私と白い王子様

ふり

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23・無味と甘美

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「そろそろ限界だから、ボクも積極的に動いていいかい?」

 ついでに腰回りもやってあげていると、首を回して言ってきた。

「限界? 何言ってんのよ。今夜はこのユキさんが慰めてあげる――」

 ビーチフラッグ並みの速度で、ガバッと起き上がって脇腹をがっしり掴まれた。何かを考えているらしく、私のヘソの辺りを見つめ、しばし動きが止まった。

「どうしたの?」
「夕季、もうボクは我慢できない!」

 どんな手を繰り出してくるの!? 身構えていると、彗の奴は谷間に顔を突っ込んできた。顔を左右に動かし、私ご自慢の育った果実の柔らかさを心置きなく堪能している。

 そっか、おっぱいが欲しかったのね……そろそろって考えていたのに、焦らし過ぎたかもしれないわね。ない人間は特に触れたいものなのかしら。

「おっぱいって素晴らしいね。おっぱいは何もかもを吹き飛ばす力を持ってる。何より童心に帰れるし、おっぱいは世界を救えるって確信できたね」

 頬ずりしつつ、彗は口から意味不明なことを吐き続ける。脳みそがおっぱいに征服されているのかなこの娘。

「両側から挟んでもらってもいい?」
「顔面を?」
「うん」

 両手で胸を寄せて彗の顔を挟む。奴の鼻息が荒くなり、声にならない声を上げて悶えている。

「そんなに嬉しいの?」
「最高だね! この若さ溢れる柔らかさと弾力が合わさった絶妙なるおっぱい! ねえねえ、揉んだりしてもいいかい!?」
「いちいち聞かなくてもいいわよ。好きにしたら」
「やった!」

 彗ってこんなかわいい奴だったっけ? おっぱいだけでこの喜びよう。まるで子どもみたい。

 彗の細くしなやかな指がふたつの大きな実を愛おしげに触れてきた。手の中で様々な形に変えていく。それにもかかわらず、痛くない。胸の扱い方をよくわかっている証拠だ。いい力加減で愉(たの)しんでくれているから、こっちも不快な気持ちがないし、私も心身ともに気持ちがいい。

 結構長い時間触れられ揉まれ、今度は乳輪の辺りを舐め出した。そうかと思えば、乳首を赤ちゃんのようにチューチュー吸ってうっとりしている。

 なんだろう、ここに来て別の意味でのかわいさが出てきた。乳離れの遅い子どもに向ける愛情のようなものが、胸の中で沸々と湧き起こっているみたいだ。

「ユキのおっぱいおいしい?」
「おいひい」

 乳首を吸いながら無垢な笑顔での答え。間違いなく退化している。でも、不思議と嫌な気はしない。胸の奥が熱いというより、温かくなっていくのがわかる。自然と彗の頭に手が伸び、愛々しく撫でていた。これが母性が芽生えるというものなのかな。

「ボクが男だったら、授乳手コキしてもらったのになぁ」

 しばらく吸い続け、ようやく解放してくれたと思ったら、変なことを言ってきた。

「何そのいかがわしい名前のプレイ。母乳が出ないのにやるの?」
「やるみたいだね。男のロマンのひとつみたいだよ」
「……男って、いつまで経っても赤ちゃんなのね……例外的にアンタも」
「夕季から出てくれば最高なのにな。あ、ごめん。おっぱいごちそうさまでした。味がするものが欲しくなったなー」

 よっぽど元気が出てきたみたいで、彗は軽口を叩く。

「ちょっと試してみたいことがあるんだけど、いい?」
「いいわよ。何すればいいの?」
「仰向けになってくれないかな」

 布団の上に仰向けになる。あろうことか彗は、甘いほうの日本酒の「天童てんどう」を私のへそに注いできたのだ。表面張力で際どい所まで注いだらしく、身じろぎひとつすればこぼれてしまいそう。

「どこに注いでいるのよ!?」

 叫んでから気づいたが、これ腹式呼吸で叫んでいたらこぼれていたわね……危ない危ない。

「一度やってみたかったんだ、ヘソ酒」
「なかなか狂ったプレイをしていたのね、アンタたち」

 彗が舌先で「天童」の泉と化したヘソを突く。「天童」が少し溢れてヘソ周辺に筋を作る。特にくすぐったいことはない。

 今度はヘソの中まで舌を入れてきた。掻き出すように舐め回され、さすがにこれはくすぐったくて、悲鳴にも似た笑い声を上げてしまう。舐められるはずのない部分だから、余計にそう感じてしまって息苦しくなる。

 仕上げと言わんばかりに口でヘソを塞ぐと、一気に吸い上げる。残留していた「天童」がさっぱり消えた。なかなかの吸引力でヘソごと持っていかれるかと思った。

「やや深めのヘソで飲みごたえがあってよかったよ」
「……ド変態」

 まさかそこを攻められるとは思わず、あまり手入れをしていないから、かなり恥ずかしかった。……まあでも、少し気持ち良かったから悪くないかも。

「褒め言葉として受け取っておくよ」

 王子様スマイルをここで無駄打ちするな。使いどころを間違えているのよ。

「夕季もやってみる?」
「遠慮しておく」

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