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エリザベスの逆襲2

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「このヘアピンと、お返しします。」

月曜日、私はヘアピンをセドリックにかえした。

「……」

何も言わずに受けとるって事は、失礼な行動だとわかったのかしら。

「リズ、これは俺が選んだんだが…」
「え?」
「酷い事をしたと思って。」

セドリックが小さな紙袋を私にくれたけど、封がしてあるから中はわからない。

「これも誰かに言われたからですよね。もう、そういうのは必要ありませんので。」
「俺の意思だ。」
それは余計に困るのよ。
「私は王太子様を信じていないの。上手くいかなかったからといって、ご機嫌とりにわざわざ持って来なくても結構です。」
「……」
「何が入っているかは知りませんが、それは好きな人に渡すのが良いと思います。では、ヘアピンはロビン様に返しておいてください。」

まさか、違うものを買ってくるなんてね。言ってる事も、どこまでが本当の事なのか解りはしないもの。『持っていきなさい』って言われれば、素直にそうするのよ。



その日のお昼、ロビン様が私とセドリックの元へやって来た。予想通りだわ。
今まで学校で3人揃う事はほぼなかったけど、ヘアピンを返せば私達の様子を見に来ると思ったんだよね。弟の事を気にしてね。
それに、朝のお詫びの品も受け取らなかった。それが教室での出来事となれば、完全にフォローしにくるわ。

「やぁ、エリザベス。」
「お久しぶりです。」
「土曜日会ったじゃないか。邸でセスとエリザベスの3人で。」
「ええ、王族に『来い』と言われてお断り出来る立場にはありませんので。」
「命令なんてしてないよ。」
「ロビン様が言えば、何でも命令です。」
「そんな事はないよ。」
「ロビン様。貴方が敵わない人もいます。貴方のお父様よ。」

「まぁ国王だからね。」

「その国王様が、呆れていたでしょう。セドリック様が私をパーティーの相手に選んだ理由を。セドリック様は『真面目に考えろ』と言われています。どんなにロビン様が上手く立ち回っても、本人の行動次第だと思います。そうでなければ私は納得しませんし、お父様にも伝えさせて頂きます。」

悪いけど、ロビン様に敵わないのなら矛先を変えさせてもらうわ。

「ルーシー様とリリー様は、こ自分の友人と付き合っているから、残り物の私にする…と、王太子様に言われた…と。」

「侯爵に言っても、どうにも出来ないよ。現にこうして最終婚約者候補なのも断れていない。」

「ええ、そうかも知れませんわね。私が言いたいのは、そんな理由で婚約者を選ぶで大丈夫なのか…って事です。貴方達の足をすくおうとしてる人は沢山いますから。」

ロビン様はそんな事は解ってる。だからそうならないように、お互いが仲良くなったから…と思わせたかったのよ。
私には友達がいないから、誰かから話がもれる事はないわ。こうして3人で口論にならない限りね。

「セドリック様、言われるがままではなく、貴方が決めてください。友達でもお兄様でも王様でもなく、貴方が。そうでなければ話にならないわ。けれど私を選べば、また誰かに言われたのだと判断させて貰います。」

国王様もロビン様も、これを恐れてるのよ。私を簡単に選べない事をね。
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