそれだ。」
「……」

背中の傷だわ…。
それしかない。
私を切った男が街の噂を聞けば、そうじゃないかと予想をたてられる。お父様は鎌をかけられた。それが当たってた…。

これは全て憶測だけど、今1番有力よ。

グリー…、私に1人で会いに来た男。私がここまで気の強い女だと思わなかったから言葉に詰まったんだわ。私は甘く見られていたということね。
絶対に許さないわ。爵位も領土も、返上してもらうわ。親子共々、最下級層に落としてやる…。
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