変愛

絢麗夢華。

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1.0/露璃恨・過去

露璃恨・過去:5

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濡れたというのに何故かそこに立ち尽くすクラスメイトの女子。自分が当たったと言う俺に対する弁護もしてくれず、友人の理不尽な言い掛かりも否定しない。
そしてそのうち、掃除を終えて帰ってきたクラスの男子生徒が俺を、正確には俺と、クラスメイトの彼女と、その友人達を発見する。

固まっている俺に、動かないクラスメイトの女子、捲し立てる友人達。
勘違いをされるのも仕方が無い。状況から見れば水を俺がかけて謝らずに、加害者である俺に、被害者の友人達から「謝れ」と、謝罪を催促されている状況なのである。

そして話は大きく尾びれをつけて大きくなる。
人が集まる頃には、「好意と性欲を勘違いした奴。」「いくらなんでもそれは……。」「謝れ屑。」と、いつの間にか俺は彼女に恋愛感情を抱いていたし、俺は彼女を濡らして透けた下着を見たかったことになっていた。

そもそも無実の事故だというのに、たまたま本当に彼女の下着が透けて顕になっていた事もあいまって、俺は変態な糞野郎と言う評価を下された。
罵倒される俺に、理不尽に矛先が向けられる。俺が何をした?たまたまクラスメイトの女子に水をかけただけじゃないか。それにあっちがぶつかってきんだと叫びたかったが、そんな事は無理だった。
俺は、持ちもしない信頼を失った。なんとか0だったのが、マイナスになった 。教師は誰も俺に手を差し伸べようとはしなかった。何も聞かずに、その場に駆けつけた教師は、俺を殴った。体罰が容認される事が許されない今と違って、当時は別にそんなに問題視される時代では無かった。俺は理不尽の理由で、居場所も、信頼も、元々なかったものが負の値へと全てが変わる。
俺にしてみれば、本当に理解出来ない状況だった。許せないと心の底から怒りが湧いた。それで周囲に当たり散らしても何の意味もなかった。こいつらに関わってこれ以上損するのが馬鹿馬鹿しいと言う自制心が作用した。それで良かったのだ。ここでキレ散らかしても、見苦しい。それで良かったはずなのだ。

その日から俺へ口撃は、攻撃へと変わった。朝、学校へ向かうと、机に文字が彫られていた。「死ね。」「ごみ。」「きもい。」「屑。」「変態」「糞野郎」と、机には罵詈雑言が日に日に増えていく。教師の間でも暗黙の了解であるように、何事もなかった様にスルーされる。机が窓から降ってくると言う様な事件は起こらなかったけれど、椅子の脚に加工がされており、座ると折れる様になっていた。先に荷物を置いた為、大丈夫だったけれど。
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