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岩屋編 被食ディペンデンス
死姦ご奉仕
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『そこの出口を固めろ!カマキリどもを一匹たりとも逃がすな!』
喧噪の中、ゴブリン語とは異なる響きの言葉が聞こえてくる。
意識のピントが再び合った私は上に被さったゴブリンの身体をどかそうと試みた。
途端に衝撃を受けぐえっとカエルみたいな声を出してしまう。
上のゴブリンを誰かが踏み越えていったのだ。
横目で見ると私の周りは逃げ惑って混乱するゴブリンの脚であふれていた。
どさっと近くで倒れ伏すゴブリンの上半身に矢の様なものが突き刺さっていた。
「ひえぇぇぃぃぃ…」
私は恐怖に駆られ悲鳴にもならない悲鳴を上げる…し、死体!
倒れたゴブリンの虚ろな瞳が目に入って急速に呼吸が苦しくなってゆく。
私の防壁になっている上のゴブリンの身体にも同じものが付いていると思うと私は震え上がった。
早くそれから逃れようと反射的に身を捩るけど今までしゃぶっていた一物と対面する結果になってしまう。
少しの間でも死体の一部を舐めていた事に気付き吐き気に襲われる。
…そ、それは絶対に我慢!
私は身を固くして衝動に耐える。
えずきが治まると状況に対する恐怖感が爆発的に広がってゆく。
怖くて襲撃者の方は見れないけど彼らが私の味方になるとはとても思えなかった。
最初の矢の襲撃の時私が避けられたのは偶々直前に四つん這いになったからだ。
でなければ私も矢の雨に晒されていた…不死の設定が生きたのだろうか?
こんな時だけ都合が良いけど私は不死の設定…不死の設定…と呪文のように繰り返した。
もっともあの女の言い方だと矢が命中して重傷を負うのまでは防げないらしいけど…ダメだ、否定的な事を考えては…
それでもしばらくすると状況に対する疑問を考えられる程度には感情を抑えられるようになった。
そうだ!儀式!…王様と神官様は?
怒号と剣戟の音が響いているのは私が入ってきた出入り口の方だ。
矢の飛来音はもうそれほど頻繁では無かった。
そして檀上の方を見るとまず王様は玉座を降りて護衛の兵士が掲げる大盾に守られていた。
そして神官様は段下に降りて集結してきたゴブリン達に杖を振るって魔法を掛けていた。
奥まで届く矢はほとんど神官様に向かって飛んで行ったけど、周囲に煙のようなものが立ち込めていてそれに矢が触れると急に勢いを失って下に落ちていた。
まずは二人とも無事でよかった。
…でも儀式はどうなるんだろ?
私は事態のもう一方の焦点を確認する為顫える唇を噛み締めて反対側を見ようとした。
しかしそちらはゴブリンの太ももで隠れてよく見えなかった。
私はゴブリンの身体を押し退けて身を起こそうとする。
その時先ほど聞こえた声が『フォモード、潰せ!』と辺りに響き渡る大声で叫ぶのが聞こえた。
身を起こし、ようやく視界を確保した私はそれを見て呼吸が停止して戻らなくなった。
襲撃者は半ば予想していた通り最初に森で見掛けた奴と同じ種族だった。
…あのオークは此処を探していたんだ。
復讐戦と言う神官様と代表者達の会話に出て来た単語を思い出す。
そして私の一瞥と共にその戦いは一気にオーク側のものとなりつつあった。
堤防を決壊させた洪水が街を襲う様にゴブリン達の三倍の高さの巨漢の豚頭のモンスターを先頭に槍衾を突破したオーク達はゴブリンの四肢を切り株の様に切り飛ばしていた。
巨漢オークが動物染みた咆哮を上げると反撃をしょうとしたゴブリン達の脚が凍り付き、そのままそいつが持っていた偃月刀でなで斬りにされる。
他を守っていたゴブリンが押し戻そうと寄り集まり槍を振り回し突撃していった。
でも、それは後ろから踊り出た豚と言うより鬼と言った方がいい風貌の化け物が物干し竿みたいな鉄の槍を振り回すと先頭の三分の一くらいが文字通り吹き飛ばされ壊走してしまった。
『手向かう者には情け無用だ!蹂躙せよ!』
さっきから大声を上げていたのはこの鬼みたいな化け物だった。
全体的にオーク達はゴブリン達より遥かに体格が良くて強かった。
戦列を突破され組織的な戦いが出来なくなるとゴブリン達に勝ち目は無かった。
逃げ惑うゴブリンと追い掛けるオークで私の周りはすぐに溢れてしまう。
そして私はみっともなくも発作の窒息で岩の床を転げ回っていた。
オーク達は裸で悶絶する人間の女には何の興味も無いのか私を完全に無視してゴブリン達を狩っていた。下半身血塗れの平常運転だったのでもうすぐ死ぬと思ったのかも知れない。
そして壇の方で新たな喚声が上がるとそっちに行ってしまった。
…息が出来ない!
肺の周りの筋肉が意志に反して硬直してしまっていた。
完全にパニックに陥って集中力も欠いてしまい身体の何処かを痛め付けようとする考えも浮かばない。
意識が遠のく。
完全に落ちる前に私は両肩を掴まれて揺すられているのに気が付いた。
そしてすぐにその手は私の首を締め始めたのだ。
被虐依存の私の身体はその刺激で息が通じる。
首を締められる事によって窒息が収まると言う謎の状況が生まれていた。
「ぜひゅ…ぜひゅ…」
何とか動きを再開した呼吸筋が肺に空気を送る。
それと共に声が聞こえてくる。
『この…売女が!貴様か?貴様がここに手引きしたのか!』
見ると不満分子のリーダー格だった。
…他にする事有るだろうに。
突撃してあの鬼に頭を叩き潰されるとか?
呼吸が今度は物理的な圧迫で苦しくなって行く。
非力な私に亜人の雄の力に抗う事など出来る訳が無かった。
意識が再び遠のきブラックアウトする。
…ユールディ
…ふふ、血に全てが染まった姿も美しいな
え?なに…
…いや、我が担い手が望外の美形なので喜んだまでよ
う、遂に声が聞こえ始めた…糖質にステップアップは流石にキツく無いか?
…やれやれ、なるほどこの様な者は舞台を整えねば神の声も聞けぬか?
何だろ?幻聴にまで呆れられてる気がする…
…だが時も無い。語り合うは汝が我が元に至った時で良いか?
あ!ラーガドルー設定なのか!
なんか思いっ切り防衛機制入ってるっぽいけど…そうだ!この度担い手を任されましたユールディと申します。以降お見知り置きのほど宜しくお願い申し上げます…これで本物だった時も安心!
…お、おお。まあ、良いか…ユールディ、汝はオークが憎いか?
へ?ちょっと不思議な質問…ゴブリン好きかとか儀式成功させたいかとかじゃ無いんだ?
……む…
あ!いや神様おこ無し!おこ無しでお願いします!オーク嫌いです!大嫌い!!…この答えで良いのか?…と言うか自問自答みたいなもんなのに何慌ててるんだ私。
…はあ…正しく応えるすべもまだ持たぬか…だが時が無い。
…ならば“刃の裁き”とヴェゼルドガに伝えよ我が眷属よ。
は…はい。
…汝が我が元に至る時を愉しみにしておるぞ
世界がホワイトアウトする。
次の瞬間私は息を呑んだ。
何故なら私の首に手を掛けたゴブリンの首から上が無かったから。
血は噴出するほどでは無かったが滴る血流がぴしゃぴしゃと私の胸元に垂れて来ていた。ネクタイが血でぐちょぐちょになっているのを感じた。
…しかも犯されてるし。
不満分子リーダーは私の首を絞めている内に劣情を催して私の股を広げてゴブリン棒を挿入したらしかった。
…戦いの最中にそんな事してたらそりゃ死ぬよな。
なんかもう色々ありすぎて擦り切れ過ぎた私の感覚はその事に嫌悪感も感じなくなっていた。
それは良いんだけど平気になり過ぎてそれを退けようと動く度に快感が走ってしまうのだ…声を上げたら人はおろか存在として終わってしまう気がして必死に堪える。
むしろ気絶する前までよりリラックスしている…そこで私は自分の壊れっぷり以外の可能性に思い当たる。
何か加護みたいなものを受けたんだろうか?
