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第5章 失われたもの、大切なもの
第4話 使命感と揺れる思い
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~~side プレアデス~~
「本当の気持ち……か」
セイスさん、カンナさんが部屋を出て、再び1人の静寂が戻ってきた。取り残された僕は、再び考え事に耽る。僕の、ハルに対する本当の気持ち。僕はあの日、エルメイア中央平原の木の下で初めて会った時のことを思い出していた。
『やあ、そこのお主。珍しいね、ホムンクルスかい?』
『まあ、なかなか見ないですよね……そういうあなたは狐の半獣人、ですか……?毛色と髪色が上手くマッチして、とても綺麗ですね』
『や、やめてくれよそんな、面と向かって……と、自己紹介がまだだったね。ボクは春風。女の子だけどこういう口調なのは気にしないで。昔からの癖なんだ。それと、出来れば丁寧語はやめてくれないかな?余所余所しい感じはあまり好きじゃないんだ』
何てことのない、ごく普通の出会い。ゲームの中で会って、一緒にプレイするようになって。それから……いつからだろう。ハルのことを特別視するようになったのは。そもそも、僕にとってあんなに長い間一緒にゲームを楽しんでくれる人は初めてだったから、きっとその特別感も加担しているんだろう。
じゃあ、どうしてハルは一緒にいてくれるんだろう?別段話が面白いわけでもない、めちゃくちゃゲームが上手いわけでもない僕と。大切な装備を作ったから?でも、それだとただお礼として一緒にいてくれるだけで……。
「あっ」
そこで気づいた。そうだ、彼女は僕が作った物のお礼をしたいんだ。そういえば初めて刀を作ってあげた時も、そんなことを言っていたような。まあ、元はといえば僕が武器を彼女に作ったのも、狩りと素材集めを手伝ってくれたお礼だったんだけど。
そうか、つまり僕達は恩の貸し借りから始まった仲なんだ……勿論、そういう関係がごく普通であることも、それをきっかけに友人関係に発展するということも理解できる。でも、ショックを受けないか、と言われると嘘になる。もっと純粋な思いで、ああして一緒にいられたと思っていたから。
腰掛けていたソファに、ポフッと身体を倒す。この肌触り。染み付いたほのかに甘い香り。カーテンから漏れ出る朝日。どれを取ってもハルとの思い出が蘇ってくる。全部全部、ずっと続くものだと、ただ純粋に成り立っている関係だと思っていた。でも、実際はお互いが恩返しをしようとしていただけで……それももう、終わってしまった。
「そんなの……認められるわけ、ないじゃんか」
仰向けになり、片方の腕で目を覆う。乗せた腕がじんわりと湿り気を帯びる。ああ、そうだ。僕はまだ終わりたくない。この関係を終わらせたくはないんだ。一度途切れた時点で、きっとそっくり元に戻ることはないだろう。それでも、どんな形でも良い。またハルと一緒にこの世界で、同じ時を分かち合いたいんだ。
今、やっと分かったよ、ハル。僕は君の存在を心のどこかで、当たり前のように感じていたんだ。頭ではそれが奇跡のようなことなんだって分かっているつもりだったけど……やっぱり、本当の価値は失って初めて分かるんだ。セイスさんが伝えようとしていたのも、このことなんだろう。だからこそ純粋に、自分の気持ちに嘘を吐いちゃいけないんだと。
僕の本当の気持ち……それはもう固まっている。もう一度ハルに会いたい。そして彼女が望むなら、もう一度ハルと一緒にいたい。恩返しだとかは関係ない、ただ純粋な気持ちで。そのために、今できることは……。
「……決めるか、覚悟を」
あの研究所の、見つけた扉の先へ行く。そして願わくば制圧する。確かにハルとは一緒にいたい。ハルの気持ちも考えれば、ここは合流して2人で攻略すべきなのかもしれない。でも、これは僕が受け、僕が始めた危険なクエスト。それにハルを巻き込みたくないという気持ちにも、やっぱり嘘は吐けない。
だから、まずこの壁を早く乗り越える。そうしたらきっと、何のしがらみもなく一緒にいられる日が、その先に待っているはずだから。僕は研究所攻略に向けて、その準備に取りかかるのだった。
~~side 春風~~
