変愛

絢麗夢華。

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2/嬭処夛-思はれ続ける愛の方向-

嬭処夛:3

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そして、慎さんと梨佳さんの間に子供が産まれた。
男の子だった。
名前は、翔太。。
私はこの子を溺愛すると決めた。
梨佳さんの復帰迄にこの子のお世話はできる様になる。
私の決めた10歳の決意だった。
梨佳さんは1年の後、復帰した。
その間私は梨佳さんから育児の全てを教わった。
翔太は私にとって年の離れた弟だった。
いや、年の近い息子だったかもしれない。

それからも私は梨佳さんの家に帰る。
大体は梨佳さんが帰って来て、夕食を作ってくれ、私が翔太と一緒に寝て、朝保育園に翔太を預け、会社と学校へ。
帰りに梨佳さんが翔太を迎えに行き、梨佳さんと夕食を食べる。
そのくりかえし。
夕方1度帰ってくる梨佳さんが夕食を食べてまた職場に戻る程忙しい時は私が翔太の面倒を見ていた。
月に1回あればいい両親が休日な土日には翔太を連れて、我が家へ帰る。
そして両親が休んでいる間、私が翔太と遊ぶ。
両親より私の方が翔太と居る時間が長い為、翔太は私に懐いており、私にとっても翔太との時間は苦ではなかった。
むしろ翔太の居ない学校での時間にふと違和感を感じてしまう程に。
中学に上がり、翔太が幼稚園へ通う頃には、私も保護者扱いされ、しょっちゅう私が迎えに行っていた。
半ば私が育てたも同然の翔太は、私に懐いていた。
どのくらいかと言うと、翔太が最初に喋った言葉は「ねぇ」だった。
ねぇと呼びかける声だったのかも知れない。
私が知る限り、梨佳さんはまず「ねぇ、翔太。」と話しかける様に声をかけるから。
でも、半年経って、そうじゃないのかもと感じた。
「ねぇねぇ」「未紗ねぇねぇ」「未紗ねぇ」「未紗ちゃん」と言葉を覚え始めた。
確かに私は翔太に話しかける時、「ねぇねぇ」「未紗ねぇ」「未紗ちゃん」と言う一人称を使っていたのだ。
その頃になると翔太も、「ママ」「パパ」と梨佳さんと慎さんの事も呼ぶようになっていたが、それでも2人はショックだったそうだ。
当然。私が同じ立場でもショックだ。
気付いたら私は生活の殆どを翔太と一緒に過ごしていた。
幼稚園で1番好きな人は誰?と言うお題をだされた時、「パパ~」、「」~ママ~」、「ばぁば」とかの中で1人だけ「未紗ねぇ」と答えたと先生から帰りに聞いた時にはかなり嬉しかったが、申し訳ない気分になってしまった。
「あのね、翔太。そういう時には翔太は未紗ねぇじゃなくて、慎さんとか梨佳さんの名前を言わなきゃ駄目なんだよ。」

「なんでぇ?翔太は未紗ねぇが1番好きなのに?」
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