上 下
37 / 72

ご機嫌

しおりを挟む
「本当に大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫。」
「そうならいいんですが…」

さっきまで涙流してたけど…何でかな。
玉ねぎ切ってた訳でもないし。魔王様が玉ねぎに負けるとは思わないけど。

ご飯が終わって、いつも通りソファーにかけているんだけど…、すぐ隣にメンフィス様がいるんだよね。

「前、あいてますよ。」
「うん。」
「うんって、どうして隣に座るんですか。距離が近すぎます!」
「…でも、肩と肩はくっついてないし。」
「それでも近いの!私は婚約者じゃないので、あまり近くによったりするのはダメです。」
「結婚すれば解決…」
「しません。」
「……」

魔王様、また悄気しょげたわ…。

「ところで、3人はいつ帰ってくるんですか?やんすの街はそんなに遠くないのに。」
「リディアはやんすに乗ってたからそう思うだけだよ。本当はかなり遠いんだよ。普通に馬車に乗れば3日かかる。」

3日…
そういえば、やんすは馬車のかわりのような仕事をしてたよね。やっぱり速いんだ。
…もしかして3日間2人きりじゃないよね。

「メンフィス様、3人はどうやって帰ってきてるんですか?やんすみたいなトカゲ車?に乗ってるんですよね?」

ガチャッバタンッ

「っっただいまもどりましたぁぁーー!!リディアさまぁーーっ!!」

凄い勢いでドアの開閉する音が聞こえたと思ったら、やんすが部屋に入ってきて私を抱えてソファーから離れた。抱えるという表現より『抱っこ』って感じ。
「っやんす、どうしたの?」
「リディアさまを危険人物から守るために、帰って参りましたっ!」

それってメンフィス様の事だよね…。

「危険…って…、やんすが俺に酷い対応をするよ。リディア、何とか言っておくれよ。」

魔王様がやんすに困らされてる方が不思議だよね。

「やんす、あんまり苛めたらダメだよ。」
「いえ!リディアさまを悪の手から守るのが俺の役目。」
「悪の手…って、俺の事?」

魔王様だから、なんとなくあってるような気もするけど、ちょっと可哀想になってきたかも。

「やんす、メンフィス様ともう少し仲良くしよう。」
「とくに悪いわけではないんです。リディアさまに関してだけは、勝手な行動は慎んで貰わないと!」
「そこは相違ないわ。守ってね。」
「はいっ!」
「…ねぇ、俺が婚約者である限り、ずっとリディアを守るために攻撃するのかい?」
「そうです。それに、まだお試しのままです。」
「やんすが俺の恋路の邪魔をする!こうなったら、俺も応戦しよう!」
「応戦って!メンフィス様…っ止めてください!」

そんな事をすれば、やんすが。

「出てこいミドリ!」

メンフィス様が言うと、床が緑に光った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!

雨宮羽那
恋愛
 いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。 ◇◇◇◇  私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。  元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!  気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?  元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!  だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。 ◇◇◇◇ ※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。 ※アルファポリス先行公開。 ※表紙はAIにより作成したものです。

異世界で王城生活~陛下の隣で~

恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。  グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます! ※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。 ※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。

ふたりは片想い 〜騎士団長と司書の恋のゆくえ〜

長岡更紗
恋愛
王立図書館の司書として働いているミシェルが好きになったのは、騎士団長のスタンリー。 幼い頃に助けてもらった時から、スタンリーはミシェルのヒーローだった。 そんなずっと憧れていた人と、18歳で再会し、恋心を募らせながらミシェルはスタンリーと仲良くなっていく。 けれどお互いにお互いの気持ちを勘違いしまくりで……?! 元気いっぱいミシェルと、大人な魅力のスタンリー。そんな二人の恋の行方は。 他サイトにも投稿しています。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈 
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

【完結】転生したぐうたら令嬢は王太子妃になんかになりたくない

金峯蓮華
恋愛
子供の頃から休みなく忙しくしていた貴子は公認会計士として独立するために会社を辞めた日に事故に遭い、死の間際に生まれ変わったらぐうたらしたい!と願った。気がついたら中世ヨーロッパのような世界の子供、ヴィヴィアンヌになっていた。何もしないお姫様のようなぐうたらライフを満喫していたが、突然、王太子に求婚された。王太子妃になんかなったらぐうたらできないじゃない!!ヴィヴィアンヌピンチ! 小説家になろうにも書いてます。

【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます 修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。 その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。 彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。 ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。 一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。 必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。 なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ── そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。 これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。 ※小説家になろうが先行公開です

【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。

つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。 彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。 なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか? それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。 恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。 その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。 更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。 婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。 生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。 婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。 後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。 「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。

探さないでください。旦那様は私がお嫌いでしょう?

雪塚 ゆず
恋愛
結婚してから早一年。 最強の魔術師と呼ばれる旦那様と結婚しましたが、まったく私を愛してくれません。 ある日、女性とのやりとりであろう手紙まで見つけてしまいました。 もう限界です。 探さないでください、と書いて、私は家を飛び出しました。

処理中です...