この感覚の変化にはちょっと不自然なものを感じる…まあ、今までも状況が厳しかった時にはなんであの時あんな風に?ってのは良く有ったしあまり考え過ぎない事にする。
…なんにせよ行動力が確保出来るのは有り難かった。
刃の裁き…なんの事か分からないけど神官様に伝えなきゃ。
…そうすれば今のが何だったのかも少し分かるだろう。
そこで私は冷静になりむやみに動くのを止める。
首なし死体に犯されて首を絞められた体勢のまま辺りの様子を探る。
戦闘の中心は私のいる所よりもっと壇に近い方に移っていた。
神官様がバフっぽいのを掛けていたゴブリン達が前に出てきた事によって一進一退と言う感じになっていた。彼らの中には赤首や護衛たちの様にオークに匹敵する体格のゴブリンも多く結構対抗していた。
神官様は相変わらずそこに逃げ込んできたゴブリン達に魔法を掛けて戦力の底上げをしていた。
出来た戦列の端を回り込もうとするオーク達とそれに応じる増援のゴブリン達で戦列が伸びてゆく。私の見ている内に檀上段下を跨いで玉座を取り囲む様に壁まで戦闘地帯が伸びてしまった。
…あそこに飛び込んだら私真っ二つだな。
死ぬかどうか以前に行動不能になってしまうだろう。
戦場はそこだけじゃ無かった。
三つある出入り口では散発的に広間に侵入しようとする援軍のゴブリンを待ち構えたオークがクロスボウで狩っていた。
…おいもっと考えろよ。
ばらばら出てこないで中でまとまって一気に突っ込めよ!
そうすりゃ抜けるかも知れないだろ!
私は思わず心の中で突っ込む。
でも、私が考える様な事はゴブリンも考えているようで突然一番大きな正面入口からわっとゴブリンの一群が広間に侵入してきた。
どっちかと言うと今までのゴブリンの出方が陽動でオーク達をばらけさせる為のものらしかった。私もいままで正面入り口の向こうってあんまゴブリン居ないのかな?って思ってたし。
…しまった!ゴブリン良く考えてる。
良く分からないのにディスってしまって恥ずかしい。
一方オーク達はそれを予期していたのか正面の隊はクロスボウを仕舞って整然と後退し、両脇の隊は向きを変えて側面からクロスボウで攻撃し始めた。
壇でも変化が起きていた。
神官様が玉座の方に杖を振るって何か言うと護衛の隊が王様を奥の私が王様に情けを貰った部屋に誘導して行く…最初は護衛全員が続く雰囲気だったけど半分は残って神官様の脇に待機する様だった。
…うん、これで良い。
王様が流れ矢に当たったらそれで西のベグシャドレ王国は終わりだ。
さてどうしよう?
今の私はノーマークだ。
外見を見れば完全に折り重なった死体の一つだから当たり前だけど。
でも行動を起こせば目立つだろう。
広間のこの辺りはもう死体しか無くて私が何処かに向かえば必ず捕捉される。そして戦列を越えようとするなり出口から逃げようとすればほぼどちらかの標的となるだろう。邪魔にならなければ取るに足らない人間蛆なんか無視だろうけど少しでも邪魔になるなら逆に攻撃の閾値も低いに違いない。
何らかの動きを待つしか無いか…でもその時でも目的地の近くに居ないとチャンスを掴めないけど近くでぼっと立っているって行動自体が怪し過ぎる。
でも目的が無い事が自然な状況なら警戒も最低限に留まる筈だ。
私は思い付く…基地外になろう。
それしか無い気がする…佯狂(ようきょう)。
…狂人のふりをする。
とっくにぶっ壊れてお医者に行ったら色々病名書いてくれる気がしないでも無いけど…実際がどうかと言うより分かりやすく気が狂うと言うか?
戦場のストレスで人間の性奴隷がおかしくなって彷徨くのはありそうな話じゃないだろうか?
…外見は120点だ。
血塗れでまっぱで内股には夥しい精液がこびり付いている。
…行動はどうしよう?
そこで最適?な方法を考え付いてしまい続く思考が一瞬フリーズしてしまう。
二ンフォマニア…本当の二ンフォマニアと言うよりみんながそうと思う色情狂、色気違い。
狂気を人間の本能を理性で抑え切れない状態で有ると理解する事は一般的なものだ。
気が狂った女が性衝動を抑え切れ無くて何かいやらしい事を呟きながら彷徨うと言うのは理解しやすい狂気じゃ無いだろうか?
それに今の私の状況もストーリーを作りやすい。
実際に私は直前まで犯されていた訳だし、しかもゴブリンの首を切ったオークが何処かに居る事も大きい。
彼は意識の無い私が不満分子リーダーに犯されてる現場を見てる筈だ。
私の狂気の理由を説明すらしてくれるかも知れない。
ショウアップの方法も死体を徐々にガタガタ揺らしながら嬌声を上げて行き立ち上がればすごくそれっぽい。
気を失っていた狂女がまだ行為が続いていたと勘違いして死体を犯した後次を求めて彷徨い出す…問題はほぼ無いと言えるだろう。
…人としてどうかと言う点に付いてはまず私をこんな状況に追い込んだ連中に求めたい。
ただ、気になるところと言えば…それは今の私に取って色々危うい…と言うところだった。
なんか納得する為に頭に浮かんだフレーズも妙に論理的…と言うより一つ一つはロジカルなのにまとめて見るととんでもないと言うトイッタランドとかでよく見るイキり論理そのものだった。
…まあ、他に思い付かないし
慎重にいくしか無い。
まず私はゆっくりと膣に挿入されたゴブリンの死体の性器を抜こうとして…最初の段階で失敗した。
結構長い時間挿入されたままになっていたそのゴブリン棒は鬱血し硬度もあり私に馴染んでいた…その行為は予想以上の快感を私に感じさせた。
それは絶対値ではそれほどでは無かったものの予期しない刺激に無意識に反射行動を取ってしまい、マズいと思った私はそれを抑えようとして力を込めた…はずだったけど実際の行動は死体のちんぽを締め付けてもう一度咥え込んだ上、クリを死体の下腹部にグリグリ押し付けてしまう…はい、予想以上に擦れて気持ち良かったんでついズボズボしちゃったと言う訳ですね。
…主観的には感覚を抑えようとしただけなんですけどね。
膣口とクリトリスで激しい快感が弾け身体を支配する。
一気に快感のボルテージが上がって私は大声を上げそうになった。
そして私が声を抑える為に意識を集中している間に腰が快感を求めて永久運動を開始する事になってしまった。
入り口を締め付けて滅茶苦茶にクリをこすり付ける動きが止まらなくなる。
死姦はダメ!死姦はダメ!死姦ダメ!!…ああ、こんな事考えたら絶対止まらなくなる!