目を閉じ、気を研ぎ澄ます。視界を奪われると戦えないというのは、視覚に頼りすぎている証拠だ。五感というものはよく出来ていて、ある一つを潰されると残りの性能が僅かではあるが向上する。恐らく、人間のもつ生物本来の生存本能がそうさせているんだろう。
メカニズムはともかく、そういうわけでボクの道場では代々、目隠しをして稽古をする日がある。今ボクがしているのもまさにそれだ。プレア殿の作業台周りから拝借した布の帯で目を覆い、物理的に視界を塞いでダンジョンに潜っている。稽古と異なり、見えない中で移動しなくてはならない分、現実での稽古より難易度が高い。
「……プレア殿」
彼は今、何をしているんだろう。きっと、心配しているだろうな。フレンド登録を解除していなければ、今頃ここまで追って来ていたかもしれない。まあ、ボクとしても甘えを断ち切るという意味では、こうして良かったのだと言える。でも……。
「悪いこと、しちゃったなぁ」
何をやってるんだろう、ボクは。プレア殿にこれ以上心配させないようにって名目であの部屋を出たはずなのに。時間が経てば経つほど、余計に迷惑をかけている気がしてならない。ボク自身がより強くなるという意味では効果的だろうけど、それでプレア殿を悲しませてしまったら意味がない。ボクの心に、底知れぬ罪悪感が渦巻いていた。
ダメだダメだ、集中しなきゃ。雑念を追い出し、頭を静かにする。水面を張り、その波風を……抑える。今プレア殿のことを考えても仕方がない。やってしまったことはもう取り返せないんだ。だからまずは、せめて自分のしたことに後悔のないようにここを突破するんだ、と自分に言い聞かせて。
「ふぅ……よし」
一息をつき、前面に小春を構え、一歩ずつ前進していく。コツン、コツンと時折大きな足音を立てて。ボクが獣人を選んでいることも手伝っていると思うけど、この世界では五感が優れている。だから、こうして更に聴覚を高めていると、どこから音が聞こえてくるかだけでなく、音の反射によって大まかに壁のある場所を把握できる。
音を聞き分け、右折する。また、暫く進む。歩幅、スピード、足音の大きさ。その全てを一定に保つ。そうすることで、そこから得られる情報がニュートラル……つまり、標準の状態として記憶される。そうした上で、その均衡を破る存在を、音や空気の流れから感じ取る。
「……ッ!」
敵だ。数は3体。ネチャネチャという音から察するに、恐らく蜘蛛か何か……このダンジョンならダーク・スパイダーだろう。2体が床、1体が天井を這ってこちらに接近して来ている。彼らは暗闇に紛れ行動し、こちらが気づく前に大群をなして攻めかかる。恐らく彼らはその斥候のようなものだろう。だから、ここで確実に潰す。
床と天井、それらを同時に攻撃するには……これだ!刀を右肩に乗せて、クラウチングスタートのように足を後ろに大きく踏み込む。そこから上ではなく、前に跳躍するイメージ。更にそこに、螺旋の如き回転の捻りを加える!刀身に旋風を纏わせて……今だっ!
「喰らえ……【変則螺旋斬】!」
【変則螺旋斬】消費MP:100 クールタイム:20分
きりもみ回転で前進しながら風を纏った刀を振り回し、螺旋状の回転斬りを繰り出す。
「……よしッ」
回転を解除し、スライディングで着地。後ろでキシャーッと蜘蛛型モンスター特有の断末魔が上がった。ちゃんと倒せた証拠だ。今のは【螺旋衝】と【回転斬】を組み合わせたチェインスキルだ。それも、オリジナルの。今まではプレア殿に知恵を借りていたけど、ああも1人取り残されると……やっぱり手持ち無沙汰になるもので、手当たり次第に色々試していたんだ。
「…………」
まただ。またプレア殿のことを考えてしまう。刀を鞘に納めながらその思考を追い払おうとしたけど、何回も抑えつけていたからか、その度より強く押し返して来て、ついにはもう抗うことができなくなってしまった。
やっぱり、ボクは彼がいないとダメなのか?彼が隣にいてくれないと、何も……できないのか?自問自答に近い思考が、あっという間に脳内を埋め尽くし、駆け巡る。そのせいだろうか、ボクは暗闇の中急速に接近してくるものに、ギリギリまで気付くことが出来なかった。
やば、間に合わない……!近づいてくるものの正体も分からない以上、迂闊に動くこともできない。ボクは刀に手を添えたまま防御姿勢をとることしかできなかった。さあ、来るなら来い……!そう思って身構えてから10秒、沈黙が保たれたまま、何も起きることなく時間だけが過ぎた。気のせいだったのか?そう思った矢先。
