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STEP1 ハジメマシテ
side D
しおりを挟む「いっしょに、やきゅー、やろ!」
「やきゅー?」
「うん!これ、かしたげる!ボールなげるから、とってね!」
「えっ、わぁ!?」
バタン!と思いの外勢いよく閉まったドアに内心驚く。
どれだけ周りが見えなかったことか……。
でも、仕方ないこと。
懐に忍ばせていた宝物を手に取る。
「はーちゃん……っ」
幼い頃から口下手で、みんなの輪に入れなくてぽつんと一人でいた。
そこに、『はーちゃん』が野球をやろうと誘ってくれたのが始まりだった。
人数不足を解決する為だけかもしれないが、それをきっかけにたくさんの友だちが出来た。
もちろん、その中でも『はーちゃん』が1番で、互いの家に行き来していた。
「はーちゃんは、よこはまがすきなの?」
「うん!よわいけどね、すきなせんしゅ、いっぱいなの!かっこいいの!」
「そ、そっか……」
「とくにね!いっぱいはやいせんしゅと、いっぱいうつせんしゅ!」
テレビでは、瞬足で知られる選手がすぐさま盗塁を決め、小技の上手い選手が送り、安打製造機とも呼ばれる選手がヒットを放ち鮮やかに一点を取った。
それをキラキラと輝く目で見ていた『はーちゃん』に、『俺にもその視線を向けて欲しい』と、子供ながらに思った。
元々左利きだった俺は、投手を除けば外野手になるしかない。
その日から『いっぱいはやくていっぱいうつ、よこはまのせんしゅ』を目指した。
「いつか、にほんいちになるもん!」と、弱いとバカにされた時、泣きじゃくっていた姿を見て、俺が日本一にすると誓った。
両親の都合で引っ越してからも、その想いと、たった1枚の写真だけを胸に、今日まで頑張ってきた。
彼女に会うため、ずっとずっと頑張ってきた。
けれど、『はーちゃん』としか知らなかった俺は、探すことも出来なくていつか見つけてくれると信じて横浜に居続ける。
先輩に誘われる呑み会と称した合コンも、はーちゃんが参加するかもしれないという有り得ないとは思いつつも僅かな可能性に掛けたくて参加していた。
……結果はハズレどころが最悪だが。
はーちゃんには会えないし、女共はウザったいし、俺自身も三十路。
いつまでも初恋を引きずる訳にはいかないと相談所に登録したはいいものの、どこかはーちゃんの面影を探してしまって、上手く行かなかった。
そこで紹介されたのが『ハルカ』さん。
直感で、はーちゃんではないかと思った。
横浜が好きで、俺みたいな選手が好きで。
実際、目が合った時、顔を真っ赤にして興奮した状態で話しかけてくれたのを見て、ほぼ確信した。
俺単体で撮ろうとしてるのを見て、体が思わず彼女を引き寄せた。20年振りのツーショットに内心バクバクだったが、真っ赤になっていた彼女を見て、全てが吹っ飛んだ。
……ファンモードが終わった時の冷静な態度には少し、いや、かなり傷付いたけど……。
地元や幼い頃の話をすればするほど、はーちゃんだと確信する。
はーちゃん、それは俺だよ。なんて言ったら、どんな顔をするのか。
────あれ、はーちゃん、俺の事なんて呼んでた?
名前を呼ばれた記憶がなくて、一生懸命手繰るも浮かばない。てか、名乗った記憶もない。
『はーちゃん』だって、はーちゃんのお母さんがそう呼んでるのを真似しただけで、俺だってちゃんとした名前を知らない。
その事実に打ち震えていると、追撃するような「悠真がすき」の言葉。
選手として、人間としてとは言っていたが、余りのショックに後半の記憶がほとんど無かった。
だから、次も会えるとの確約があったのは、びっくりしたが、嬉しかった。
「っ、はぁ……、」
想像より、随分大人っぽくなっていた。
でも、子供っぽくはしゃいだところも、好物に目を輝かすところも、好きなことになると早口になるところも変わってない。
だいすきな、はーちゃんのままだ。
脳裏に鮮明に思い出す。
それだけで息は荒く、血は駆け巡る。
寒いはずなのに、体が熱い。汗が滲んでいる気がした。
「っ、はー……ちゃん……っ」
真新しいビニール袋に入れた写真を服の上からイキり勃ったそれに押し付け、ゆっくり擦る。
最初は加減がわからなくて折れたり、汚したりしてしまったが、今はそんな事しない。
ゆるい刺激だが、はーちゃんの写真と言うだけで、遥かに気持ちいい。
しかも今回はそこに、今のはーちゃんが加わる。
腰を、引き寄せた。
柔らかくて、気持ちよくて、離したくなかった。
少し撫でた時、ぴくりと反応したのがとても可愛くて、そこにぶっ掛けたくてたまらなかった。
マスクしててもわかるくらい真っ赤で、目が潤んでた。
弱い所を攻めたら、あんな顔して鳴くのだろうか。
マスクを外したら、ぽってりとした赤いくちびる。
あのくちびるに吸い付いたら、どれだけ気持ちいいのだろうか。舐められたら、咥えられたら。
「っ、くぁ……!」
どくどくと写真に掛ける。
ぼたぼたと滴り落ちる精液の量は、尋常じゃないとわかるのに、それでもまだ出したいと主張していた。
白く濁ってしまった写真は1度隅において、今日の写真を表示する。
はーちゃんから、記念にと強請って貰った1枚。唯一マスクを取った写真。
顔をアップにして、口元を映す。そこに、鈴口を当て────
「ダイスケさん……っ、」
どぷっ、とスマホに掛かった。
先程と余り変わらない量に驚く。
はーちゃんに、舐められる妄想をほんの少ししただけで、これとは……。
内心呆れると同時に、彼女への想いが募る。
そして俺は、もう数えるのも億劫なくらいその写真で抜いた。
「そうだ、悠真──……」
抜きすぎて力が入らない体を無理やり起こし、メッセージを打ち込む。
『次会ったら覚悟しとけ』
『なんでですか!?!?』
八つ当たりなのはわかってる。
でも、一発入れないと気が済まなかった。
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