歪んだ私の無意識は私が自分を貶めて自虐の甘い慰めに浸るチャンスを逃さない。死体性愛者とか美味しすぎて逃す訳が無かった。
特に今の様に熱したタールの様なリビドーが身体の奥で揺蕩っている時には…気絶から醒めてから私の身体の奥に急速にモヤモヤしたものがたまり始めていたのだ。
元の世界では妄想が暴走する程度だったけどこの世界では自暴自棄な気分と相まって洒落にならない暴挙を引き寄せてしまった。
死体を犯す強烈な背徳感にヒートアップした私は足を死骸の足に絡めて下半身を心置きなく動かせる様にすると上半身も抱き寄せてしまった。
…せめて上半身ぐらい突き放せよ!私!
バシャバシャと血が顔に降り掛かり噎せる様な血臭が広がるがまるで薔薇の花の香りの様に感じられる。
せめて吸血鬼の汚名までは着たくないので必死に口を閉ざすが、抑えきれない快感に遂に私は大声を上げて鳴き始めてしまった。
…ヤバい!美味しい!
咳込み何とか血を啜る事は防いだがこの体勢では口に入って来るのを防げない。
何人かの双方の戦士がこちらを見るが表情まで窺う余裕はなかった。
…絶頂に向かって急上昇していたからだ。
ダメダメ!屍体イキダメ!!ダメ屍体!気持ちいダメ!キモちいいいいダメ!…屍体ダメ!終わるからダメエ!!
もはやあらゆる意味で手遅れなのに私は絶頂だけは避けようと必死に努力した。
快楽を貪り得る器官は全て反乱を起こしていたので一瞬途方に暮れたが頭が動かせる事に気付いて地面にガンガンと打ち付けた…脳みそブチまけろ!私も死体なら問題ない!!
「ガ…ガガ!」
意識が飛びそうな衝撃でようやく死体を両手で突き飛ばす事が出来た。
フラフラと起き上がった私は演技の必要の無い狂女だった。
アソコから白いモノが滴り落ちてくる。
一瞬死体から搾り取ってしまったかと思いギョッとする…一応、死ぬ前に貰ったものと信じたい。
…ラーガドルーの笑い声が聞こえた気がした。
私は覚悟を決めて歩き出した。
自身がやらかした事に衝撃を受けていたので魂の抜けた様な歩き方以外の方が難しかった。
私の作戦は成功したのか特に私に近寄ろうとする者は居なかった。神官様がどう思ったかはとても気になったけど仕方ない。
戦士の集団が近付くとか細い悲鳴を上げてうずくまりやり過ごし、時々しゃがみ込んで自分のアソコを弄るふりをした。
しかし振りでは済まない事もあった。
私は屍体が折り重なっているのに気付かず踏み越えたところにあったゴブリン の脚を踏んでしまい転倒してしまう。
「ぎゅう…つ…」
再び視界に火花が飛び散り私はしばらく動けなくなってしまった。
オークの一隊が近付いていた事は分かっていたので焦ったけど手足に力が入らずどうしようもなかった。
ゴブリン のペタペタと言う足音でなく鉄靴が岩に打付けられるガチャガチャと言う騒音が真近かに迫る。
ようやく力は入るようになったけど急に立ち上がったら攻撃対象にされかねない。
『おい…』
『…色気違いの女がいるぜ』
『ああ』
『はっ…屍体とヤってた蚊トンボか』
呟きが聴こえ彼らが私の迫真の“演技”を目撃していた事が分かる…マジかよ。
…私は覚悟を決めなくてはならなかった。
これだけ注目されると屍体のふりは厳しい…本当にこのやり方で正しかったのか?今更当然の疑問を抱いても既に時遅しだったけど。
ままよ!(現実に使ってみたい小説ワードNo.3当社推計)
…私はすぐ前にあったゴブリン (屍体)の股間を弄ると萎びた一物を摘み出した。
「あああ…愛しいしと…」
それからもう一方の左手で私(まだ生きてる)の股間を弄るとクリを摘んで指を擦り付ける。
「はあああ…気持ちいい!」
本気で声が出てしまった…段々ゴリゴリと魂削るのが快感になってるんじゃ無いかと心配になる。
溢れる愛液で緩んだゴブリン 達の残りの精液がどろりと指に垂れ落ちた。
快感が走った途端恐怖心とか屍体を弄ぶ罪悪感とかただのおかずになって快楽を貪るようになってしまう。
突き出た私のお尻のすぐ向こうからオーク達の騒めきが聴こえてくる。気持ちのままに尻を高く突き上げると滴る精液の間から僅かに方向を逸らせて行き過ぎようとするオーク達の下半身が見えた…上は見えないけど多分全員が私が弄っているところをまともに見る筈だ。
…オーク達が唸るように声を上げる。
モロの公開オナニー 披露に気が遠くなるような羞恥心を感じるが私はそれで大人しくするよりも更に激しく指を動かす事でその声援に応えた…よく聞いたら声援じゃなくて嘲笑だったけど。
「あ…あ!ああ…あ…あ!…」
左手でアソコに指を突っ込みもう右手でゴブリン の一物をシコる。屍体の肉棒と屍体の肉棒を受け入れていたまんこを同時に弄り回していると考えると堪らない気分になって来た。
…私さっきまでこれアソコに突っ込んで遊んでたんだ…グリグリズコズコして死臭とか汚い液とかまんこに擦り込んで気持ち良くなってたんだ!
自己嫌悪とそれ以上に激しい興奮が綯交ぜになった感情の大波に私は考えるのが難しいくらい発情してしまう…く、口も穢したい…右で握っているものを咥えこまないよう我慢するのが大変だった。
舌で想像上のアレを舐め回しながら快感で焦点が合わなくなった瞳でオーク達が脇を通り過ぎるのを見守る。
『…どれだけちんぽこ好きなんだよ』
『…ここでニタついてんのはコイツだけだな…気持ち良さそうな顔しやがって』
『…ザーメンすげえ量だったぜ?どれだけゴブリンどもを咥え込んだんだ』
『キモいな…』
侮蔑の言葉や視線が悉く燃料になって私の中の焔を燃え上がらせてしまう…幾らなんでもこれは酷かった。
全部ラーガドルーの所為にしたいけど自分の中にあった芽の部分が一々思い当たるのでそう言う訳にも行かない。
確かにこの世界はクソだけど素直に開花して一緒にクソになる必要あるんだろうか?
…マジで私はどうしようもなかった。
『ペッ…』
数人が私に唾を吐きかけその一回が頰に掛かる…ゾクゾクして来た私はその唾が口に流れ込むと同時に絶頂を迎えた。
まあ、屍体でイくよりマシだけど…さすがに自分の変態さが厳し過ぎて涙が出て来た。
泣くぐらいならすんなよって思うけど始めた時は良いアイデアだと思ってたのだ…毎回。
涙目で去って行く隊列を見守りながらのろのろと立ち上がる。
キモがられて斬り殺されなくて良かった…私だったら絶対そうしてる。
それからオモチャにしたゴブリンさん達ごめんなさい。ちょっと蛆虫レイプした位でこの仕打ち…有り得ないですよね?
呪い殺されんのとかこの際ウェルカムですので秒でお願いします!