「よう、こんな所にいやがったか……探したぜ?」
「お疲れ様です、春風さん」
目の前で、聞き覚えのある声が発せられる。ボクは思わず着けていた目隠しを取った。やっぱり、間違いない。
「カンナさん、セイスさん……!?」
春風 Lv.42
種族:獣人(狐)/職業:侍Lv.31
HP:250→300
MP:0(+660)
STR:150(+10)
VIT:30→40
AGI:120(+80)
INT:0(+220)
RES:5
DEX:10
LUK:10
SP:0
頭…妖狐の髪飾り
胸…桜吹雪の振袖
右手…大地の精霊刀アルバノ=ガイア
左手…妖機刀:小春
脚…朧月夜の袴
足…燐火のブーツ
特殊…蒼穹のタリスマン
特殊…刀剣ホルスター
特殊…メイドの手袋
所持金:134700G
満腹度:70%
装備効果:《幻惑》付与(低) 抜刀強化(100%) 限定確定会心 付加(大地) 夜間行動補正(中) 跳躍距離上昇 HP回復(5/秒) MP回復(1/秒) 刀装備枠拡張
称号:《勝負師》《卓越した剣技》《バークウルフの天敵》《居合術の使い手》《狂戦士の目覚め》《読書好き》《届かぬ攻撃》《筋トレ好き》《サディスト》《電光石火の使い手》《飽くなき挑戦》《運命の赤い糸》《暗殺者》《血の使い手》
スキルセット(16/16)(装備中)
【レイジ】【燕返し】【付加:地縛Ⅱ】【カウンター】【狂乱化】【電光石火Ⅱ】【付加:岩雪崩】【螺旋衝】【瞑想】【脳天斬り】【桜花爛漫】【明鏡止水】【飛燕斬】【血術】【真空波斬】【回転斬】
【血術】一覧
【血の渇き】【血の代償】
チェインスキル:【閃刀:刹那】【桜花壊塵撃】【凪の鏡域】【閃刀:風薙】【堕天の霹靂】【変則螺旋斬】
進行中のクエスト:『地下坑道に巣食うもの』
「本当の気持ち……か」
セイスさん、カンナさんが部屋を出て、再び1人の静寂が戻ってきた。取り残された僕は、再び考え事に耽る。僕の、ハルに対する本当の気持ち。僕はあの日、エルメイア中央平原の木の下で初めて会った時のことを思い出していた。
『やあ、そこのお主。珍しいね、ホムンクルスかい?』
『まあ、なかなか見ないですよね……そういうあなたは狐の半獣人、ですか……?毛色と髪色が上手くマッチして、とても綺麗ですね』
『や、やめてくれよそんな、面と向かって……と、自己紹介がまだだったね。ボクは春風。女の子だけどこういう口調なのは気にしないで。昔からの癖なんだ。それと、出来れば丁寧語はやめてくれないかな?余所余所しい感じはあまり好きじゃないんだ』
何てことのない、ごく普通の出会い。ゲームの中で会って、一緒にプレイするようになって。それから……いつからだろう。ハルのことを特別視するようになったのは。そもそも、僕にとってあんなに長い間一緒にゲームを楽しんでくれる人は初めてだったから、きっとその特別感も加担しているんだろう。
じゃあ、どうしてハルは一緒にいてくれるんだろう?別段話が面白いわけでもない、めちゃくちゃゲームが上手いわけでもない僕と。大切な装備を作ったから?でも、それだとただお礼として一緒にいてくれるだけで……。
「あっ」
そこで気づいた。そうだ、彼女は僕が作った物のお礼をしたいんだ。そういえば初めて刀を作ってあげた時も、そんなことを言っていたような。まあ、元はといえば僕が武器を彼女に作ったのも、狩りと素材集めを手伝ってくれたお礼だったんだけど。
そうか、つまり僕達は恩の貸し借りから始まった仲なんだ……勿論、そういう関係がごく普通であることも、それをきっかけに友人関係に発展するということも理解できる。でも、ショックを受けないか、と言われると嘘になる。もっと純粋な思いで、ああして一緒にいられたと思っていたから。
腰掛けていたソファに、ポフッと身体を倒す。この肌触り。染み付いたほのかに甘い香り。カーテンから漏れ出る朝日。どれを取ってもハルとの思い出が蘇ってくる。全部全部、ずっと続くものだと、ただ純粋に成り立っている関係だと思っていた。でも、実際はお互いが恩返しをしようとしていただけで……それももう、終わってしまった。
「そんなの……認められるわけ、ないじゃんか」
仰向けになり、片方の腕で目を覆う。乗せた腕がじんわりと湿り気を帯びる。ああ、そうだ。僕はまだ終わりたくない。この関係を終わらせたくはないんだ。一度途切れた時点で、きっとそっくり元に戻ることはないだろう。それでも、どんな形でも良い。またハルと一緒にこの世界で、同じ時を分かち合いたいんだ。
