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お昼の時間

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私はランチをお庭で食べる事にしている。食堂だと色々面倒くさいんだよね。『王太子様と愉快な仲間達』と一緒に食べさせられ時は地獄だったわ。
『私達は仲が良いのよアピール』よ。これも貴族劇場。上っ面よね。

「エリザベス」

「はい?」

振り返った所にいたのは、警察の取り調べから私を救ってくれた救世主!

「ロビン様!貴方もこの学校の生徒だったんですね。すみません、お礼にも伺わずに…。」
「気にする事ないよ。君はこの学校に最近来たばかりなんだから、俺がいるなんて知らなくて当然だしね。逆に君の事は知らない人はいないけど。」

「…何故ですか?」

「ミリオン侯爵のご令嬢で、婚約者候補、入学して1ヶ月ほどで色々面白い行動もしているし。」

面白い…

「婚約者はエリザベスになる…って皆噂してるよ。」

最悪だわ…。

「ロビン様、婚約者候補って何故選ばれる側にお断りの権利がないんでしょうか…。」
「もといた学校に戻りたい」
「出来るなら今すぐにでも。」

ここにいたら嫌な女になりそうだしね。

「婚約の事だけでなく、あのまわりの4人にイラっとする?」
「えっ!?」
「エリザベス、解りやすすぎるのはよくないよ。すぐ不機嫌になるのもね。相手の懐に忍びこまないと、上手く行く事も失敗してしまうからね。」

ロビン様、それを笑顔でサラリと言えるなんて、なかなか怖い人だわ。

「あの集団はバラけさせた方がいい…。これからの為にならないから。」

これからの為って、もしかして婚約者候補が私1人に絞られてるのがよくない…と思ってくれてるのかしら。出来レース反対派だとしたなら物凄く嬉しいわ。

「…ロビン様もあの人達は胡散臭いと思いますか?」
「ああ、物凄くね。あの友人がいるとセドリックに悪影響なんだよ。」

セドリック…呼びすてにできる存在なのかしら…?

「ロビン様って…」
「俺はセドリックの兄だよ。」
「…っええ!?」
「驚いてくれて嬉しいよ。」
「…申し訳ありません。知らなくて。」
「そんな事は気にしないで。エリザベスが俺と同じ考えでいてくれたのはとても嬉しいよ。俺はね、ちょっとあの集団をつついてみようと思ったんだけど、流石に警戒されててね。」

警戒って…。

「…仲違いでもさせるんですか?」
「本性をさらけ出させようかと思ってね。エリザベスも一緒にどうかな?」
「……」
「楽しいと思うよ?」
物凄く笑顔だわ…。爽やかな笑顔よ。
「……はい。」
「ありがとう。」

既にロビン様は私の懐に忍び込んでいたのね。
断れなかったもの…。
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