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久しぶりに3
しおりを挟むお父様とお母様に会えた事、奇跡みたいな出来事よ。
あの日
もうすぐ死ぬと思った。だから1度でいいから街を見たいと歩いた…。結局辿り着く前に倒れて、皆私を避けて通って行ったわ。
私は暖かい家で1度でいいからアップルパイと言うものを食べてみたかったの。
ただ産まれた場所が違っただけ…。たったそれだけで、その夢を叶える事の出来ない子が山ほどいる中の1人。ゴミのような私。
死んだら幸せになると願ってそのまま眠りについた。次目を覚ましたら暖かいベッドの中で、それが天国なのだと思ったわ。
でも違った。
与えてくれた幸せの分、どんな事があっても2人を護ると決めてるのよ。私のせいで2人が少しでも不幸せになる事は許さない。
中途半端な気持ちで考えるのは止めよう。あの5人が例えどうなろうと、私が護るものは1つよ。
1回目のこのパーティー、気に入っている子を連れて行く…。それって、『この女に決めるつもりです。』って言ってるようなものじゃない。
冗談じゃないわ。
王太子様。偽物の友達ごっこは貴方の為にもならないのよ。早く気がついた方がいいわ。
婚約者を決めるのは遊びではないのよ。
この女性となら国を一緒に背負っていける、そう思える人を3人から選びなさいという事なの。
今のセドリックは操り人形だわ。
私が婚約者になりたくない…と思うように、彼にもそういう思いはあるのかもしれない。けれどそれは贅沢というものよ。
産まれた場所が違うだけで、毎日死にそうになりながら生きる人も沢山いるんだもの。
やりたくないとか、そういう選択が出来る人は幸せだと気が付くべきだわ。
責務から逃げたいのは解るし、やりたい事が出来ないのもわかる。けど王太子は仕事なのよ。
もし私の過去がこんな物でなかったとするなら、選ばれた時は従うわ。それは貴族の女性にとって重大な仕事よ。
けれど私のボロボロに傷がついた肌を見せる事は出来ないわ。
もし王太子妃になってしまえば、着替えもお風呂も1人では出来なくなるもの。そうなれば皆に知られてしまうわ。
子供をつくるのだから、セドリックにも見られる事になるのよ。
お父様とお母様はきっと問い詰められてしまう。
『転んだ』と言う答えで何とかごまかせる傷ではないもの。
そんなのはあっては駄目なの。
だから、全力で拒否するし、私を選びたくない秘策を考えないとね。毒草も…あの程度のお披露目では甘かったのよ。
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