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涙
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「これは一体どういうことだ!」
王城の地下深くに設置されてる牢に入れられた私。そんな私に面会に来た父は激高して叫びました。
全てを聞いたのでしょう。どういうことだとひたすら叫んでいます。
それはそうでしょう、久しぶりの王家との縁談、父はそれはもう喜んでおりましたもの。
「お父様、お母様は?」
「母様はショックで寝込んでいる」
「そうですか」
両親には申し訳ない事をしました。私はポロポロと涙を流し、父に頭を下げます。
「申し訳ありません、お父様。私は本当に何もしてないのです・・・なのにエドワード様は私の言葉を信じてはくださらず・・・まさか処刑だなんて」
「分かっている、お前がそのような事をしでかすような大それた女ではないことくらい、父である私はよく知っている。エドワード様も付き合いが長いのに、どうしてそんなこともお分かりにならないのか・・・」
良かった、お父様は私を理解してくださってる。でもだからといって事態が好転するわけではありません。
「お父様、私はどうなるのでしょう?」
「しばし耐えてくれ、直ぐに出してやる。なに、お前がやったわけではないという証拠集めくらい、造作もないこと。証拠がなければ処刑どころか幽閉もできまい。あの馬鹿王子はともかく、王は賢い方だからな」
「お願いします、お父様・・・」
こうして私はしばらく牢屋生活を強いられることとなりました。
王城の地下とはいえ、やはり牢屋。綺麗なものではありません。酷いカビ臭さに地を這うネズミや虫、汚らしい寝台。どれもがこれまで経験した事もないようなおぞましい状況で、私は何度泣いた事でしょう。
そうして幾日かを牢で過ごした後、私は無事に解放されました。父が見事にやってくれたのです。出た瞬間はとても安堵しました。これ以上牢で過ごしていたら、私は確実に病気になっていたでしょうから。
解放されてホッとし、直ぐに公爵家へと戻った私はまずは身を清めました。それから胃に優しい食事をとり、肌触りの良い清いベッドで十分に眠りをとりました。
公爵邸に戻って丁度一週間後のことです。王城から呼び出しがありました。
一体なんだろう?不安になりながら、父と共に登城した私。
謁見の間に通された私達に、王がまず謝罪の言葉を述べられました。
「こたびはバカ息子が申し訳ない」
その言葉にまたも安堵しました。ああ、王様も分かって下さった。私は何もしてないと信じてくださったのだわ。
一瞬の安堵。もう何度目でしょう。
そして直後に絶望が襲うのも・・・
「バカ息子にはしっかり説教しておいた。よってこれまで通り、婚約者として宜しく頼む」
「・・・え・・・?」
婚約者として宜しく頼む?
どういうことですか?
まさか、まさかまだ・・・私達・・・?
「良かったなジュリアン」
「お父様・・・?」
「王太子と再び婚約となったぞ」
その瞬間流した涙。
それを嬉し涙と勘違いしたであろう父と王様が、満足げに頷くのがぼやけた視界で見えました。
でも違います、違うのです。
どうしてわかって下さらないのですか?
どうして私を処刑だなんて言った方とまた婚約しなければいけないのですか?
私はただただ絶望の涙を流し続けました。
王城の地下深くに設置されてる牢に入れられた私。そんな私に面会に来た父は激高して叫びました。
全てを聞いたのでしょう。どういうことだとひたすら叫んでいます。
それはそうでしょう、久しぶりの王家との縁談、父はそれはもう喜んでおりましたもの。
「お父様、お母様は?」
「母様はショックで寝込んでいる」
「そうですか」
両親には申し訳ない事をしました。私はポロポロと涙を流し、父に頭を下げます。
「申し訳ありません、お父様。私は本当に何もしてないのです・・・なのにエドワード様は私の言葉を信じてはくださらず・・・まさか処刑だなんて」
「分かっている、お前がそのような事をしでかすような大それた女ではないことくらい、父である私はよく知っている。エドワード様も付き合いが長いのに、どうしてそんなこともお分かりにならないのか・・・」
良かった、お父様は私を理解してくださってる。でもだからといって事態が好転するわけではありません。
「お父様、私はどうなるのでしょう?」
「しばし耐えてくれ、直ぐに出してやる。なに、お前がやったわけではないという証拠集めくらい、造作もないこと。証拠がなければ処刑どころか幽閉もできまい。あの馬鹿王子はともかく、王は賢い方だからな」
「お願いします、お父様・・・」
こうして私はしばらく牢屋生活を強いられることとなりました。
王城の地下とはいえ、やはり牢屋。綺麗なものではありません。酷いカビ臭さに地を這うネズミや虫、汚らしい寝台。どれもがこれまで経験した事もないようなおぞましい状況で、私は何度泣いた事でしょう。
そうして幾日かを牢で過ごした後、私は無事に解放されました。父が見事にやってくれたのです。出た瞬間はとても安堵しました。これ以上牢で過ごしていたら、私は確実に病気になっていたでしょうから。
解放されてホッとし、直ぐに公爵家へと戻った私はまずは身を清めました。それから胃に優しい食事をとり、肌触りの良い清いベッドで十分に眠りをとりました。
公爵邸に戻って丁度一週間後のことです。王城から呼び出しがありました。
一体なんだろう?不安になりながら、父と共に登城した私。
謁見の間に通された私達に、王がまず謝罪の言葉を述べられました。
「こたびはバカ息子が申し訳ない」
その言葉にまたも安堵しました。ああ、王様も分かって下さった。私は何もしてないと信じてくださったのだわ。
一瞬の安堵。もう何度目でしょう。
そして直後に絶望が襲うのも・・・
「バカ息子にはしっかり説教しておいた。よってこれまで通り、婚約者として宜しく頼む」
「・・・え・・・?」
婚約者として宜しく頼む?
どういうことですか?
まさか、まさかまだ・・・私達・・・?
「良かったなジュリアン」
「お父様・・・?」
「王太子と再び婚約となったぞ」
その瞬間流した涙。
それを嬉し涙と勘違いしたであろう父と王様が、満足げに頷くのがぼやけた視界で見えました。
でも違います、違うのです。
どうしてわかって下さらないのですか?
どうして私を処刑だなんて言った方とまた婚約しなければいけないのですか?
私はただただ絶望の涙を流し続けました。
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