それにしても頭に思い浮かんだフラグを全部回収していた。
実際に死体とやっちゃったし、もう私は本物の色気違いと言われても反論出来ない状態になっていた。
頭で言い訳しながら実際の行動はほぼ一直線…と言うのもツッコミが入る部分だろう。
ただ、周囲で数秒毎に死体が増える状況では羞恥心は部屋に閉じこもって引きこもりになるしか無い。
死体の生産レートは相変わらずオーク側の方が圧倒的に高かった。
それでもゴブリンの数が元々多い事も有って全体では膠着状態と言えた。
壇側はあの鬼とか巨漢オークとかガチで危険な対象には神官様が魔法で牽制して自由に動けない様にしてしていた。八面六臂って言葉が当てはまる凄い活躍だった。
出入り口側ではゴブリンの突進は完全に受け止められた様だ。正面のオーク隊に勢いを止められた所に左右のオークが集結して混戦となりつつあった。
私が何処かに隙は無いかと見回すと入り口の一つが目に付いた。
誰も居ない…あそこはゴブリン女達が居る区画への入り口だ。そこから裏を回って玉座の奥の部屋に行けないだろうか?
ルートが最終的に分からないにしろ向こうに残っているゴブリン達に担い手として神官の所に向かいたいと言えば協力して貰えるのでは?
壇付近の戦列に向かうと言うのはやはり危険だった。
剥き出しの暴力の前では私に出来る事は何も無かったのだ。
私は徐々にそちらの方に向かった。
ひゅっ…
私の目の前を矢が通過した。
『外したか?』
『…お前やってこい』
オーク語の会話が聞こえドスドスとこちらに誰か近付いてくる。
…に、逃げる?
土下座してちんぽをしゃぶるオプションはオーク相手には通用しない(ゴブリンより圧倒的に装備が良くてちんぽ引き出すのにも苦労しそうだ)だろうし、急に逃げ出したら狂女設定が崩壊する上にそもそも競争では絶対に負けそうだ。私も元の世界では背が高い方だったけど、あの化け物達は頭一つ分は確実に大きかった…リーチが違う。
多分、出入り口に近付く者は誰でも殺せって命令を受けているに違いない。
遂に戦闘に巻き込まれてしまって足がガクガクとしたけど一縷の望みをかけて離れた方向に振り向いて何かを見付けた様に叫ぶ。
「ご…ご主人様!卑しい性奴隷にどうかお情けを…もうアソコがビショビショでちんぽが無いと我慢出来ないんですうう!」
そして駆け出すと離れた所のゴブリンの死体の一つに抱き付いて見せたのだ…強ち嘘じゃないので精神ダメージが半端で無かった。
『は…どうする?』
『あまり持ち場から離れるな』
と言う会話が聞こえ、ほっとした私は『違う…ご主人様じゃない…』などと呟きながら更にその場所を離れようとした。
…助かった?
シュッ…背後で音がして肩を灼熱の痛みが貫く。
私は衝撃と痛みで地面に打ち倒される。
おお…オークの癖に仕事熱心じゃん?
『仕留めたか?』
『いや…まあ、当たったし手負いじゃ大した事は出来んだろ?』
『…トドメくらい刺してやれよ』
いや!結構です!
『おい、クォレルは節約しろってアザンザに言われてるんだよ…蚊トンボなんかに三本も使えるか』
だれか知らないけどアザンザに感謝だ。
痛みでのたうち回る私から関心が離れたのか離れて行く気配。
助かったの?…矢で撃たれて助かったも何も無いと思うけど命を狙われると言う状況では無くなったのは確かだ…痛いけど。
ただ、早くも痛み自体には慣れ始め、私はそれに驚く。
…不思議じゃないか。
貫通した矢と言うかクォレルだっけ?は単純な構造でそれ以上私を傷付ける部分を持たない。もっと神経の集中したところを何度もズタズタにされて来た私には物足りなかった…じゃなくて耐えられるものだった。
…今のところ痛み自体で快感を得る属性は付いていない。そうなったらあの女の感度設定は本格的に要らない子に出来るけど…これ以上人間辞めたくない…
そしてリンチを受けながら甘い声を上げる自分の姿を想像して身体の芯が熱くなる。
くそ…痛みが完全に消えてしまった。
見ると出血が完全に止まっている。
卒業目前かよ…くそ。
とりま考えた私は死体に偽装するのに良いだろうと先端の返しだけを地面に当てて折り取る。
これで抜こうと思えば簡単に行くだろう。
でも、どうしよう?
手が無くなりつつ有った。
徐々にゴブリンが劣勢になりつつある。
正面からの援軍は押さえ込まれていたし、壇付近の包囲の輪も狭まっている気がした…首締められた後初めて胸が詰まった。
ワッと言う悲鳴がいくつか上がり援軍が潰走した。
正面入り口からどんどん逃げ出して行く。
それを追ってオーク達が押し込んで行った。
…もうダメだ。
私は天井のラーガドルーのシンボルを眺めた。
私に死体とヤラせる為に色々お膳立てした癖に…手下のゴブリンを救うのには謎の言葉一つで済ませようとしてるのかよ。
ムカついた。
もういいや…考えるのはやめて設定やら加護やらに仕事させよう。
あの人垣を退けるか私が真っ二つになるかどっちかだ。
私は玉座と火鉢のある壇の中央部に向かって歩き始めた。
ゴブリンと僅かなオークの死体を縫う様に歩いていると後ろで大きな喚声があがった。
振り向くと私が逃げ出そうとした入り口から沢山のゴブリンが溢れて出ていた。
出入り口を守っていたオークの殆どは正面入り口に入り込んでいたので残ったオーク達はゴブリンの群れから逃げ出すか呑み込まれるしか無かった。
『フォモード!あれが最後だ!蹴散らせ!!』
鬼が辺りに響く大声で叫ぶと乱入と共に発生したオーク達のどよめきが消え気が引き締まるのを感じた。
まず最初に蹴散らされたのは私だった。
戦列の後ろに控えていた黄色の毛皮の帽子を被っていた背の大きなオークの一隊が鬼の命令の前にこちらに駆け出していてそれに巻き込まれたのだ。
跳ね飛ばされ、蹴飛ばされ転がる私。
…そして空中に吹き飛ばされた。
空中に?
大きな手が私の無事な方の肩を掴み持ち上げていた。
慌てて見回すとその手の持ち主はフォモードと呼ばれた巨漢オークだった。
私は絶叫する事となった。
身を捩り逃れようとするけど力の差は圧倒的でどうしようも無かった。
このまま放り投げられたら本気で設定の限界を試さにゃきゃならなくなるだろう。
しかしその巨漢オークは気が変わったのかそれどころじゃないのに気が付いたのか私をそのまま下ろすと雄叫びを上げて駆け去って行く。
後にはポカンとした私が残された。
そして後ろで爆発音がして私は再び吹き飛ばされる。
…いや、それはレトリックでオーバーに言っただけでした。
突風の衝撃は受けたものの実際には二、三歩たたらを踏んだだけだ。
『推し出せ!ガダンの首を取るぞ!』
後ろで神官様の声がする。
それに対してあの鬼の哄笑が応える。
…二人知り合いなの?
と言うか言葉分かるんだ。
ゴブリン達の突喊の物音と共にバランスを取り戻した私はようやく振り向く事が出来た。
私の前には道が一直線に伸びていた。
ラーガドルーはようやく仕事をする気になったらしい…かなり巻き巻きだったけど。
焦げかかって転がるオーク達、神官様の魔法といえど一撃と言う訳には行かないのかモゾモゾと動き出そうとしていたけどあと数秒は大丈夫だろう。
突撃して来た護衛ゴブリン達が戦列を回り込んで鬼の方に向かおうとしていた。
反対側ではそっちのオークを自由にさせまいと戦列のゴブリン達がめちゃくちゃに槍を振り回してオーク達を押し込もうとしている。
そうして出来た左右の人垣の間隙の向こうの壇上に神官様が立っていた。
ご丁寧に突撃路に作ったのか盾で段の所に斜路まで付いていた。
鬼の方に一発魔法を放つとチラッとこちらを向いて
『ユールディ殿!』
と呼び掛けた。
私はそちらに駆け出したのだった。
喧噪の中、ゴブリン語とは異なる響きの言葉が聞こえてくる。
意識のピントが再び合った私は上に被さったゴブリンの身体をどかそうと試みた。
途端に衝撃を受けぐえっとカエルみたいな声を出してしまう。
上のゴブリンを誰かが踏み越えていったのだ。
横目で見ると私の周りは逃げ惑って混乱するゴブリンの脚であふれていた。
どさっと近くで倒れ伏すゴブリンの上半身に矢の様なものが突き刺さっていた。
「ひえぇぇぃぃぃ…」
私は恐怖に駆られ悲鳴にもならない悲鳴を上げる…し、死体!
