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副長官
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過呼吸って辛いのね。長官がいなければ焦って倒れていたわ。『酷いストレスと不安』…その通りだわ。グリーの事で勢いついてる時に、フリナの話が出てきたんだもの。セドリックは次期王なのだから、誘拐事件も何もかも後回しよ。
グリー…。父親が貴族でないとするなら何なの?伯爵は婿養子って事になるわよね。
爵位をお金で買う人もいる…。伯爵家全体がお金に困ってた…とか。
長官なら知ってるかしら。
うん、何だかスッキリしてきたわ。ここまで弱音をはいたんだから、長官には徹底的に手伝って貰うのよ!
コンコン
「ホワイトです。」
ホワイト…副長官だよね?
ここはいないふりをしていた方がいいのかしら。だって、長官のお部屋だもの。私の勝手には出来ないよね。
「エリザベス様。少しお話があります。」
…どうして長官室に来て、『エリザベス』が出てくるの?私はまだ返事もしていないわ。長官に会いに来たのを知ってるとしても、普通は確認するよね。まず、長官の部屋に来て最初に私の名を呼ぶのはおかしいわ…。
…何かあった時のために『副長官に呼び出された、助けて』と書いたメモをポケットに入れておこう。
「何でしょうか?」
私は扉越しに話をした。
「あまり人には聞かれたくありませんので、副長官室でお話しします。」
「ここで長官を待つように命令されていますので、それからでもよろしいければ。」
ガチャ
「来てもらわないと困ります。」
そう言って副長官は勝手にドアを開けた。
こんなの絶対おかしいよね。
「では、行きましょうか。」
「…わかったわ。」
…気のせいかしら。副長官から長官と同じ葉巻の匂いがする。以前、副長官室に行った時には、きつい葉巻の匂いはしていなかった。なのに今は葉巻の匂いがする。
長官が副長官といて葉巻を吸ったか、臭いがうつるほど長官に密着したかだよね。長官に背をさすって貰った時、制服から物凄くきつい葉巻の匂いがしたもの。ありえるわ。
副長官室に行くと言っていたのに、そこは素通り。
「……」
これって、あまり良くない方向に進んでるよね。いいえ、これはいい方向と考えるべきよ。副長官と接触出来たんだもの。
「キャッ!」
私はわざと人にぶつかって転んだ。
「いったーい」
「っ申し訳ありません!お怪我は?」
「少し足を捻ったかもしれないわ。」
「たっ、大変申し訳ありません!!」
「気にしないで。」
差し出してくれた手に紙を握らせて、耳もとでいった。
『倉庫の2人へ渡して』
「…」
相手が何か問いかけてくる前に、私は副長官に話しかけた。
「副長官すみません。1人で歩くのが辛いので手を貸してくださいませんか。」
なんてね。
足は全く問題ないわ。油断させておいて、何かあったら全力疾走よ!
