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閑話
☆真宮姫愛になる前の話
しおりを挟む私は、過去に1人だけ経験がある。
私の初めては、全てその人だった。
ほとんどが中途やパート、派遣のおばちゃんや大学生である倉庫業にて、私のような高卒で正社員として入社するのはとても珍しい。
それ故私はほとんどの男性従業員に性的な目で見られるいう事態に陥った。
けれどその人は、私とあまり歳が変わらないにも関わらず、そのような目で見ない唯一の人だった。
その目が心地よくて、私はよく彼と一緒にいた。
「お疲れ。送ってくよ」
「あ、ありがとうございます…!」
金曜はこうして誘ってくれ、夕飯を共にした。
話す内容はいつも違うが、趣味が合うので互いに飽きなかった。
多分、私はそんな彼に惹かれていた。
だから、突然キスされても嫌じゃなかった。
「ふ、…んっ」
くちびるを合わせるだけの幼稚なものから、少しずつ深くなり、気付けば唾液を交換するくらい激しいものへと変わっていた。
「はっ、はぁ…っ」
「もっかい…」
「はっ、…んむっ、ふぁ」
全てが初めてで、上手く息が吸えない。
もう無理だと彼の胸元を叩き、そこで漸くくちびるが離された。
月明かりに照らされ、白く艶めかしく光る糸はこの後の行為を連想させ、私の熱は上がるばかりだった。
かたん、と座席を倒される。
大きくて骨ばった手は頬を滑り、再度口付ける。
ちゅ、ちゅ、とわざとやらいし音を立て、私の羞恥を煽る。
「ひゃっ…!?」
そのくちびるは耳へと移動し、生温かいものでなぞられる。
舐められたと理解出来たのは、ぐちゃ、ぴちゃ、と水音が脳にダイレクトに響いてきたのを感じたからだ。
あ、これ、やばい…
お腹の奥がきゅう、と締まる感覚がした。
「くち、抑えないで」
「やっ、あ…!」
無意識に口を塞いでいた手を外される。
くちびるは首から鎖骨へと滑り、その度体はびくびくと反応する。
「は、デカ…」
ぱちんと音が聞こえると、胸を抑えつけていたブラが外れ、開放感を感じた。…最近、ちゃんと測ってないから、サイズ合ってないのかな…?
なんて見当違いなことを考えてたら、手が腰からゆっくり上がり、胸を鷲掴みにした。
「っ、ちょ…!」
「はー、さいこ…」
シャツもブラも押し上げられ、露わになった胸に顔を埋められる。
なんだこれ、恥ずかしすぎる。
横から寄せ上げられ、彼の顔に押し付ける。
自分がやってる訳じゃないのに、その光景がやらしくて、目を逸らした。
「やっ…!」
体が強ばる。
彼の手が、太ももに触れた。
私の息は乱れ、奥歯がガチガチとなる。体の震えが止まらなかった。
「────悪い、」
手が離され、大きく深呼吸を繰り返す。
温かい手が優しく頭を撫でる。
「話、聞いてたのに。ごめん」
彼がうちに配属される前、私は信頼していた先輩にセクハラをされた。
太ももを撫でられる。
人によってはただそれだけと思われるかもしれないが、あの時の恐怖は今でも忘れられない。
あの時、助けてくれた子達が残業してなかったら、私はどうなっていたんだろう。そう考えると、震えが止まらなかった。怖くて、涙が止まらなかった。
「もうそこには触らないから…足開いて」
「あっ…え?」
ちゅ、と目尻にくちびるを落とすと、彼はそう告げた。
意味を理解すると、顔に熱が集中した。
無理、と首を振ると、ちょっと呆れたようにため息を吐かれた。
…あれ。
すると、一気にズボンを脱がされ、足首を持ち、それを顔の前まで持ち上げる。
所謂まんぐり返しの状態になり、パンツが丸見えとなっていた。
「みっ、見ないで…っ!」
「手、退けて」
さっきとは違い、少し乱暴に払うとパンツをずらし、指を添わせそこを凝視した。
視線を感じ、とろりと蜜を零す。
「なんだ、濡れてんじゃん」
そのままぐっ、と中に侵入し、ぐちぐちと中をほじくるようにかき混ぜる。
気持ちよさより違和感が勝ってしまい、ズキズキと傷んだ。
「咥えて」
「むぐ…っ!」
鼻をつままれ口を開くと、そこに既に立ち上がった昂りを突っ込む。
噛むなよ、と言うな否や腰を動かし、出し入れを繰り返す。