倒れたゴブリンの虚ろな瞳が目に入って急速に呼吸が苦しくなってゆく。
私の防壁になっている上のゴブリンの身体にも同じものが付いていると思うと私は震え上がった。
早くそれから逃れようと反射的に身を捩るけど今までしゃぶっていた一物と対面する結果になってしまう。
少しの間でも死体の一部を舐めていた事に気付き吐き気に襲われる。
…そ、それは絶対に我慢!
私は身を固くして衝動に耐える。
えずきが治まると状況に対する恐怖感が爆発的に広がってゆく。
怖くて襲撃者の方は見れないけど彼らが私の味方になるとはとても思えなかった。
最初の矢の襲撃の時私が避けられたのは偶々直前に四つん這いになったからだ。
でなければ私も矢の雨に晒されていた…不死の設定が生きたのだろうか?
こんな時だけ都合が良いけど私は不死の設定…不死の設定…と呪文のように繰り返した。
もっともあの女の言い方だと矢が命中して重傷を負うのまでは防げないらしいけど…ダメだ、否定的な事を考えては…
それでもしばらくすると状況に対する疑問を考えられる程度には感情を抑えられるようになった。
そうだ!儀式!…王様と神官様は?
怒号と剣戟の音が響いているのは私が入ってきた出入り口の方だ。
矢の飛来音はもうそれほど頻繁では無かった。
そして檀上の方を見るとまず王様は玉座を降りて護衛の兵士が掲げる大盾に守られていた。
そして神官様は段下に降りて集結してきたゴブリン達に杖を振るって魔法を掛けていた。
奥まで届く矢はほとんど神官様に向かって飛んで行ったけど、周囲に煙のようなものが立ち込めていてそれに矢が触れると急に勢いを失って下に落ちていた。
まずは二人とも無事でよかった。
…でも儀式はどうなるんだろ?
私は事態のもう一方の焦点を確認する為顫える唇を噛み締めて反対側を見ようとした。
しかしそちらはゴブリンの太ももで隠れてよく見えなかった。
私はゴブリンの身体を押し退けて身を起こそうとする。
その時先ほど聞こえた声が『フォモード、潰せ!』と辺りに響き渡る大声で叫ぶのが聞こえた。
身を起こし、ようやく視界を確保した私はそれを見て呼吸が停止して戻らなくなった。
襲撃者は半ば予想していた通り最初に森で見掛けた奴と同じ種族だった。
…あのオークは此処を探していたんだ。
復讐戦と言う神官様と代表者達の会話に出て来た単語を思い出す。
そして私の一瞥と共にその戦いは一気にオーク側のものとなりつつあった。
堤防を決壊させた洪水が街を襲う様にゴブリン達の三倍の高さの巨漢の豚頭のモンスターを先頭に槍衾を突破したオーク達はゴブリンの四肢を切り株の様に切り飛ばしていた。
巨漢オークが動物染みた咆哮を上げると反撃をしょうとしたゴブリン達の脚が凍り付き、そのままそいつが持っていた偃月刀でなで斬りにされる。
他を守っていたゴブリンが押し戻そうと寄り集まり槍を振り回し突撃していった。
でも、それは後ろから踊り出た豚と言うより鬼と言った方がいい風貌の化け物が物干し竿みたいな鉄の槍を振り回すと先頭の三分の一くらいが文字通り吹き飛ばされ壊走してしまった。
『手向かう者には情け無用だ!蹂躙せよ!』
さっきから大声を上げていたのはこの鬼みたいな化け物だった。
全体的にオーク達はゴブリン達より遥かに体格が良くて強かった。
戦列を突破され組織的な戦いが出来なくなるとゴブリン達に勝ち目は無かった。
逃げ惑うゴブリンと追い掛けるオークで私の周りはすぐに溢れてしまう。
そして私はみっともなくも発作の窒息で岩の床を転げ回っていた。
オーク達は裸で悶絶する人間の女には何の興味も無いのか私を完全に無視してゴブリン達を狩っていた。下半身血塗れの平常運転だったのでもうすぐ死ぬと思ったのかも知れない。
そして壇の方で新たな喚声が上がるとそっちに行ってしまった。
…息が出来ない!
肺の周りの筋肉が意志に反して硬直してしまっていた。
完全にパニックに陥って集中力も欠いてしまい身体の何処かを痛め付けようとする考えも浮かばない。
意識が遠のく。
完全に落ちる前に私は両肩を掴まれて揺すられているのに気が付いた。
そしてすぐにその手は私の首を締め始めたのだ。
被虐依存の私の身体はその刺激で息が通じる。
首を締められる事によって窒息が収まると言う謎の状況が生まれていた。
「ぜひゅ…ぜひゅ…」
何とか動きを再開した呼吸筋が肺に空気を送る。
それと共に声が聞こえてくる。
『この…売女が!貴様か?貴様がここに手引きしたのか!』
見ると不満分子のリーダー格だった。
…他にする事有るだろうに。
突撃してあの鬼に頭を叩き潰されるとか?
呼吸が今度は物理的な圧迫で苦しくなって行く。
非力な私に亜人の雄の力に抗う事など出来る訳が無かった。
意識が再び遠のきブラックアウトする。
…ユールディ
…ふふ、血に全てが染まった姿も美しいな
え?なに…
…いや、我が担い手が望外の美形なので喜んだまでよ
う、遂に声が聞こえ始めた…糖質にステップアップは流石にキツく無いか?
…やれやれ、なるほどこの様な者は舞台を整えねば神の声も聞けぬか?
何だろ?幻聴にまで呆れられてる気がする…
…だが時も無い。語り合うは汝が我が元に至った時で良いか?
あ!ラーガドルー設定なのか!
なんか思いっ切り防衛機制入ってるっぽいけど…そうだ!この度担い手を任されましたユールディと申します。以降お見知り置きのほど宜しくお願い申し上げます…これで本物だった時も安心!
…お、おお。まあ、良いか…ユールディ、汝はオークが憎いか?
へ?ちょっと不思議な質問…ゴブリン好きかとか儀式成功させたいかとかじゃ無いんだ?
……む…
あ!いや神様おこ無し!おこ無しでお願いします!オーク嫌いです!大嫌い!!…この答えで良いのか?…と言うか自問自答みたいなもんなのに何慌ててるんだ私。
…はあ…正しく応えるすべもまだ持たぬか…だが時が無い。
…ならば“刃の裁き”とヴェゼルドガに伝えよ我が眷属よ。
は…はい。
…汝が我が元に至る時を愉しみにしておるぞ
世界がホワイトアウトする。
次の瞬間私は息を呑んだ。
何故なら私の首に手を掛けたゴブリンの首から上が無かったから。
血は噴出するほどでは無かったが滴る血流がぴしゃぴしゃと私の胸元に垂れて来ていた。ネクタイが血でぐちょぐちょになっているのを感じた。
…しかも犯されてるし。
不満分子リーダーは私の首を絞めている内に劣情を催して私の股を広げてゴブリン棒を挿入したらしかった。
…戦いの最中にそんな事してたらそりゃ死ぬよな。
なんかもう色々ありすぎて擦り切れ過ぎた私の感覚はその事に嫌悪感も感じなくなっていた。
それは良いんだけど平気になり過ぎてそれを退けようと動く度に快感が走ってしまうのだ…声を上げたら人はおろか存在として終わってしまう気がして必死に堪える。
むしろ気絶する前までよりリラックスしている…そこで私は自分の壊れっぷり以外の可能性に思い当たる。
何か加護みたいなものを受けたんだろうか?