エリザベスからメモを受け取った男は、急いで倉庫へ向かった。
「これをエリザベス様から?」
「はい、少し様子が変だったから、早く確認した方がいいと思います。では。」
パタン
「また急用で休むとかじゃ……っ!?マルクスっ!大変だ!!エリザベス様が危ないっ!」
「何があったっ!?」
「これ!」
『副長官から呼び出された、助けて』
「助けてって…、副長官に呼び出されてるのに…?」
「今は考えてる場合じゃない!」
急いで署をでても、既にエリザベス様の姿はなかった。
「くそっ!とりあえず長官と司令官に!!」
「…それが、長官もいないらしい。」
倉庫で働く2人はエリザベスが予想した通り兵士で、エリザベスの護衛、見張りでもあった。
・・・・
「長官…」
乗せられた馬車に、長官が乗っていた。薬を嗅がされたのね。青い顔をしてぐったりして意識がないわ。口のまわりが少し荒れてるし、おそらくケークね。
「副長官室でお話ではなかったのですか?」
「この長官の姿を見ても落ち着いてられるのは、生まれた場所のせいなのか、お陰なのか。」
やっぱりこの男は、お父様の件にも絡んでる…。顔に出しては駄目よ。
反撃の時が来たのよ。
「いい加減、話を進めてくださいませんか。私は暇ではないのです。」
「エリザベス嬢、はっきり言って貴女は邪魔でしかない。まさか、馬車で男を刺して突き落とす貴族がいるとは思わなかった。」
「勝手に落ちたわ。私を安物の馬車で拐かそうとするからよ。汚らわしい。」
「コチ出身の女には贅沢すぎるくらいだ。」
「そうね。もし私がコチ出身だと思ってるなら、貴方は愚かね。」
「……どういう事だ。」
「そのジョークを誰が信じるのかしら。貴方が誰かに言う?貴方が言う事と、ミリオン侯爵が言う事、世間はどちらを信じるかしら?」
「虚偽の申請をしているのであれば、侯爵だって信用を失う。」
「ねぇ貴方、浅はかだと言われた事はない?それを言ったら自分の首を絞めると思わないのかしら。私の事を『誰に聞いたのか?』ってなるわよね。その時、街のゴロツキに聞いたとでも言うの?では、その人達とは何処で繋がってるか、誘拐事件に関係は無かったのか、それを聞かれるわ。全て不利なのは貴方よ。」
私はゴロツキより、身分の高い人物が出てくるのを心待ちにしていたわ。
既に捜査が警察だけの話では収まってないんだもの。事件の手がかりを知っていて口を閉ざす事は、自分の立場を危うくする。それは絶対に避けたいはずよ。上流階級にいる者が庶民と同じ階級になるのは、屈辱でしかないはずだから。
くだらない身分制度だけど、こういう時は使える。
お父様が脅されてる事も長官には伝えたし、これで希望は出てきたわ。
「もう少しで目的地に着くのでしょう?」
ケークの毒は速効性はあるけど、抜けるのも早い。長官が部屋を出て直ぐに捕まっていたなら、もう30分以上はたってるはず。口まわりの赤みから見れば、そんなに毒の量は多くないはずよ。時間稼ぎをしたいけれど、きっとそれまでに着く。
私は拘束はされていない。手も足も動く。行動するなら今しかないわ。
グリー…。父親が貴族でないとするなら何なの?伯爵は婿養子って事になるわよね。
爵位をお金で買う人もいる…。伯爵家全体がお金に困ってた…とか。
長官なら知ってるかしら。
うん、何だかスッキリしてきたわ。ここまで弱音をはいたんだから、長官には徹底的に手伝って貰うのよ!
コンコン
「ホワイトです。」
ホワイト…副長官だよね?
ここはいないふりをしていた方がいいのかしら。だって、長官のお部屋だもの。私の勝手には出来ないよね。
「エリザベス様。少しお話があります。」
…どうして長官室に来て、『エリザベス』が出てくるの?私はまだ返事もしていないわ。長官に会いに来たのを知ってるとしても、普通は確認するよね。まず、長官の部屋に来て最初に私の名を呼ぶのはおかしいわ…。
…何かあった時のために『副長官に呼び出された、助けて』と書いたメモをポケットに入れておこう。
「何でしょうか?」
私は扉越しに話をした。
「あまり人には聞かれたくありませんので、副長官室でお話しします。」
「ここで長官を待つように命令されていますので、それからでもよろしいければ。」
ガチャ
「来てもらわないと困ります。」
そう言って副長官は勝手にドアを開けた。
こんなの絶対おかしいよね。
「では、行きましょうか。」
「…わかったわ。」
…気のせいかしら。副長官から長官と同じ葉巻の匂いがする。以前、副長官室に行った時には、きつい葉巻の匂いはしていなかった。なのに今は葉巻の匂いがする。
長官が副長官といて葉巻を吸ったか、臭いがうつるほど長官に密着したかだよね。長官に背をさすって貰った時、制服から物凄くきつい葉巻の匂いがしたもの。ありえるわ。
副長官室に行くと言っていたのに、そこは素通り。
「……」
これって、あまり良くない方向に進んでるよね。いいえ、これはいい方向と考えるべきよ。副長官と接触出来たんだもの。
「キャッ!」
私はわざと人にぶつかって転んだ。
「いったーい」
「っ申し訳ありません!お怪我は?」
「少し足を捻ったかもしれないわ。」
「たっ、大変申し訳ありません!!」
「気にしないで。」
差し出してくれた手に紙を握らせて、耳もとでいった。
『倉庫の2人へ渡して』
「…」
相手が何か問いかけてくる前に、私は副長官に話しかけた。
「副長官すみません。1人で歩くのが辛いので手を貸してくださいませんか。」
なんてね。
足は全く問題ないわ。油断させておいて、何かあったら全力疾走よ!
