アルケミア・オンライン

メビウス

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第1章 錬金術の世界

第12話 アクセサリー

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さて、精霊については一旦置いといて。

次は全プレイヤーに対して配布された『EXP宝玉』だな。ハルのところにも一個届いているようだ。対して、僕はクエスト達成者ということで4個。ハルの武器を作った結果だからハルにも4個あげて欲しいのに…あげようかと聞いたら「ボクは刀を貰ったからいい」と…。まあ、そういうことならそれでいいか。

『EXP宝玉×4』☆7
売却不可。シークレットクエストのクリア報酬でのみ獲得できる貴重なアイテム。使用者のプレイヤーレベルまたは職業レベルを任意で選択し、選択した方に経験値を貯蓄する。経験値量は使用者を問わず一定。

「…何気にこれも伝説級レジェンダリーアイテムじゃん!」

「あはは、タイミングが良いのやら悪いのやら…でもプレア殿、これ書いてることは結構凄いのでは?」

「そうだね…まあどこまで経験値が上がるかにもよると思うけど。流石に何レベルも上がるってことはないでしょ、多分」

「まあ確かに、それだとあまりにも強すぎるからね…とりあえずボク使ってみるね」

「うん!」

ハルがウィンドウを操作して『EXP宝玉』を使用すると…

「お、1個職業レベル上がったよー」

「おお、良かったね!因みに今いくつ?」

「今上げたので7だね。プレア殿にはまだ及ばないし、ご飯食べた後狩り行きたいんだけど一緒に来てくれる?」

「もちろん!でも夜のフィールドは一部の敵MOBが強化されるらしいから気をつけようね」

何気に僕達はまだ夜のフィールドに行ったことがない。夜は敵が強化されたり凶暴化したり、加えて視界が悪かったりとデメリットが多く、取得できる経験値量やアイテムが豪華であるという美味しい点を含めても、勇み足で戦いに出る勇敢死にたがりな冒険者は少ない。

でも、今回の刀の件で、あまり白昼堂々と☆7武器を振り回すのは悪目立ちが過ぎる上、全プレイヤーへの通知のせいで特定厨が沸いてもおかしくはない。最も夜のフィールドに出ること自体が怪しいのだが、それで無事に後を付けて来られるほどの実力者なら、いっそ【統合強化】の虜にした方が手取り早い。

というわけでハルと話し合った結果、今後は狩りに関しては夜を中心に活動をしようという結論になった。とりあえず今日のは偵察を兼ねた前哨戦。これであまりにも危険度が高いようなら、また改めて考える。

「さて、じゃあ僕も使うか」

今後の方針を決めたところで、僕も宝玉を使うことに。インベントリから出して…うーん、4個もあるんだよなぁ。とりあえず今職業レベルがプレイヤーレベルに追いついている以上使っても意味ないからプレイヤーの方に割くとして…よし、一回2個だけ使って様子見るか。

ーーープレイヤーレベルがアップしました。(Lv.8→10)

ーーープレイヤーレベルがLv.10に到達しました。特殊装備品スロットを一つ解放します。

「おー、10まで上がった。んで何か解放されたよ」

「なになに、特殊装備品スロット?あー、所謂アクセサリーみたいなものかもしれないね」

「あー、アクセサリーか…」

アクセサリーとは、勿論見た目重視のものもあるが、ゲーム的な意義は何といっても、武器や防具の装備枠を使用せずに、攻撃手段やステータスを上昇させることができる装備品だ。そしてこのゲームのアイテム錬成の自由度の高さを鑑みれば、下手したら何でも作れてしまう。これは、鍛治職人としては楽しみだな。

「じゃあ今日の狩りでハルのプレイヤーレベルも10に上がるだろうし、特殊装備も僕が作るよ。素材集めも一緒にやる感じで大丈夫?」

「えっ、いいの!?やったぁ!もちろん!合わせて2人分だよね?プレア殿の作るものだったら安心して戦えるよ!」

わー、お褒めに預かり光栄でございます。これからも精進していきますので今後ともどうぞ御贔屓に。なんて言おうものなら笑われるに違いないので、笑顔と頷きで乗り切った。さて、じゃあ残り2つは職業レベルに使おう。