この感覚の変化にはちょっと不自然なものを感じる…まあ、今までも状況が厳しかった時にはなんであの時あんな風に?ってのは良く有ったしあまり考え過ぎない事にする。
…なんにせよ行動力が確保出来るのは有り難かった。
刃の裁き…なんの事か分からないけど神官様に伝えなきゃ。
…そうすれば今のが何だったのかも少し分かるだろう。
そこで私は冷静になりむやみに動くのを止める。
首なし死体に犯されて首を絞められた体勢のまま辺りの様子を探る。
戦闘の中心は私のいる所よりもっと壇に近い方に移っていた。
神官様がバフっぽいのを掛けていたゴブリン達が前に出てきた事によって一進一退と言う感じになっていた。彼らの中には赤首や護衛たちの様にオークに匹敵する体格のゴブリンも多く結構対抗していた。
神官様は相変わらずそこに逃げ込んできたゴブリン達に魔法を掛けて戦力の底上げをしていた。
出来た戦列の端を回り込もうとするオーク達とそれに応じる増援のゴブリン達で戦列が伸びてゆく。私の見ている内に檀上段下を跨いで玉座を取り囲む様に壁まで戦闘地帯が伸びてしまった。
…あそこに飛び込んだら私真っ二つだな。
死ぬかどうか以前に行動不能になってしまうだろう。
戦場はそこだけじゃ無かった。
三つある出入り口では散発的に広間に侵入しようとする援軍のゴブリンを待ち構えたオークがクロスボウで狩っていた。
…おいもっと考えろよ。
ばらばら出てこないで中でまとまって一気に突っ込めよ!
そうすりゃ抜けるかも知れないだろ!
私は思わず心の中で突っ込む。
でも、私が考える様な事はゴブリンも考えているようで突然一番大きな正面入口からわっとゴブリンの一群が広間に侵入してきた。
どっちかと言うと今までのゴブリンの出方が陽動でオーク達をばらけさせる為のものらしかった。私もいままで正面入り口の向こうってあんまゴブリン居ないのかな?って思ってたし。
…しまった!ゴブリン良く考えてる。
良く分からないのにディスってしまって恥ずかしい。
一方オーク達はそれを予期していたのか正面の隊はクロスボウを仕舞って整然と後退し、両脇の隊は向きを変えて側面からクロスボウで攻撃し始めた。
壇でも変化が起きていた。
神官様が玉座の方に杖を振るって何か言うと護衛の隊が王様を奥の私が王様に情けを貰った部屋に誘導して行く…最初は護衛全員が続く雰囲気だったけど半分は残って神官様の脇に待機する様だった。
…うん、これで良い。
王様が流れ矢に当たったらそれで西のベグシャドレ王国は終わりだ。
さてどうしよう?
今の私はノーマークだ。
外見を見れば完全に折り重なった死体の一つだから当たり前だけど。
でも行動を起こせば目立つだろう。
広間のこの辺りはもう死体しか無くて私が何処かに向かえば必ず捕捉される。そして戦列を越えようとするなり出口から逃げようとすればほぼどちらかの標的となるだろう。邪魔にならなければ取るに足らない人間蛆なんか無視だろうけど少しでも邪魔になるなら逆に攻撃の閾値も低いに違いない。
何らかの動きを待つしか無いか…でもその時でも目的地の近くに居ないとチャンスを掴めないけど近くでぼっと立っているって行動自体が怪し過ぎる。
でも目的が無い事が自然な状況なら警戒も最低限に留まる筈だ。
私は思い付く…基地外になろう。
それしか無い気がする…佯狂(ようきょう)。
…狂人のふりをする。
とっくにぶっ壊れてお医者に行ったら色々病名書いてくれる気がしないでも無いけど…実際がどうかと言うより分かりやすく気が狂うと言うか?
戦場のストレスで人間の性奴隷がおかしくなって彷徨くのはありそうな話じゃないだろうか?
…外見は120点だ。
血塗れでまっぱで内股には夥しい精液がこびり付いている。
…行動はどうしよう?
そこで最適?な方法を考え付いてしまい続く思考が一瞬フリーズしてしまう。
二ンフォマニア…本当の二ンフォマニアと言うよりみんながそうと思う色情狂、色気違い。
狂気を人間の本能を理性で抑え切れない状態で有ると理解する事は一般的なものだ。
気が狂った女が性衝動を抑え切れ無くて何かいやらしい事を呟きながら彷徨うと言うのは理解しやすい狂気じゃ無いだろうか?
それに今の私の状況もストーリーを作りやすい。
実際に私は直前まで犯されていた訳だし、しかもゴブリンの首を切ったオークが何処かに居る事も大きい。
彼は意識の無い私が不満分子リーダーに犯されてる現場を見てる筈だ。
私の狂気の理由を説明すらしてくれるかも知れない。
ショウアップの方法も死体を徐々にガタガタ揺らしながら嬌声を上げて行き立ち上がればすごくそれっぽい。
気を失っていた狂女がまだ行為が続いていたと勘違いして死体を犯した後次を求めて彷徨い出す…問題はほぼ無いと言えるだろう。
…人としてどうかと言う点に付いてはまず私をこんな状況に追い込んだ連中に求めたい。
ただ、気になるところと言えば…それは今の私に取って色々危うい…と言うところだった。
なんか納得する為に頭に浮かんだフレーズも妙に論理的…と言うより一つ一つはロジカルなのにまとめて見るととんでもないと言うトイッタランドとかでよく見るイキり論理そのものだった。
…まあ、他に思い付かないし
慎重にいくしか無い。
まず私はゆっくりと膣に挿入されたゴブリンの死体の性器を抜こうとして…最初の段階で失敗した。
結構長い時間挿入されたままになっていたそのゴブリン棒は鬱血し硬度もあり私に馴染んでいた…その行為は予想以上の快感を私に感じさせた。
それは絶対値ではそれほどでは無かったものの予期しない刺激に無意識に反射行動を取ってしまい、マズいと思った私はそれを抑えようとして力を込めた…はずだったけど実際の行動は死体のちんぽを締め付けてもう一度咥え込んだ上、クリを死体の下腹部にグリグリ押し付けてしまう…はい、予想以上に擦れて気持ち良かったんでついズボズボしちゃったと言う訳ですね。
…主観的には感覚を抑えようとしただけなんですけどね。
膣口とクリトリスで激しい快感が弾け身体を支配する。
一気に快感のボルテージが上がって私は大声を上げそうになった。
そして私が声を抑える為に意識を集中している間に腰が快感を求めて永久運動を開始する事になってしまった。
入り口を締め付けて滅茶苦茶にクリをこすり付ける動きが止まらなくなる。
死姦はダメ!死姦はダメ!死姦ダメ!!…ああ、こんな事考えたら絶対止まらなくなる!
