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はじまり
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「お久しぶりです。ノルマ男爵。」
「お父様っ!お母様っ!」
「侯爵、お待ちしておりました。どうぞお入りください。」
「ありがとうございます。」
やっぱり、会う約束してくれてたんだ。
「…リディアのお部屋を見せてほしいな。」
「っどうぞどうぞ、リディア、案内しなさい!」
「はい。」
私が返事をする前に、お父様が返事をしてしまった。お父様とお母様はもちろんだけど、邸にいる全員が緊張してる。呑気な男爵家に名のある侯爵様が来たらそうなるよね。
私の部屋は2階、階段を上ってすぐ右。
「どうぞ。」
なんだか少し恥ずかしい。
「リディアの部屋は可愛いね。…ぬいぐるみと一緒に寝てたのかい?」
枕元においてあるぬいぐるみ。昔見た白い鳥みたいだったから、駄々をこねて買ってもらったんだよね。
「これからはいつでも本物に会えるよ。」
あの鳥をものすごく触りたかったんだってばれてしまった…。
「俺は子供の頃に初めてリディアに会って、それからもう1度見に行ったんだよ。その時に一目で恋におちたんだ。」
「どうして見に来たんですか?」
「理由はわからないけどね。そうしようと思った。」
「……」
「ねぇリディア、俺と結婚してくれないか?」
「え?私たちはもう結婚してるんじゃ…」
「まだだよ。」
「…やっぱりみんなで嘘をついてたのね!」
「そんなに怒らないで。みんなリディアが大好きなんだよ。」
クスクス笑ってるし、悪いと思ってないよね。
「ねぇリディア。天使でも魔王でもない、俺と結婚してほしい。」
「はい、こちらこそ。」
「……っ好きだよ。ずっとずっと、何があっても…」
「私もです。」
私達は口づけをした。
身長差を埋めるように、メンフィス様が私を抱えて。
暴走を止めるためじゃないし、ふいをつかれたわけでもなく。
お互い自然に。
これから先、1人さみしい日々をむかえないように、誰よりも私がメンフィス様を幸せにする。
「メンフィス様…」
「ん?何だい?」
「やっぱり何でもない。」
「いきなり隠し事…。」
すぐシュンとするんだから…。
本当の姿を見る。
それは私がメンフィス様を好きになるまでの道のり。好きにならなければ始まらない。
偽物も本物もない、嘘も本当もない、全てがメンフィス様。
今なら何に化けたとしても私は結婚するわ。
口に出しては言わないけどね。
おしまい
「お父様っ!お母様っ!」
「侯爵、お待ちしておりました。どうぞお入りください。」
「ありがとうございます。」
やっぱり、会う約束してくれてたんだ。
「…リディアのお部屋を見せてほしいな。」
「っどうぞどうぞ、リディア、案内しなさい!」
「はい。」
私が返事をする前に、お父様が返事をしてしまった。お父様とお母様はもちろんだけど、邸にいる全員が緊張してる。呑気な男爵家に名のある侯爵様が来たらそうなるよね。
私の部屋は2階、階段を上ってすぐ右。
「どうぞ。」
なんだか少し恥ずかしい。
「リディアの部屋は可愛いね。…ぬいぐるみと一緒に寝てたのかい?」
枕元においてあるぬいぐるみ。昔見た白い鳥みたいだったから、駄々をこねて買ってもらったんだよね。
「これからはいつでも本物に会えるよ。」
あの鳥をものすごく触りたかったんだってばれてしまった…。
「俺は子供の頃に初めてリディアに会って、それからもう1度見に行ったんだよ。その時に一目で恋におちたんだ。」
「どうして見に来たんですか?」
「理由はわからないけどね。そうしようと思った。」
「……」
「ねぇリディア、俺と結婚してくれないか?」
「え?私たちはもう結婚してるんじゃ…」
「まだだよ。」
「…やっぱりみんなで嘘をついてたのね!」
「そんなに怒らないで。みんなリディアが大好きなんだよ。」
クスクス笑ってるし、悪いと思ってないよね。
「ねぇリディア。天使でも魔王でもない、俺と結婚してほしい。」
「はい、こちらこそ。」
「……っ好きだよ。ずっとずっと、何があっても…」
「私もです。」
私達は口づけをした。
身長差を埋めるように、メンフィス様が私を抱えて。
暴走を止めるためじゃないし、ふいをつかれたわけでもなく。
お互い自然に。
これから先、1人さみしい日々をむかえないように、誰よりも私がメンフィス様を幸せにする。
「メンフィス様…」
「ん?何だい?」
「やっぱり何でもない。」
「いきなり隠し事…。」
すぐシュンとするんだから…。
本当の姿を見る。
それは私がメンフィス様を好きになるまでの道のり。好きにならなければ始まらない。
偽物も本物もない、嘘も本当もない、全てがメンフィス様。
今なら何に化けたとしても私は結婚するわ。
口に出しては言わないけどね。
おしまい
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