ごめんなさい。人間に化けてた嘘つき魔王と結婚なんてムリです！

紹介2

邸から一瞬でパーティー会場のすぐそばまで着いた。


会場に入ると私への視線が…。

「メンフィス様って、沢山の女性に言い寄られませんか？」
「そんな事はないよ。」

そんな事はあるんです!!私を見る女性の視線が殺意に満ちてるの。

この人、自分がどれだけ素敵な男性なのか気が付いていないの？容姿も女性への対応も、とてもスマート。

本当は魔王だけど。

「メンフィス様は何故あの日パーティーにいたんですか？そんなに大きなものでもなかったし。」

あの日にいきなり『結婚を前提に…』って言われて、舞い上がって婚約した結果が魔王だったんだけどね。

「私達はどこかであった事があるんですか？」
「っない!!ぜんっぜんない！何の事かな…。」
「…ウソが下手すぎます。一体どこで」
「……リディア、一曲踊らないか？」
「…話をそらしたわね。」
「リディア」
「……」

名前をよんで笑顔で手を差し出されたら、絶対女性は断らないし、勘違いさせるのに…。気が付かないというのも罪だよね。

「…あまり上手に踊れませんよ。」
「俺がリードするから。気にしないで。」

これが人間だったら…って、思わない日はないわ…。
初めて会った時に、こんな素敵な人が私を選んでくれるわけないってもっと考えるべきだったのよ。



パーティーは無事終了
邸に一瞬で帰ってこれるなんて変な感じ。

私は結局いつまでここにいるつもりなの…。このままズルズルとお試しを続けていても、正体不明の魔王と結婚するつもりはないし。

明日、終了を申し出よう。



次の日

「…終了？それは出て行くという事…かな？」

メンフィス様の顔が…真っ青だわ。

「いつまでもここにいる意味はないかな…と。」
「けど性格とか、そういうので気持ちが変わるかもしれないよ。」
「人間だったら考えますけど、そうじゃなければやっぱりどうにもなりません。」
「わかった！ならこうしようっ！領土の外で暮らそう！」
「何が変わるのっ!?」
「住むところを変えれば気分転換にもなるだろうし、お互いの新しい面を見つけられるかもしれない。」

そうだ…

「私の事をすぐに見つけられる魔法…？みたいなのをといてくれるなら、領土の外で一緒に暮らします。」

いつでも逃げられる用意だけはしておかないと。魔王様と寿命が違うんだから、いつまでもお試ししてられないの！


「わかった…。少し疲れたので、寝てくるよ…。」

喜怒哀楽、激しい魔王様だよね。