歪んだ私の無意識は私が自分を貶めて自虐の甘い慰めに浸るチャンスを逃さない。死体性愛者とか美味しすぎて逃す訳が無かった。
特に今の様に熱したタールの様なリビドーが身体の奥で揺蕩っている時には…気絶から醒めてから私の身体の奥に急速にモヤモヤしたものがたまり始めていたのだ。
元の世界では妄想が暴走する程度だったけどこの世界では自暴自棄な気分と相まって洒落にならない暴挙を引き寄せてしまった。
死体を犯す強烈な背徳感にヒートアップした私は足を死骸の足に絡めて下半身を心置きなく動かせる様にすると上半身も抱き寄せてしまった。
…せめて上半身ぐらい突き放せよ!私!
バシャバシャと血が顔に降り掛かり噎せる様な血臭が広がるがまるで薔薇の花の香りの様に感じられる。
せめて吸血鬼の汚名までは着たくないので必死に口を閉ざすが、抑えきれない快感に遂に私は大声を上げて鳴き始めてしまった。
…ヤバい!美味しい!
咳込み何とか血を啜る事は防いだがこの体勢では口に入って来るのを防げない。
何人かの双方の戦士がこちらを見るが表情まで窺う余裕はなかった。
…絶頂に向かって急上昇していたからだ。
ダメダメ!屍体イキダメ!!ダメ屍体!気持ちいダメ!キモちいいいいダメ!…屍体ダメ!終わるからダメエ!!
もはやあらゆる意味で手遅れなのに私は絶頂だけは避けようと必死に努力した。
快楽を貪り得る器官は全て反乱を起こしていたので一瞬途方に暮れたが頭が動かせる事に気付いて地面にガンガンと打ち付けた…脳みそブチまけろ!私も死体なら問題ない!!
「ガ…ガガ!」
意識が飛びそうな衝撃でようやく死体を両手で突き飛ばす事が出来た。
フラフラと起き上がった私は演技の必要の無い狂女だった。
アソコから白いモノが滴り落ちてくる。
一瞬死体から搾り取ってしまったかと思いギョッとする…一応、死ぬ前に貰ったものと信じたい。
…ラーガドルーの笑い声が聞こえた気がした。
私は覚悟を決めて歩き出した。
自身がやらかした事に衝撃を受けていたので魂の抜けた様な歩き方以外の方が難しかった。
私の作戦は成功したのか特に私に近寄ろうとする者は居なかった。神官様がどう思ったかはとても気になったけど仕方ない。
戦士の集団が近付くとか細い悲鳴を上げてうずくまりやり過ごし、時々しゃがみ込んで自分のアソコを弄るふりをした。
しかし振りでは済まない事もあった。
私は屍体が折り重なっているのに気付かず踏み越えたところにあったゴブリン の脚を踏んでしまい転倒してしまう。
「ぎゅう…つ…」
再び視界に火花が飛び散り私はしばらく動けなくなってしまった。
オークの一隊が近付いていた事は分かっていたので焦ったけど手足に力が入らずどうしようもなかった。
ゴブリン のペタペタと言う足音でなく鉄靴が岩に打付けられるガチャガチャと言う騒音が真近かに迫る。
ようやく力は入るようになったけど急に立ち上がったら攻撃対象にされかねない。
『おい…』
『…色気違いの女がいるぜ』
『ああ』
『はっ…屍体とヤってた蚊トンボか』
呟きが聴こえ彼らが私の迫真の“演技”を目撃していた事が分かる…マジかよ。
…私は覚悟を決めなくてはならなかった。
これだけ注目されると屍体のふりは厳しい…本当にこのやり方で正しかったのか?今更当然の疑問を抱いても既に時遅しだったけど。
ままよ!(現実に使ってみたい小説ワードNo.3当社推計)
…私はすぐ前にあったゴブリン (屍体)の股間を弄ると萎びた一物を摘み出した。
「あああ…愛しいしと…」
それからもう一方の左手で私(まだ生きてる)の股間を弄るとクリを摘んで指を擦り付ける。
「はあああ…気持ちいい!」
本気で声が出てしまった…段々ゴリゴリと魂削るのが快感になってるんじゃ無いかと心配になる。
溢れる愛液で緩んだゴブリン 達の残りの精液がどろりと指に垂れ落ちた。
快感が走った途端恐怖心とか屍体を弄ぶ罪悪感とかただのおかずになって快楽を貪るようになってしまう。
突き出た私のお尻のすぐ向こうからオーク達の騒めきが聴こえてくる。気持ちのままに尻を高く突き上げると滴る精液の間から僅かに方向を逸らせて行き過ぎようとするオーク達の下半身が見えた…上は見えないけど多分全員が私が弄っているところをまともに見る筈だ。
…オーク達が唸るように声を上げる。
モロの公開オナニー 披露に気が遠くなるような羞恥心を感じるが私はそれで大人しくするよりも更に激しく指を動かす事でその声援に応えた…よく聞いたら声援じゃなくて嘲笑だったけど。
「あ…あ!ああ…あ…あ!…」
左手でアソコに指を突っ込みもう右手でゴブリン の一物をシコる。屍体の肉棒と屍体の肉棒を受け入れていたまんこを同時に弄り回していると考えると堪らない気分になって来た。
…私さっきまでこれアソコに突っ込んで遊んでたんだ…グリグリズコズコして死臭とか汚い液とかまんこに擦り込んで気持ち良くなってたんだ!
自己嫌悪とそれ以上に激しい興奮が綯交ぜになった感情の大波に私は考えるのが難しいくらい発情してしまう…く、口も穢したい…右で握っているものを咥えこまないよう我慢するのが大変だった。
舌で想像上のアレを舐め回しながら快感で焦点が合わなくなった瞳でオーク達が脇を通り過ぎるのを見守る。
『…どれだけちんぽこ好きなんだよ』
『…ここでニタついてんのはコイツだけだな…気持ち良さそうな顔しやがって』
『…ザーメンすげえ量だったぜ?どれだけゴブリンどもを咥え込んだんだ』
『キモいな…』
侮蔑の言葉や視線が悉く燃料になって私の中の焔を燃え上がらせてしまう…幾らなんでもこれは酷かった。
全部ラーガドルーの所為にしたいけど自分の中にあった芽の部分が一々思い当たるのでそう言う訳にも行かない。
確かにこの世界はクソだけど素直に開花して一緒にクソになる必要あるんだろうか?
…マジで私はどうしようもなかった。
『ペッ…』
数人が私に唾を吐きかけその一回が頰に掛かる…ゾクゾクして来た私はその唾が口に流れ込むと同時に絶頂を迎えた。
まあ、屍体でイくよりマシだけど…さすがに自分の変態さが厳し過ぎて涙が出て来た。
泣くぐらいならすんなよって思うけど始めた時は良いアイデアだと思ってたのだ…毎回。
涙目で去って行く隊列を見守りながらのろのろと立ち上がる。
キモがられて斬り殺されなくて良かった…私だったら絶対そうしてる。
それからオモチャにしたゴブリンさん達ごめんなさい。ちょっと蛆虫レイプした位でこの仕打ち…有り得ないですよね?
呪い殺されんのとかこの際ウェルカムですので秒でお願いします!
それにしても頭に思い浮かんだフラグを全部回収していた。
実際に死体とやっちゃったし、もう私は本物の色気違いと言われても反論出来ない状態になっていた。
頭で言い訳しながら実際の行動はほぼ一直線…と言うのもツッコミが入る部分だろう。
ただ、周囲で数秒毎に死体が増える状況では羞恥心は部屋に閉じこもって引きこもりになるしか無い。
死体の生産レートは相変わらずオーク側の方が圧倒的に高かった。
それでもゴブリンの数が元々多い事も有って全体では膠着状態と言えた。
壇側はあの鬼とか巨漢オークとかガチで危険な対象には神官様が魔法で牽制して自由に動けない様にしてしていた。八面六臂って言葉が当てはまる凄い活躍だった。
出入り口側ではゴブリンの突進は完全に受け止められた様だ。正面のオーク隊に勢いを止められた所に左右のオークが集結して混戦となりつつあった。
私が何処かに隙は無いかと見回すと入り口の一つが目に付いた。
誰も居ない…あそこはゴブリン女達が居る区画への入り口だ。そこから裏を回って玉座の奥の部屋に行けないだろうか?
