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第0話 プロローグ……みたいなキャラ紹介

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俺の名前が青葉 雄一郎。 どこにでもいる極々平凡な男子高校生だ。平穏な暮らしを夢見て生活している。平凡な男子高校生の俺の生活なんて平穏その物じゃないのか? そう思う者は多いだろう。だが必ずしもそうとは限らないのだ。関わる人間……つまり環境次第でいとも容易く「平穏それは」は崩壊していく。




「雄ちゃん」




放課後、鞄に教科書をしまい帰り支度をしている俺に声を掛けてきたのは如月きさらぎ あかり長い後ろ髪をポニーテールに束ねた彼女は俺の小学生時代からの幼馴染だ。明るい性格で社交的な如月はスポーツも万能で男女問わず無意識に虜にしてしまうイケメン系女子だ。




「灯…じゃなくて如月……」




「今日部活休みだから、一緒に帰ろうと思って迎えに来たよ」




屈託のない笑顔でニコリとする。




「………」




つい、その場で固まってしまう俺。言っておくがドキドキしている訳でも興奮している訳でもない。俺はただ呆れているのだ。




周りのクラスメイトは俺と灯を見てひそひそと何かを話している。




無理もないか、地味で平凡な俺を学年でもトップを争う美女が迎えに来たのだから。

大事になる前に俺は急いで全ての教科書を鞄にしまい如月と共に教室を後にした。




俺は廊下を如月と歩く。ただ距離はそこそこ開く、これが俺の鉄則だ。そうしないと地味な俺がなんで如月と一緒に歩いてるんだよと痛い視線を向けらるのだ。俺は目立ちたくない。




そして俺は周りに聞こえないようにポツリと呟く。




「教室には来るなって言ったじゃん」




「そうしないと先に帰っちゃうじゃん。雄ちゃんは私の幼馴染なのに」




如月が俯いて悲しそうな顔をする。幼馴染なんて別に特別な関係でもないだろうに。




「ヘイヘイ、そこのお二方」




突然と後方から声が掛かる。俺達の事だろうか? そうだろうな、この声には聞き覚えがありすぎる。

俺と如月が振り返るとそこには、似合いもしないサングラスを掛けた愛野瀬あいのせ 里香りかが立っていた。普段から寡黙な雰囲気が漂わているが、実は全くそんなことはなく男女関係なく結構なうざ絡みをしてくるとことで有名な不思議系女子だ。幼馴染の一人である。




そして今日も何故かノリノリである。







「愛野瀬、何してるんだ?」




「ヘイ!」




意味もなくハイタッチを求めて来る。




「いや、ヘイじゃねぇよ」




「里香ちゃん、どうしたの?」




美人というのは、それだけで周りの注目を集める。そんな美人が酔狂なことを始めれば、それはもうが暴風雨の如く視線が降り注いでくる。




「雄一郎と一緒に帰る」




そこはせめて二人と一緒にと言ってくれ、周囲に変な誤解を招いてしまう。




「とりあえず、そのサングラスは外せよ……」




「ん」




愛野瀬は愛用しているサングラスを外し鞄にしまう。遮る物がなくなった瞳は大きくキラキラと輝いている。




「早く行くぞ」




目立ちたくない俺は急いで2人を連れてその場を後にした。




靴箱前、見覚えのあり過ぎる整った顔立ちの女子が壁にもたれてスマホをいじっている。そして俺の視線を感じたのか? こっちに気付いた。




「雄君だぁ~」




柔らかな笑みを零しながら、近付いてくる彼女は羽生はにゅう もえ ふわっとパーマのかかったショートヘアーに垂れ目が特徴的な羽生は甘い言葉と思わせ振りな態度で異性を翻弄する小悪魔系女子だ。




「げっ」




「何その反応ひどいよぉ~」




羽生は慣れた手付きで俺の腕を抱いて、上目遣いで慎ましやかな胸を当てて来る、あざとい幼馴染だ。その笑みにはいつも何かしらの悪意うらが潜んでいる。




「おい、離せ! こんなところで腕を組むなよ」




「ここじゃなかったらいいのぉ~? じゃあこの後、家にくる?」




悪戯な笑みで挑発してくる。羽生はいつも何を考えているのかわからない。




「だめ」




愛野瀬はそう呟いて、俺の空いた腕に自分の細い腕を絡めて来た。それを見た如月は凄く慌てているように見える。慌てたいのはこっちなんだが、俺は自分でも驚くほど冷静で落ち着いている。




普通はこんな美少女に腕なんか組まれたら、ほとんどの男はこいつ俺の事好きなんじゃね?と勘違いしてして心臓バクバクだろうが慣れとは怖い。10年という長い月日が俺からドキドキやトキメキというものを奪ってしまったようだ。




「ちょっとあんまりくっついたら、雄ちゃんに迷惑だからさ。離れよ二人共 ね?」




「灯ちゃんも、ほらここ空いてるよ」




「え?」




いやどこも空いてないから、俺の制服ちらちら捲るなよ。それで如月はなんで頬を染めているんだ?。俺の腹なんて小さい時に見飽きてるだろ。一緒に風呂も入ってたんだから。




「離せよ、暑苦しいから」




目立ちたくない俺は強引に腕をほどき靴を履き替えた。3人は何か言い合いをしている。丁度いいので俺は外で待ってるからと言ってその場を後にした。




そして正門前、いつにも増して人だかりが出来ているような気がする。人混みを避けながら正門をくぐった先には桃色ツインテールと氷の女王が立往生しているのが視界に映った。二人はこっちに気付く。




「あっ! 雄!」




桃色ツインテールは一瞬嬉しそうに顔を綻ばせたが、直ぐにいつもの辺りの強い表情に戻る。




「お前等……何してる?」




「あら、奇遇ね」




この人だかりはお前等が原因じゃないのか?と言いたかった。




「ほ、ほほ……ほんとうね! 私達も今から帰るとこだったのよ! 別に雄を待っていた訳じゃないんだからね!」




この典型的なツンデレは桃野ももの 明日香あすか 俺の幼馴染の一人で感情豊かにきつい口調で異性に罵声を浴びせてくる。異性にはきついが同性には優しく他校にも友人が多く交友は広い。いうまでもなくツンデレ系女子。 




桃野の横に立つ、腰まで伸びたストレートな黒髪と目付きが鋭い彼女は 相須あいず 鏡花きょうか 桃野とは違い感情を余り表には出さずに冷ややかな視線と温度を感じない口調で気に入らない相手(主に異性)には流れるように延々と罵声を浴びせる冷酷無比な幼馴染。他を寄せ付けない徹底ぶりからついたあだ名が氷の女王。本当は友達が欲しい内心デレ系女子。




「そうか、奇遇か」




「えぇ」




「そうだって、言ってるでしょ!」




白々しくもあくまで偶然を装うとする二人




「じゃあ、気を付けて帰れよ」




「「え?」」




愕然とした二人の拍子抜けした声が重なる。俺は隙を見てすかさず全力疾走した。後方からは桃野と相須が俺を引き留めようとしているのか? 何か叫んでいるがお構いなしに走り去り俺は帰路についた。 







目立ちたくない俺にとって5人の幼馴染の存在は関わるだけで周囲の注目を集めて嫌でも悪目立ちしてしまう。だから目立ちたくない俺は5人の幼馴染と出来るだけ距離を置いて、平穏な日常を取り戻すために奮闘すると決めている。







そんな俺の唯一の救いは幼馴染全員が誰一人として俺に恋心を抱いていない事だろう。

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