ーーー職業レベルがアップしました。(Lv.8→10)

ーーー鍛治職人Lv.10に到達。スキル【金属探知】を獲得しました。

【金属探知】消費MP:50 範囲:自分を中心に半径5m 効果時間:10分 クールタイム:60分
10分間、金属に対し敏感に反応する。反応した金属の位置はレーダーで表示され、マップにも反映される。ただし、パーティーメンバーの所有する金属には適用されない。

「おお…?ねえハル。何かまた変わったスキル貰ったんだけど」

「んん…?なるほど金属を探知するレーダーのようなものか。これ、金属鉱石の採掘の時使えるんじゃない?街中で使うと大変なことになりそうだけどね」

「あー確かに!そうか、そういう使い方が出来るのか!なるほど、確かに鍛治職人っぽいなあ」

ハルのアドバイスはとても分かりやすかった。確かにそれなら使いどころは多そうだ。まあ最も、このゲームでどこまでを金属と定義するかにもよるが。万が一鉄は金属だけど鉄鉱石は石なんて括りだったら完全に死にスキルになってしまうからそんなことは無いとは思うが。

さて、そうこうしているうちに料理が来たので頂きましょう。僕がオーダーしたのは『ホーンシープのシチュー』だ。ホーンシープは中央エルメイア平原のエリア3と4にかけて群れを作って生息する羊で、狼や鷲から身を守るためとはいえ、実際はこの羊も結構強いらしく、それが群れをなすものだから誰も迂闊に近づけないようだった。

『ホーンシープのシチュー』☆3
売価800G。ホーンシープの肉は本来臭みが強く煮込み料理には向かないが、『旅人の住処』店長のセルゲイが自ら狩るため鮮度が高く、臭みの出ないうちに処理することで実現する一品。

「すごいな、このお肉柔らかい…口の中で蕩けそうだよ。それに野菜も、本来の甘味がグッと引き出されてて美味しい!」

「食レポ上手いね。ボクのも脂は少ないけどお肉が柔らかくて美味しいよ!」

「それほどでもないと思うけど…ハルのは何だっけ?」

ハルがオーダーしたのは『バークウルフの熟成サンドイッチ』。そう、あの肉が硬く食べるのが大変だったバークウルフだ。どうやらこれも鮮度が高いうちに麹に漬け込み一晩寝かせることで、味の染みたローストビーフのような柔らかさを実現できるらしい。その点食堂のステーキは鮮度も悪く切り方も厚かったのが原因だろう。

『バークウルフの熟成サンドイッチ』☆3
売価700G。バークウルフの肉は本来硬く煮込み料理でしか食べられないという人が多いが、『旅人の住処』店長のセルゲイが自ら狩るため鮮度が高く、硬くならないうちに処理し、熟成させることで実現する一品。

どうやらこのお店で出されるメニューは、鮮度が高いからこそ実現できるものが殆どらしく、他の店で味わえない料理に心惹かれる人も多いんだとか。さすが、自称ミシュラン審査員のブログで高評価を得ていただけのことはある。

「よう。お前さんたち、冒険者だろ?」

「え…っと、あなたは?」

ハルと2人食事を楽しみ、ひとしきり談笑も終えたので、そろそろお店を出ようかと思った矢先、突然誰かに話しかけられた。料理人のような服装をしているが…このお店のスタッフだろうか?

「俺ぁここで店やらせてもらってる、セルゲイだ!」

ガタイが良く、料理服から筋肉質な腕を覗かせる豹の半獣人は、なんとこの『旅人の住処』を営む店主、セルゲイさんその人だった。



プレアデス Lv.10
種族:ホムンクルス/職業:鍛治職人Lv.10
HP:350
MP:50→95
STR:35
VIT:10
AGI:0
INT:10→25
RES:0
DEX:30
LUK:10

SP:15→0

頭:なし
胸:初心者の服(上)
右手:石の破城槌
左手:-
脚:初心者の服(下)
足:初心者の靴
特殊:なし

所持金:10000G

満腹度:100%

称号:《試行錯誤》《木工職人見習い》《伝説を導く者》

スキル:【統合強化】【硬化】【金属探知】
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