ルートが最終的に分からないにしろ向こうに残っているゴブリン達に担い手として神官の所に向かいたいと言えば協力して貰えるのでは?
壇付近の戦列に向かうと言うのはやはり危険だった。
剥き出しの暴力の前では私に出来る事は何も無かったのだ。
私は徐々にそちらの方に向かった。
ひゅっ…
私の目の前を矢が通過した。
『外したか?』
『…お前やってこい』
オーク語の会話が聞こえドスドスとこちらに誰か近付いてくる。
…に、逃げる?
土下座してちんぽをしゃぶるオプションはオーク相手には通用しない(ゴブリンより圧倒的に装備が良くてちんぽ引き出すのにも苦労しそうだ)だろうし、急に逃げ出したら狂女設定が崩壊する上にそもそも競争では絶対に負けそうだ。私も元の世界では背が高い方だったけど、あの化け物達は頭一つ分は確実に大きかった…リーチが違う。
多分、出入り口に近付く者は誰でも殺せって命令を受けているに違いない。
遂に戦闘に巻き込まれてしまって足がガクガクとしたけど一縷の望みをかけて離れた方向に振り向いて何かを見付けた様に叫ぶ。
「ご…ご主人様!卑しい性奴隷にどうかお情けを…もうアソコがビショビショでちんぽが無いと我慢出来ないんですうう!」
そして駆け出すと離れた所のゴブリンの死体の一つに抱き付いて見せたのだ…強ち嘘じゃないので精神ダメージが半端で無かった。
『は…どうする?』
『あまり持ち場から離れるな』
と言う会話が聞こえ、ほっとした私は『違う…ご主人様じゃない…』などと呟きながら更にその場所を離れようとした。
…助かった?
シュッ…背後で音がして肩を灼熱の痛みが貫く。
私は衝撃と痛みで地面に打ち倒される。
おお…オークの癖に仕事熱心じゃん?
『仕留めたか?』
『いや…まあ、当たったし手負いじゃ大した事は出来んだろ?』
『…トドメくらい刺してやれよ』
いや!結構です!
『おい、クォレルは節約しろってアザンザに言われてるんだよ…蚊トンボなんかに三本も使えるか』
だれか知らないけどアザンザに感謝だ。
痛みでのたうち回る私から関心が離れたのか離れて行く気配。
助かったの?…矢で撃たれて助かったも何も無いと思うけど命を狙われると言う状況では無くなったのは確かだ…痛いけど。
ただ、早くも痛み自体には慣れ始め、私はそれに驚く。
…不思議じゃないか。
貫通した矢と言うかクォレルだっけ?は単純な構造でそれ以上私を傷付ける部分を持たない。もっと神経の集中したところを何度もズタズタにされて来た私には物足りなかった…じゃなくて耐えられるものだった。
…今のところ痛み自体で快感を得る属性は付いていない。そうなったらあの女の感度設定は本格的に要らない子に出来るけど…これ以上人間辞めたくない…
そしてリンチを受けながら甘い声を上げる自分の姿を想像して身体の芯が熱くなる。
くそ…痛みが完全に消えてしまった。
見ると出血が完全に止まっている。
卒業目前かよ…くそ。
とりま考えた私は死体に偽装するのに良いだろうと先端の返しだけを地面に当てて折り取る。
これで抜こうと思えば簡単に行くだろう。
でも、どうしよう?
手が無くなりつつ有った。
徐々にゴブリンが劣勢になりつつある。
正面からの援軍は押さえ込まれていたし、壇付近の包囲の輪も狭まっている気がした…首締められた後初めて胸が詰まった。
ワッと言う悲鳴がいくつか上がり援軍が潰走した。
正面入り口からどんどん逃げ出して行く。
それを追ってオーク達が押し込んで行った。
…もうダメだ。
私は天井のラーガドルーのシンボルを眺めた。
私に死体とヤラせる為に色々お膳立てした癖に…手下のゴブリンを救うのには謎の言葉一つで済ませようとしてるのかよ。
ムカついた。
もういいや…考えるのはやめて設定やら加護やらに仕事させよう。
あの人垣を退けるか私が真っ二つになるかどっちかだ。
私は玉座と火鉢のある壇の中央部に向かって歩き始めた。
ゴブリンと僅かなオークの死体を縫う様に歩いていると後ろで大きな喚声があがった。
振り向くと私が逃げ出そうとした入り口から沢山のゴブリンが溢れて出ていた。
出入り口を守っていたオークの殆どは正面入り口に入り込んでいたので残ったオーク達はゴブリンの群れから逃げ出すか呑み込まれるしか無かった。
『フォモード!あれが最後だ!蹴散らせ!!』
鬼が辺りに響く大声で叫ぶと乱入と共に発生したオーク達のどよめきが消え気が引き締まるのを感じた。
まず最初に蹴散らされたのは私だった。
戦列の後ろに控えていた黄色の毛皮の帽子を被っていた背の大きなオークの一隊が鬼の命令の前にこちらに駆け出していてそれに巻き込まれたのだ。
跳ね飛ばされ、蹴飛ばされ転がる私。
…そして空中に吹き飛ばされた。
空中に?
大きな手が私の無事な方の肩を掴み持ち上げていた。
慌てて見回すとその手の持ち主はフォモードと呼ばれた巨漢オークだった。
私は絶叫する事となった。
身を捩り逃れようとするけど力の差は圧倒的でどうしようも無かった。
このまま放り投げられたら本気で設定の限界を試さにゃきゃならなくなるだろう。
しかしその巨漢オークは気が変わったのかそれどころじゃないのに気が付いたのか私をそのまま下ろすと雄叫びを上げて駆け去って行く。
後にはポカンとした私が残された。
そして後ろで爆発音がして私は再び吹き飛ばされる。
…いや、それはレトリックでオーバーに言っただけでした。
突風の衝撃は受けたものの実際には二、三歩たたらを踏んだだけだ。
『推し出せ!ガダンの首を取るぞ!』
後ろで神官様の声がする。
それに対してあの鬼の哄笑が応える。
…二人知り合いなの?
と言うか言葉分かるんだ。
ゴブリン達の突喊の物音と共にバランスを取り戻した私はようやく振り向く事が出来た。
私の前には道が一直線に伸びていた。
ラーガドルーはようやく仕事をする気になったらしい…かなり巻き巻きだったけど。
焦げかかって転がるオーク達、神官様の魔法といえど一撃と言う訳には行かないのかモゾモゾと動き出そうとしていたけどあと数秒は大丈夫だろう。
突撃して来た護衛ゴブリン達が戦列を回り込んで鬼の方に向かおうとしていた。
反対側ではそっちのオークを自由にさせまいと戦列のゴブリン達がめちゃくちゃに槍を振り回してオーク達を押し込もうとしている。
そうして出来た左右の人垣の間隙の向こうの壇上に神官様が立っていた。
ご丁寧に突撃路に作ったのか盾で段の所に斜路まで付いていた。
鬼の方に一発魔法を放つとチラッとこちらを向いて
『ユールディ殿!』
と呼び掛けた。
私はそちらに駆け出したのだった。
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記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
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2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
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