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男色ではない2

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「ほら、ここで寝てろ。」

王様がシャツのボタンをいくつかはずしながら私に言った。
言われた通りベッドに寝ようと思ったけど、服が汚れているのに気がついた。

このままでは王様のベッドに寝れない!!

「ふぁびあん、そこから動かないでくださいね!絶対ですよ!部屋からいなくなったりしたら絶交ですからっ!」
「は…?」

部屋の中にある小さなドアから隣の自分の部屋へ行って、パジャマに着替えて王様の部屋へ急いで戻ってきた。

「何をやってるんだ…」
「パジャマに着替えてきました。」
「……」
「さて、寝ようかな。」
「それはマアサが用意したものか?」
「え?パジャマですか?違いますよ。これは家から持ってきたのです。」
「…そういうの、つんつるてんって言うんじゃないのか?」
「…まぁ、そうですね。」

何年も着てるからヨレヨレだし…

「明日、用意しておく。」
「これでいいですよ。」
「俺はよくない。裾が短すぎて腹が出すぎだ。」
「……」

つんつるてん…

「人のお腹を見るな!」
「俺が悪いのか…?」
「王様……ふぁびあんは本当に男色じゃないんですか?」

実はまだ怪しんでいる。

「…俺の想い人は女だったと話さなかったか?」
「一途なふぁびあん王様、でしたね。今その女の人が『好き』って言ってきたら、すぐに結婚が決まって万々歳なんですけどね。」
「今更寄ってこられたところで、うざったいだけだ。」
「………」
「何をキョトンとしてるんだ。」
「まだその人が好きだから、結婚してないんじゃないんですか?」

でも、王妃になりたい女ばっかりだったから、私と妥協婚するって言ってたんだっけ。
って事は、よく分からないぞ。

「アリス、今から俺と一緒に寝るんだから、他の女の話をするな。」

別にいいと思うのですが…。

「わかりました。おやすみなさい。」
「はいはい、お休み。」




アリスは3分ほどで寝てしまった。

「寝るの早…。」

前も思ってたが、ゴロゴロとあっちへこっちへ、寝相悪いな…。
…今回は最終的に抱き枕あつかい。

俺を好きになってもらう、物凄く難しいんじゃないか?この状態を恥ずかしいと思わない間は見込みなしだ。


・・・・


それから5日後。今日はマアサ様にお茶にさそわれた。


「アリス、お久しぶりね。」
「3日ほど前に会った気が…しないでもありませんが…。廊下ですれ違いましたよ。」
「そんな事はどうでもいいのよ。」

どうでもいいんだ…。

「それより、アリスはお兄様とベッドを共にしているとか。本当なのかしら。」

何だか語弊がある気がします。

「2度一緒に寝た事があります。」

バンッ

「っぅわ!?」

マアサ様がテーブルをたたいたので驚いてしまった。お姫様なのに…。

「お兄様…私に何の報告もないなんて…。」
「報告?」
「結婚よっ!」
「……は?」

何を言ってるんでしょう、このお姫様!

「ちょっと待ってください!ファビアンのベッドで一緒に寝たのは1回だけで、次の日からはベッドを部屋に置いてもらったので、結婚につながるような出来事なんてないですよ!」
「……呼び捨てにしてるの?」
「え!?あっ!すみませんっ!そう呼べって言われてるので。『王様』って呼ぶと何故か機嫌が悪くなるんです。そうだ!マアサ様からも言ってください。王様を呼び捨てになんてで」
バンッ
「ぅわ!?」
私が話してる途中で、またしてもマアサ様が大きくテーブルを叩いたので、驚いてしまった。

「私でさえ『マアサ様』なのに、お兄様…、なれなれしくアリスにそんな事を…。」

へ?

「アリス、今日から私の事はマアサと呼びなさい。」
「……へ?」
「……」

もしかして、呼ぶの待ってる?

「まあさ……」

さすが兄妹…やることが同じ!

「ぎこちないけれど、今日は1日目だから許すわ。」
「はい。ありがとうございます。」
「ねぇアリス。貴女本当にお兄様を好いてはいないの?」
「…なぜですか?」
「既にアリスがお兄様の恋人である事は周知の事実よ。」
「事実っ!?」
「城ではお兄様の男色疑惑は無くなったわ。アランもアリスだったと、皆に発表しました。」
「…あの、付き合ってないですよ。」

すぐに訂正してくださいっ!

「私が何故こんな事を言ってるのかわかるかしら。」
「解りません。」
「今度会う時までに考えなさい。宿題よ。」

またしても宿題…?
やっぱり兄妹だ…。
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