変愛

絢麗夢華。

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1.0/露璃恨・過去

露璃恨・過去:3

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俺が取った方法と言うのは、まぁその、心を完全に閉ざすと言う方法だった。
何も信じず、何も気に停めず、ただそこにいるだけの存在。
内側では恨みを溜め込み、外側はそれまで通りに、何もしない。
何を言われても、気にしない。
それが俺の処世術。唯一の交わし方だった。

内心の恨みと言うのは、自分を保つためにはとても良い毒だった。
毒を以て毒を制す。と言う言葉があるが、これは本当だなと感じた。
心に響く歌は、励ましの歌や、人生の応援歌等の明るい無かった。
諦めや歯向かいを歌った、ダークな歌だった。

こいつら如きを気にして不登校になったら勿体無い。
自分以下の屑共を相手するのが面倒臭い。
と、奴らが俺の事をどう思おうが勝手だし、俺が奴らの事をどう思うかも俺の勝手だ。
奴らは俺への心情を言葉にして俺に浴びせ、俺は勝手に思っていただけだった。
教師に見つかれば困るのは奴らだ。
そんな意地で、乗り切った。耐え抜いた。
考えてもどうにもならなければ考える事を辞めればいい。
その場を逃げ出してもいいけれど、心だけ逃がすと言う手もある。
そんな知識を俺は経験から知った。
俺は、当時の同級生が好きでは無い。
俺自体が的となった過去もあるけど、それから起きた事件が加速させた。

そんな感じで、何とかやっていけてはいたものの、全くダメージが無いわけでもなく、すっかり憔悴していた俺は、ある日何となく、帰り際に近所の公園へと足を運んでみた。なんてことは無い、普通の日だった。なんてこと無いと言う事は、なんてことある日、日常として諦め始めたその頃だった。
ベンチに座り、本を読む。お気に入りの小説だった。皮肉交じりの地の文が
気に入って読み返すのはこの時何度目だっただろうか。日陰でひんやりした風が気持ちいいと、本を読んでいた事に感化されたのか、そういう描写を勝手に思い浮かべていた時、足元にボールが転がってきた。

「お兄ちゃん、ボール取ってぇ~!」

小学生の男の子が声を掛けてくる。
まずごめんくらい言えよと、大人気ないことを思ったが、自分を思い返し、そんな事を当時の俺は出来ていたかと考え直し、そっちの方が小学生っぽくて可愛いかとボールを蹴って返してやろうとベンチから立たなければ届かない微妙な位置まで移動する。

足元のボールを、小学生の近くまで飛ぶようにと演算と言うほど大した事じゃないけれど、まぁまぁ色々考えて、そして狙いを定めて大きく足を振る。

足首を伸ばして、右足を軸に、左足を振り下ろす。

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