今、やっと分かったよ、ハル。僕は君の存在を心のどこかで、当たり前のように感じていたんだ。頭ではそれが奇跡のようなことなんだって分かっているつもりだったけど……やっぱり、本当の価値は失って初めて分かるんだ。セイスさんが伝えようとしていたのも、このことなんだろう。だからこそ純粋に、自分の気持ちに嘘を吐いちゃいけないんだと。
僕の本当の気持ち……それはもう固まっている。もう一度ハルに会いたい。そして彼女が望むなら、もう一度ハルと一緒にいたい。恩返しだとかは関係ない、ただ純粋な気持ちで。そのために、今できることは……。
「……決めるか、覚悟を」
あの研究所の、見つけた扉の先へ行く。そして願わくば制圧する。確かにハルとは一緒にいたい。ハルの気持ちも考えれば、ここは合流して2人で攻略すべきなのかもしれない。でも、これは僕が受け、僕が始めた危険なクエスト。それにハルを巻き込みたくないという気持ちにも、やっぱり嘘は吐けない。
だから、まずこの壁を早く乗り越える。そうしたらきっと、何のしがらみもなく一緒にいられる日が、その先に待っているはずだから。僕は研究所攻略に向けて、その準備に取りかかるのだった。
~~side 春風~~
目を閉じ、気を研ぎ澄ます。視界を奪われると戦えないというのは、視覚に頼りすぎている証拠だ。五感というものはよく出来ていて、ある一つを潰されると残りの性能が僅かではあるが向上する。恐らく、人間のもつ生物本来の生存本能がそうさせているんだろう。
メカニズムはともかく、そういうわけでボクの道場では代々、目隠しをして稽古をする日がある。今ボクがしているのもまさにそれだ。プレア殿の作業台周りから拝借した布の帯で目を覆い、物理的に視界を塞いでダンジョンに潜っている。稽古と異なり、見えない中で移動しなくてはならない分、現実での稽古より難易度が高い。
「……プレア殿」
彼は今、何をしているんだろう。きっと、心配しているだろうな。フレンド登録を解除していなければ、今頃ここまで追って来ていたかもしれない。まあ、ボクとしても甘えを断ち切るという意味では、こうして良かったのだと言える。でも……。
「悪いこと、しちゃったなぁ」
何をやってるんだろう、ボクは。プレア殿にこれ以上心配させないようにって名目であの部屋を出たはずなのに。時間が経てば経つほど、余計に迷惑をかけている気がしてならない。ボク自身がより強くなるという意味では効果的だろうけど、それでプレア殿を悲しませてしまったら意味がない。ボクの心に、底知れぬ罪悪感が渦巻いていた。
ダメだダメだ、集中しなきゃ。雑念を追い出し、頭を静かにする。水面を張り、その波風を……抑える。今プレア殿のことを考えても仕方がない。やってしまったことはもう取り返せないんだ。だからまずは、せめて自分のしたことに後悔のないようにここを突破するんだ、と自分に言い聞かせて。
「ふぅ……よし」
一息をつき、前面に小春を構え、一歩ずつ前進していく。コツン、コツンと時折大きな足音を立てて。ボクが獣人を選んでいることも手伝っていると思うけど、この世界では五感が優れている。だから、こうして更に聴覚を高めていると、どこから音が聞こえてくるかだけでなく、音の反射によって大まかに壁のある場所を把握できる。
音を聞き分け、右折する。また、暫く進む。歩幅、スピード、足音の大きさ。その全てを一定に保つ。そうすることで、そこから得られる情報がニュートラル……つまり、標準の状態として記憶される。そうした上で、その均衡を破る存在を、音や空気の流れから感じ取る。
「……ッ!」
敵だ。数は3体。ネチャネチャという音から察するに、恐らく蜘蛛か何か……このダンジョンならダーク・スパイダーだろう。2体が床、1体が天井を這ってこちらに接近して来ている。彼らは暗闇に紛れ行動し、こちらが気づく前に大群をなして攻めかかる。恐らく彼らはその斥候のようなものだろう。だから、ここで確実に潰す。
床と天井、それらを同時に攻撃するには……これだ!刀を右肩に乗せて、クラウチングスタートのように足を後ろに大きく踏み込む。そこから上ではなく、前に跳躍するイメージ。更にそこに、螺旋の如き回転の捻りを加える!刀身に旋風を纏わせて……今だっ!
