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41・鎖骨酒
しおりを挟む「スペンス乳腺だっけ? 恐るべしね……あんなに飛んだ経験、なかったもの」
失神から目覚めて正気を取り戻した私は、裸に浴衣を着直して彗と飲んでいた。からし醤油で和えたおかひじきをつまみにしているけど、よく合うこと。
しかしまあ、あんな昇天をさせられたら虜になってしまうなぁ。経験値とレベルが違いすぎる。ちなみに、スペンス乳腺攻めの余波はまだ残っていて、胸全体が甘い疼きに覆われている気がする。徐々に落ち着きつつあるけどね。
「普段から自分でやっていたりした?」
「その、胸を使ってのオナニーは時々やったりするわね。スペンス乳腺は知らなかったけど……」
「今さらそんなに恥ずかしがることじゃないじゃないか」
「うっさいわね! まだそういう話は話し慣れてないのよ!」
「ウブでかわいいな」
彗の手が頬や髪に触れてきて、愛おしげに撫でている。前はうざったくてしょうがない所作や態度が、今となってはたまらなく嬉しいし心地よい。身も心も預けてしまってもいいとさえ、小さく思ってしまう。
「アンタ……いえ、彗だってカッコかわいいわよ」
私も彗の頬に手を触れる。スベスベで化粧っ気がない肌がうらやましい。素材がよすぎるんだ。せめてものイジワルに頬を軽くつねってやる。
「ありがとう。そう考えると、ボクは贅沢な人間だね」
「謙遜しないのねぇ、さすが王子様」
もう片方の手も参加し、反対の頬もつねって引っ張ったり回したりしてやる。
「いひゃい、いひゃいよ」
パッと手を離して 膝立ちになり、頬を胸でパフパフしてやる。
「これでほら、痛くないでしょ?」
少しでもアッと言わせたかった。あそこまでイカせられたのが、心のどこかで悔しかったのかもしれない。
「ボクさ、生まれ変わったら、おっぱいだけを揉んで生計を立てる仕事がしたい」
解放した瞬間、こんなことをいい出した。発想が思春期真っ盛りの男子中学生みたい。
「何その仕事」
「でさ、仕事が終わって帰ってきたら生まれ変わってパートナーになった夕季に、毎晩寝る前にパフパフしてもらって、キミとおっぱいを想って眠りに就きたい。見る夢はもちろん、夕季のおっぱいに全身を包まれているのがいいなぁ」
「止まらないわね、アンタ」
変なスイッチを押してしまったらしい。冗談交じりのヘラへラして言うならまだわかる。彗の場合は表情の変化が乏しいせいか、ほぼ真顔でのたまうから困る。今はさすがに最後のほうは笑っていたけど。
「そうだ、昨日のヘソ酒みたいなことをしようよ。ボクは夕季のその谷間に注ぎたいな」
突拍子もないわね。ヘソの次は谷間か。べつにやられてもいいけど、私もやってみたいなー。なーんて言ったら終わりだから、口が裂けても言わない。
「いいわよ。でも、昨日は彗が先にやったじゃない? 今日はユキからでもいいわよね?」
「もちろん。た、谷間酒以外ならなんでも……いいよ……」
彗の声のトーンが落ちていき、最後には私のおっぱいから目を逸らす。なんで自爆するのよ! イジらないでやったのに。
「これから二人三脚で育乳をがんばればいいじゃない! いちいちナーバスになるんじゃないの!」
「夕季……キミってやっぱりいい娘だし、最高の幼なじみだよ!」
「はいはい、ありがと。じゃ、お互い裸になりましょ。絶対に浴衣にこぼすから」
浴衣を脱ぎながら、押入れからシーツを引っ張ってきて畳み、その上に彗を座らせる。畳を濡らしたらシャレにならないからね。
深く窪んだ綺麗な鎖骨に、甘味が強めの「天童」を慎重に垂らす。深いといっても片方でお猪口一杯ほどだ。それ以上垂らすとこぼれちゃいそうだからね。
「いただきます」
焦らすようにまずは舌でピチャピチャと舐めてみる。「天童」は「天童」だ。美味しい。鎖骨の土手伝いに舌をツーと這わせてみると、彗が目を丸くして小さく震えた。
「な、何をしているんだい」
「優位に立てるとき立っておきたいのよ」
「意味がわからなひゃぅっ」
片方の鎖骨から口で一気に吸い取り、舌でお掃除までしてあげた。案の定彗はくすぐったくて、かわいい悲鳴を上げた。
「さーて、もう片方はどうして飲もっかなー♪」
「こぼしたくないから、お手柔らかに頼むよ」
彗の願いを聞き入れる気はなかった。私は土手沿いに舌を伸ばして置いて、頭を左右に動かして舌先に当たる「天童」を堪能した。
「何その攻め、反則だって……!」
身悶えする彗は、表情も豊かで見ていて愉しい。
「ん~? 反則かしらね~♪」
調子に乗っている私に、彗は真剣な表情で攻撃を宣言してきた。
「早く済ませてくれないと、夕季のおっぱいには日本沈没系の技を繰り出すことになるけど、いいかな?」
「『日本沈没系の技』……!?」
さっきは破局的噴火で今度は日本が沈没……? ホントはすごく受けてみたい。だけど、まだまだ最後の夜を満喫したい。
「今夜は最後のセックスも何もできなくなるけど、それでもいいのかな?」
「よくないよくない。飲むから勘弁してよ」
鎖骨に残る「天童」をひと口で吸い上げ、余滴も綺麗に舐めとった。
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