鼻でも口でも息が出来ず、なんとか酸素を取り込もうと口を更に開けると、頬を抑え込まれ閉じろと目で命じられる。
喉奥を攻められ、あまりの苦しさに太ももあたりを叩く。
「───は、もうちょい…口まんこきもちぃ…」
離された頃には息も絶え絶えで、私は呼吸するのにいっぱいいっぱいだった。
「ごめんね、濡らさないと痛いから」
指が再度蜜壷を弄る。
くちくちと水音が響き、もしかして、と期待感に溢れていた。
「え、そのまま…?」
「そ。初めてならゴム分大きくするとキツイでしょ?それに濡らしてもらったからね」
ちゅ、と軽くキスをすると、その昂りは私の中に割って入った。
「──────っ!!」
「はは、これが処女まんこ…キツすぎだろ…っ」
あまりの痛さに言葉を失ってると、それを気に掛けずぐいぐいと奥へと進む。
ぼろぼろと溢れる涙を拭うこともされず、奥まで入ると、腰を激しく動かす。
「ごめんな、痛いね。もう少しだから、がまんして」
上気した顔とぽたりと落ちる汗。
全てがいやらしくて、またお腹の奥がきゅう、と締まった。
太ももに吐き出された白濁液は、私の血と混ざってピンク色に染まっていた。
あの日から、私たちは毎週金曜にご飯を食べたらホテルに行ったり、ドライブ途中の駐車場だったり、で体を重ねた。
慣れてきた私の体は初めてより快感を拾うのが上手くなったのか、あの時ほど痛みは感じなくなっていた。
そんなことを繰り返すが、私の中にはひとつの疑問が浮かんだ。
私たちの関係ってなんだろう。
行為中、私は何度か彼に好きだと伝えた。その度ありがとう、と応えた。
どういう意味なのか、経験値がない私にはわからなかった。
「私たちって、付き合ってるんですか。それともセフレなんですか」
もう両手でも数え切れない程の行為を終えた後、私はそう問いた。
「どう、だろうね」
濁した彼は布団にくるまり、そのまま静かな寝息を立てた。
明確な返答が得られないまま、時は過ぎ変わらず行為は繰り返された。
それは何度目だろう。流れるように脱がされ、胸を揉まれ、手マンで掻き回され、イマラでしゃぶらされ、生で挿入される。
いつからだろう。キスをしなくなったのは。
あんだけ気持ちよかった耳責めも、首や背中への愛撫も。業務的になってしまったセックスは。
誘われるままに車に乗り込み、誘われるままにセックスする。
何度しても慣れず、目を閉じていたが、今日は目を頑張って開けて彼の顔を見た。
───────あの、目だ。
先輩や、上司や、取引先の担当───私を見る、やらしい目。
隠してたんだ、ずっと。
私じゃなく、私の体しか見てない目。
体目的だと知られれば、拒絶されると知ってたから。
隠して、隠して、隠し通して。
私の体を堪能してたんだ。
腰を動かしながらも胸も堪能し、私のことより自分の欲を優先させた。
その事に気付いた私は、毎回太ももに吐き出される白濁液に、グロデスクなほど立ち上がったそれに、体を撫でる手や、声にすら吐き気を感じた。
後日、セクハラ事件を初め、数々の視線に耐えられなかったと上司に伝え、その日のうちに引き継ぎしてくれる人以外には伝えずに、私は辞めることにした。
有給までにあった金曜は彼をなんとか避け、逃げるように職場を去った。
今は同じ倉庫業でも、女性が多い職場にいる。
女性向け作品を多く取り扱ってるため、私の大好きなPrave!含め、天国のような職場だった。
セクハラがきっかけで、と話したおかげか同僚はみんな優しく、何があっても絶対1人にしないよう配慮してくれたし、常勤の男性陣もトラウマを引き起こさないようなるべく近付かないようにと気を配ってくれた。
そんな優しさに包まれたおかげで、数年かかったが私は立ち直れた。
けれど、恋とかの感情はわからないし、太ももだけは克服出来なかった。
気付けば28歳。
立派なアラサー喪女になってました。
何故神様は原作でなく激裏夢小説に飛ばしたんだろう。
これまでも数度触られ、その度に拒絶をした人たちを思い出し、吐き出す。
いつか、触られても大丈夫。そう思えるような人と出会えるのだろうか。
再度、今日も触られた太ももを撫でた。
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