「喰らえ……【変則螺旋斬】!」
【変則螺旋斬】消費MP:100 クールタイム:20分
きりもみ回転で前進しながら風を纏った刀を振り回し、螺旋状の回転斬りを繰り出す。
「……よしッ」
回転を解除し、スライディングで着地。後ろでキシャーッと蜘蛛型モンスター特有の断末魔が上がった。ちゃんと倒せた証拠だ。今のは【螺旋衝】と【回転斬】を組み合わせたチェインスキルだ。それも、オリジナルの。今まではプレア殿に知恵を借りていたけど、ああも1人取り残されると……やっぱり手持ち無沙汰になるもので、手当たり次第に色々試していたんだ。
「…………」
まただ。またプレア殿のことを考えてしまう。刀を鞘に納めながらその思考を追い払おうとしたけど、何回も抑えつけていたからか、その度より強く押し返して来て、ついにはもう抗うことができなくなってしまった。
やっぱり、ボクは彼がいないとダメなのか?彼が隣にいてくれないと、何も……できないのか?自問自答に近い思考が、あっという間に脳内を埋め尽くし、駆け巡る。そのせいだろうか、ボクは暗闇の中急速に接近してくるものに、ギリギリまで気付くことが出来なかった。
やば、間に合わない……!近づいてくるものの正体も分からない以上、迂闊に動くこともできない。ボクは刀に手を添えたまま防御姿勢をとることしかできなかった。さあ、来るなら来い……!そう思って身構えてから10秒、沈黙が保たれたまま、何も起きることなく時間だけが過ぎた。気のせいだったのか?そう思った矢先。
「よう、こんな所にいやがったか……探したぜ?」
「お疲れ様です、春風さん」
目の前で、聞き覚えのある声が発せられる。ボクは思わず着けていた目隠しを取った。やっぱり、間違いない。
「カンナさん、セイスさん……!?」
春風 Lv.42
種族:獣人(狐)/職業:侍Lv.31
HP:250→300
MP:0(+660)
STR:150(+10)
VIT:30→40
AGI:120(+80)
INT:0(+220)
RES:5
DEX:10
LUK:10
SP:0
頭…妖狐の髪飾り
胸…桜吹雪の振袖
右手…大地の精霊刀アルバノ=ガイア
左手…妖機刀:小春
脚…朧月夜の袴
足…燐火のブーツ
特殊…蒼穹のタリスマン
特殊…刀剣ホルスター
特殊…メイドの手袋
所持金:134700G
満腹度:70%
装備効果:《幻惑》付与(低) 抜刀強化(100%) 限定確定会心 付加(大地) 夜間行動補正(中) 跳躍距離上昇 HP回復(5/秒) MP回復(1/秒) 刀装備枠拡張
称号:《勝負師》《卓越した剣技》《バークウルフの天敵》《居合術の使い手》《狂戦士の目覚め》《読書好き》《届かぬ攻撃》《筋トレ好き》《サディスト》《電光石火の使い手》《飽くなき挑戦》《運命の赤い糸》《暗殺者》《血の使い手》
スキルセット(16/16)(装備中)
【レイジ】【燕返し】【付加:地縛Ⅱ】【カウンター】【狂乱化】【電光石火Ⅱ】【付加:岩雪崩】【螺旋衝】【瞑想】【脳天斬り】【桜花爛漫】【明鏡止水】【飛燕斬】【血術】【真空波斬】【回転斬】
【血術】一覧
【血の渇き】【血の代償】
チェインスキル:【閃刀:刹那】【桜花壊塵撃】【凪の鏡域】【閃刀:風薙】【堕天の霹靂】【変則螺旋斬】
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