結婚相談所♡Honey Marriage

Sio*

文字の大きさ
上 下
11 / 18
STEP1 ハジメマシテ

side D

しおりを挟む


「いっしょに、やきゅー、やろ!」


「やきゅー?」


「うん!これ、かしたげる!ボールなげるから、とってね!」


「えっ、わぁ!?」














バタン!と思いの外勢いよく閉まったドアに内心驚く。
どれだけ周りが見えなかったことか……。
でも、仕方ないこと。


懐に忍ばせていた宝物を手に取る。


「はーちゃん……っ」






幼い頃から口下手で、みんなの輪に入れなくてぽつんと一人でいた。
そこに、『はーちゃん』が野球をやろうと誘ってくれたのが始まりだった。
人数不足を解決する為だけかもしれないが、それをきっかけにたくさんの友だちが出来た。

もちろん、その中でも『はーちゃん』が1番で、互いの家に行き来していた。


「はーちゃんは、よこはまがすきなの?」


「うん!よわいけどね、すきなせんしゅ、いっぱいなの!かっこいいの!」


「そ、そっか……」


「とくにね!いっぱいはやいせんしゅと、いっぱいうつせんしゅ!」


テレビでは、瞬足で知られる選手がすぐさま盗塁を決め、小技の上手い選手が送り、安打製造機とも呼ばれる選手がヒットを放ち鮮やかに一点を取った。
それをキラキラと輝く目で見ていた『はーちゃん』に、『俺にもその視線を向けて欲しい』と、子供ながらに思った。


元々左利きだった俺は、投手を除けば外野手になるしかない。
その日から『いっぱいはやくていっぱいうつ、よこはまのせんしゅ』を目指した。
「いつか、にほんいちになるもん!」と、弱いとバカにされた時、泣きじゃくっていた姿を見て、俺が日本一にすると誓った。

両親の都合で引っ越してからも、その想いと、たった1枚の写真だけを胸に、今日まで頑張ってきた。



彼女に会うため、ずっとずっと頑張ってきた。
けれど、『はーちゃん』としか知らなかった俺は、探すことも出来なくていつか見つけてくれると信じて横浜ここに居続ける。

先輩に誘われる呑み会と称した合コンも、はーちゃんが参加するかもしれないという有り得ないとは思いつつも僅かな可能性に掛けたくて参加していた。
……結果はハズレどころが最悪だが。
はーちゃんには会えないし、女共はウザったいし、俺自身も三十路。
いつまでも初恋を引きずる訳にはいかないと相談所に登録したはいいものの、どこかはーちゃんの面影を探してしまって、上手く行かなかった。

そこで紹介されたのが『ハルカ』さん。
直感で、はーちゃんではないかと思った。

横浜が好きで、俺みたいな選手が好きで。


実際、目が合った時、顔を真っ赤にして興奮した状態で話しかけてくれたのを見て、ほぼ確信した。
俺単体で撮ろうとしてるのを見て、体が思わず彼女を引き寄せた。20年振りのツーショットに内心バクバクだったが、真っ赤になっていた彼女を見て、全てが吹っ飛んだ。
……ファンモードが終わった時の冷静な態度には少し、いや、かなり傷付いたけど……。

地元や幼い頃の話をすればするほど、はーちゃんだと確信する。
はーちゃん、それは俺だよ。なんて言ったら、どんな顔をするのか。

────あれ、はーちゃん、俺の事なんて呼んでた?

名前を呼ばれた記憶がなくて、一生懸命手繰るも浮かばない。てか、名乗った記憶もない。
『はーちゃん』だって、はーちゃんのお母さんがそう呼んでるのを真似しただけで、俺だってちゃんとした名前を知らない。
その事実に打ち震えていると、追撃するような「悠真がすき」の言葉。
選手として、人間としてとは言っていたが、余りのショックに後半の記憶がほとんど無かった。


だから、次も会えるとの確約があったのは、びっくりしたが、嬉しかった。









「っ、はぁ……、」


想像より、随分大人っぽくなっていた。
でも、子供っぽくはしゃいだところも、好物に目を輝かすところも、好きなことになると早口になるところも変わってない。
だいすきな、はーちゃんのままだ。

脳裏に鮮明に思い出す。
それだけで息は荒く、血は駆け巡る。
寒いはずなのに、体が熱い。汗が滲んでいる気がした。


「っ、はー……ちゃん……っ」


真新しいビニール袋に入れた写真を服の上からイキり勃ったそれに押し付け、ゆっくり擦る。
最初は加減がわからなくて折れたり、汚したりしてしまったが、今はそんな事しない。
ゆるい刺激だが、はーちゃんの写真と言うだけで、遥かに気持ちいい。
しかも今回はそこに、今のはーちゃんが加わる。

腰を、引き寄せた。
柔らかくて、気持ちよくて、離したくなかった。
少し撫でた時、ぴくりと反応したのがとても可愛くて、そこにぶっ掛けたくてたまらなかった。
マスクしててもわかるくらい真っ赤で、目が潤んでた。
弱い所を攻めたら、あんな顔して鳴くのだろうか。
マスクを外したら、ぽってりとした赤いくちびる。
あのくちびるに吸い付いたら、どれだけ気持ちいいのだろうか。舐められたら、咥えられたら。


「っ、くぁ……!」


どくどくと写真に掛ける。
ぼたぼたと滴り落ちる精液の量は、尋常じゃないとわかるのに、それでもまだ出したいと主張していた。


白く濁ってしまった写真は1度隅において、今日の写真を表示する。
はーちゃんから、記念にと強請って貰った1枚。唯一マスクを取った写真。
顔をアップにして、口元を映す。そこに、鈴口を当て────


「ダイスケさん……っ、」


どぷっ、とスマホに掛かった。
先程と余り変わらない量に驚く。
はーちゃんに、舐められる妄想をほんの少ししただけで、これとは……。
内心呆れると同時に、彼女への想いが募る。
そして俺は、もう数えるのも億劫なくらいその写真で抜いた。






「そうだ、悠真──……」


抜きすぎて力が入らない体を無理やり起こし、メッセージを打ち込む。


『次会ったら覚悟しとけ』


『なんでですか!?!?』


八つ当たりなのはわかってる。
でも、一発入れないと気が済まなかった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

10のベッドシーン【R18】

日下奈緒
恋愛
男女の数だけベッドシーンがある。 この短編集は、ベッドシーンだけ切り取ったラブストーリーです。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

甘々に

緋燭
恋愛
初めてなので優しく、時に意地悪されながらゆっくり愛されます。 ハードでアブノーマルだと思います、。 子宮貫通等、リアルでは有り得ない部分も含まれているので、閲覧される場合は自己責任でお願いします。 苦手な方はブラウザバックを。 初投稿です。 小説自体初めて書きましたので、見づらい部分があるかと思いますが、温かい目で見てくださると嬉しいです。 また書きたい話があれば書こうと思いますが、とりあえずはこの作品を一旦完結にしようと思います。 ご覧頂きありがとうございます。

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。 性描写激しめですが、甘々の溺愛です。 ※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...