エリザベスからメモを受け取った男は、急いで倉庫へ向かった。
「これをエリザベス様から?」
「はい、少し様子が変だったから、早く確認した方がいいと思います。では。」
パタン
「また急用で休むとかじゃ……っ!?マルクスっ!大変だ!!エリザベス様が危ないっ!」
「何があったっ!?」
「これ!」
『副長官から呼び出された、助けて』
「助けてって…、副長官に呼び出されてるのに…?」
「今は考えてる場合じゃない!」
急いで署をでても、既にエリザベス様の姿はなかった。
「くそっ!とりあえず長官と司令官に!!」
「…それが、長官もいないらしい。」
倉庫で働く2人はエリザベスが予想した通り兵士で、エリザベスの護衛、見張りでもあった。
・・・・
「長官…」
乗せられた馬車に、長官が乗っていた。薬を嗅がされたのね。青い顔をしてぐったりして意識がないわ。口のまわりが少し荒れてるし、おそらくケークね。
「副長官室でお話ではなかったのですか?」
「この長官の姿を見ても落ち着いてられるのは、生まれた場所のせいなのか、お陰なのか。」
やっぱりこの男は、お父様の件にも絡んでる…。顔に出しては駄目よ。
反撃の時が来たのよ。
「いい加減、話を進めてくださいませんか。私は暇ではないのです。」
「エリザベス嬢、はっきり言って貴女は邪魔でしかない。まさか、馬車で男を刺して突き落とす貴族がいるとは思わなかった。」
「勝手に落ちたわ。私を安物の馬車で拐かそうとするからよ。汚らわしい。」
「コチ出身の女には贅沢すぎるくらいだ。」
「そうね。もし私がコチ出身だと思ってるなら、貴方は愚かね。」
「……どういう事だ。」
「そのジョークを誰が信じるのかしら。貴方が誰かに言う?貴方が言う事と、ミリオン侯爵が言う事、世間はどちらを信じるかしら?」
「虚偽の申請をしているのであれば、侯爵だって信用を失う。」
「ねぇ貴方、浅はかだと言われた事はない?それを言ったら自分の首を絞めると思わないのかしら。私の事を『誰に聞いたのか?』ってなるわよね。その時、街のゴロツキに聞いたとでも言うの?では、その人達とは何処で繋がってるか、誘拐事件に関係は無かったのか、それを聞かれるわ。全て不利なのは貴方よ。」
私はゴロツキより、身分の高い人物が出てくるのを心待ちにしていたわ。
既に捜査が警察だけの話では収まってないんだもの。事件の手がかりを知っていて口を閉ざす事は、自分の立場を危うくする。それは絶対に避けたいはずよ。上流階級にいる者が庶民と同じ階級になるのは、屈辱でしかないはずだから。
くだらない身分制度だけど、こういう時は使える。
お父様が脅されてる事も長官には伝えたし、これで希望は出てきたわ。
「もう少しで目的地に着くのでしょう?」
ケークの毒は速効性はあるけど、抜けるのも早い。長官が部屋を出て直ぐに捕まっていたなら、もう30分以上はたってるはず。口まわりの赤みから見れば、そんなに毒の量は多くないはずよ。時間稼ぎをしたいけれど、きっとそれまでに着く。
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