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実験室2

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「服が濡れた!どうしてくれるんだっ!!」
「おい!スタンっ!」
「女相手に何やってるんだっ!」

服が濡れた…ですって?人の気も知らないで…。私がどれだけ苦労して…
腹が立つのはスタンよりもこの男よ。

「大丈夫か?」
セドリックから差し出された手をとる気はない。私は自分で立ち上がった。

「ラッドさん、片付けなくていいわ。危ないから。」
「ですが、硝子の破片も」
「いいの、私は実験用の手袋をしているから…」
「…承知いたしました。」
頭のいい人でよかったわ。危険なものがあると理解してくれたのね。

「…王太子様、ここには何が置いてあるのか、言ってあったはずよ!それなのに簡単に人を連れてくるなんてどういうつもりっ!」

毒草だって知っていたなら、危ないものがあるって事は容易に想像がつくはずだわ。触ったり食べてしまっては何かが起こってしまうから毒草なのよ。『死んだ人がいる』とも言ったわ。なのに、『興味がある』って言われたから連れてきた?冗談じゃないわ…。

「帰って、2度と来ないで…。いえ、私はこの部屋を使うのを止めるわ。こういう事が起こるかも知れない…って、予想しなかった私が愚かなのよ。」

もうすぐ花が咲くはずだったのに、コロリが台無しだわ…。


「2人とも、大丈夫だとは思うけど、これを。異常を感じたらぬって。」

パシッ
「毒が入ってるかもしれないもの、誰がぬれるか。」

思った通りの反応ね。欲しくないならいいわ。無理して渡す気はないもの。

「リリー様、さっきは触れていなかったから大丈夫だと思うけれど、もし手が荒れたらすぐにそれを。綺麗な手が赤くかぶれてしまうから。」
赤くかぶれて1週間戻らなかったのも経験済みよ。
「ありがとう」
「リリー!その女から何も受けとるなっ!」
「っ…はい。」
…何これ、まさかお友達でも身分制度は適用されてるの?そしてそれを王太子も恋人も何も言わない。リリー様は欲しいという顔をしていたわ。

ロビン様、お友達の内部崩壊を本格的に手伝いましょう。私の大切な毒草…それを折った罪は重いのよ。

「スタン、王太子の友人で公爵令嬢とお付き合いしていれば、私にどんな態度をとっても大丈夫だと勘違いしてるわね。」
「……」
がリリー様にあげる物を『貰うな』と言えほどの立場にあるのかしら?貴方は。」
「エリザベス、貴女いい加減にしなさい!」

私が脅しにかかっているのに気が付いたようね。でも止めないわ。
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